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マーベル作品に全てを捧げた先輩とジブリ映画を観る ④風立ちぬ

本シリーズ(全5回)は、マーベル作品に全てを捧げた先輩・遠藤さんがジブリ映画で新たな世界を広げていく様子を記録するブログドキュメンタリーです。

今回は、『風立ちぬ』(2013)を観ていきます。

(以下、『風立ちぬ』について激しくネタバレしています)

徳永 これまで一緒にジブリ映画を三本観てきたわけですけど、『風立ちぬ』は途中までは「あ、これ遠藤さん好きそうなやつだ」と思いました。でも結末にかけて「これは……どうなんだ??」という気持ちになりました。遠藤さんはこの映画をどう受け止めましたか?

遠藤 いや、面白かったよ。けど、この映画のあらすじを知った状態でレンタルショップに行ったら……第三選択希望くらいになるかもしれない。

徳永 社会人野手みたいな順位。確かにこれは前情報無しで観た方がいいかもしれませんね。

もしリアルタイムで観ていたら……

徳永 『風立ちぬ』って、『崖の上のポニョ』(2008)を最後の作品にすると言っていた宮崎監督が引退を撤回して作った作品なんですよね。

だから『風立ちぬ』が今度こそ最後の作品なんだと思って当時リアルタイムで観ていたら……僕はちょっと絶望してたかもしれないです。

遠藤 確かに俺がジブリあまり観てないというのはあるかもしれないけど、今まで観た三作品と比べて毛並みは違ったよね。なにかでかい出来事があってクライマックスを迎えるみたいな感じではないよね。一人の人生を描くという映画だから。曖昧にしてる部分も多かった。

徳永 カプローニと話す夢が作品の随所に出てきて、夢と現実の境目が分からなくなるという感覚を抱きました。

黒川さん

遠藤 上司の黒川さんが意外といい人だった……最初はテキパキしていていけ好かないのかなあと思ってたけど、最後なんか仲人までしてくれて……

徳永 序盤の「君をドイツ行きに推薦しておいた」という台詞もいいですよね。

理解はできるYouTube Shortsのイメージ

遠藤 零戦の開発者の話なんだね。

徳永 そのことが最後の会話で明かされる構成になっていますね。僕は『BLUE GIANT』(2023)とか、主人公たちが何かに夢中になってる系の映画がすごく好きで、今回も飛行機の美しさに魅了された人物の話ですよね。

一方でその裏側にある罪というか、夢中で突き進むことの闇も描いていたなと思いました。でも、今だから理解できた作品ですね。

遠藤 だってこれいつの作品よ。

徳永 2013年ですね。僕なんてその頃『真夏の方程式』(2013)と『ベイマックス』(2014)をアホみたいに何度も友達と観に行ってました。

遠藤 懐かし……主人公の二郎がさ、夢を追いかけつつもその罪も受け入れるというタイプじゃん。あんまり感情の起伏とかもないし。途中までどんな映画なんだろうと思って観てた。でも最後カプローニさんが地獄みたいな場所にいるというか。それが答え合わせでスッキリするというところはあった。ネットでね……YouTube Shortsで流れてくる「二郎はカス野郎だ」みたいな意見も分からなくはない。結核患者の横でタバコを吸う奴という……

徳永 遠藤さんのYouTubeおすすめ動画、もう全部ジブリの都市伝説みたいのしかないんじゃないですか。

遠藤 なんか流れてくるんだよな……飛行機の夢と、お嫁さんと一緒にいたいという理想のためにタバコを吸うという罪を飲み込んでるじゃないけどさ、あの夫婦二人で罪を背負っているように見えたから最後は腑に落ちたな。

徳永 確かに行動の一つ一つに覚悟がある感じはしましたね。やっぱり堀越二郎というのが天才的な人物だから、周りの人たちも「こいつには飛行機作りだけに専念させておこう」という感じだったり、奥さんも美しい姿だけ夫に見せておいて症状が悪化したら出て行ってしまうみたいな、そういう忖度みたいなものが全体にあったと思うんですよね。でも本人もそれは最後気づかざるを得ないんだなとも思いました。

大学に堀越二郎みたいな人はいるのか

徳永 遠藤さんも工学部だから周りにエンジニアとか、ものづくりに関わる人がたくさんいるわけじゃないですか。その観点からみて『風立ちぬ』はどうでしたか。

遠藤 俺の同級生には堀越二郎みたいな人はいないんだよ。でもやっぱり有名な教授とか見てるとね……その人たちも夢を追いかけている人ではあるわけじゃん。

徳永 そうですね。

遠藤 やっぱり作業時間とかがエグいんだよね……俺の知ってる先生も、ずっといるし、大学に。アポ取ろうとしたら、「じゃあ来週の木曜、金曜……全然土日でも何時でも僕は大丈夫だよ」って感じの人なんだよね。それって夢を追っていて素晴らしいことなんだけど、もし家族がいたらその人たちに悲しい思いをさせてしまうことにつながるかもしれないし。周りの協力とか忖度も必要だから。

徳永 難しい問題ですけど、本人と周りの人たちの負担、両方のバランスを取っていく必要がありますよね。

遠藤が最も言いたかった感想

遠藤 あと一つ言うとすれば、「にいにい」という呼び方の語感が良くてすごく好きだった。

徳永 笑 確かになかなかの呼び方ですね。二郎だから……

遠藤 二番目のお兄ちゃんで「にいにい」。一番の感想はこれです。

徳永 最後「にいにい」で終わるんですね笑

最後に観るのは……

徳永 ここまで四本のジブリ映画を観てきたわけですけど、どうですかね。遠藤さんになにかしらの変化はありましたかね。

遠藤 少なくともジブリはもうちょっと観ようと思った。

徳永 ほんとですか!

遠藤 俺の中でジブリって全ての作品がジブリ色というか、同じような展開なのかなと思ってたから。『思い出のマーニー』『借りぐらしのアリエッティ』『風立ちぬ』……観た作品比べても全然違った。ジブリを続けて観るというだけでも色んな発見ができそうだよね。

徳永 『風立ちぬ』も飛行機という機械のロマンを描いた映画なので、『アイアンマン』(2008)からマーベルにハマった遠藤さんにとっても原点回帰という感じは少ししました。

遠藤 確かに俺も『風立ちぬ』で飛行機の設計についてみんなで会議してるシーン、テンション上がったもんな……「かっけえ……!」ってなった。

徳永 それでですね、今も公開が続いている『君たちはどう生きるか』(2023)を最後に観てこのシリーズを締めたいなと思ってるんですよね。

遠藤 行きましょう!

徳永 ありがとうございます!それでは最終回は『君たちはどう生きるか』でお願いします!

⑤君たちはどう生きるか に続く

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