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心のトゲ

コロナ禍の中、ストレスを溜めて帯状疱疹にかかってしまった人の話がニュースになっていた。

帯状疱疹とは体の左右どちらか半身にだけ赤い発疹が帯状に広がり、針で刺されたような痛みを伴う。

やがて湿疹は水ぶくれになって破れ、眠れないほどの激痛がすることもある。

原因は子供の頃感染した水疱瘡のウィルスが、大人になってもストレスや疲労などで免疫力が低下すると再び活動を始めるからだそうだ。

ところが私は小学生の時に、子供では珍しく帯状疱疹になってしまった。

当時はストレスと言う言葉はなかったので、免疫力低下の原因もわからなかった。

ベタベタした臭い軟膏を塗られて暑い夏に入浴もできず、ひたすら痛みに耐えていたのを覚えている。

だが大人になってストレスと帯状疱疹の因果関係を知った時、多いに納得したのである。

当時私は家庭の事情で3年ほど親戚の家に預けられていた。

最初は少しの間だけの約束だったけど、いつまで待っても家に帰ることができず、馴染めない親戚での生活は苦痛で毎晩布団を被って泣いていた。

それは小学生の私にとって紛れもないストレスであったと思う。

今となっては遠い昔のことなのに、帯状疱疹の話題になるとあの時の痛みが、心の奥に刺さったトゲのようにチクリと蘇るのである。

                      イラスト(アクリル水彩)

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