ちひろ Owner of Esquire Embroidery

四十ウン歳、一児の母。KYアメリカ人の夫とコロラドで起業して丸五年。アメリカ生活、子育…

ちひろ Owner of Esquire Embroidery

四十ウン歳、一児の母。KYアメリカ人の夫とコロラドで起業して丸五年。アメリカ生活、子育て、経営に四苦八苦。いっぱいいっぱいで奮闘中にまさかのステージIII-Cの乳がん発覚。人生谷あり、谷あり、たまに山あり…の日常を綴っていきます。

最近の記事

Claris Filemaker x Magento(其の一)

今日はちょっと(本当にちょっとだけど)専門的な事を書こうと思う。 以前も記事にしたのだけど、弊社のシステムについて記事にしたい。 (あ、私はFilemakerやMagentoの回し者ではございません) 8年前に専業主婦から夫にそそのかされてアメリカはコロラドに引っ越し、刺繍会社を買い、汗水たらし、冷や汗で凍り付き、なんとかかんとか今年で9年を迎えることができた。周りがコロナやら物価高やらでばったんばったん倒産するなか、中小零細企業ながらも9年目を迎えることができたのは、多分

    • 無い物ねだりとおせち料理

      明けましておめでとうございます。 海外に住んでいると(というか、海外でしかも田舎?!)お正月にあまり重点を置かない‥というかおけない。クリスマスでプレゼント合戦やパーティで盛大に散財した後でのハッピーニューイヤー。仕事も一日お休みが貰えるくらいで、神社にお参りも、年越し蕎麦も、お節料理もお年玉もない。 それでも、毎年、せめてお雑煮だけは作っている。せめて娘にお年玉は渡している。せめて、新年、揃って笑顔で「あけましておめでとうございます」と家族で言うようにしている。そしてせ

      • 燃え尽き症候群と燃え尽きることがない仕事たち(独り言です)

        (写真は刺繍ミシン。帽子に刺繍している様子。弊社にはこんな子が5台ある。) 私はアメリカはコロラド州で小さな刺繡業を営んでいる。 今年で創業8年で来年から9年目だ。 起業した当初は1.刺繍が好きだった 2.アメリカ人の夫がアメリカに帰りたがった。 このたった二つの理由から、深く色々なことを考えずに当初4歳だった娘と夫と3人で渡米し、とりあえず始めた。 始めてしまった…というほうが適切か。 8年を振り返ると、我ながらよく頑張ったと思う。 つたない英語で客に嫌味を言われる

        • 生きる選択

          午前11時26分。本を読んでいてうとうとしてしまった。目が覚めると見慣れない昼間の景色が窓から飛び込んでくる。ああ、今日は会社を休んだんだっけ。昨日は手術だったんだっけ。 抗がん剤治療を受けていた日々から一年経った。朝起きて会社に行ったら見えない昼間の風景を無機質な心で眺める。日中の光はこんなだったな。どうということもない。ありふれた一日の一片の時間。 昨年は乳がんを患い、ステージ3Cと診断されて、生きるか、死ぬかの瀬戸際にいる気分だった。生きることを選択することは難しい事

        Claris Filemaker x Magento(其の一)

          今日も空は青く山は美しい

          私が住んでいるアメリカのコロラドは一年で300日以上晴れの日があるという。真夏は40度を軽く超える日もあるが、乾燥しているので日陰に入ると涼しいそよ風が心地よく、夜は肌寒く、クーラーを稼働させる日は数えるほどしかない。木々の間から差す太陽の光はまぶしく、今日も鳥のさえずりは心地よい。 6月5日に誕生日を迎えた。昨年、7月にステージ3の癌が分かり、10か月に及んだ【癌治療3点セット(抗がん剤治療、放射線治療、手術)】を終えて迎えた47歳は「ああ、よくここまできたな」とちょっと

          今日も空は青く山は美しい

          私のひなまつり

            今夜の夕飯の準備をしている。今日はひな祭り。メニューはちらし寿司と茶碗蒸し、お吸い物にイチゴ大福。放射線治療の副作用が邪魔をするけれど、娘が料理を前に喜ぶ顔が見たくてたまらない自分の為に、作っている。  娘が生まれてから3月3日は私にとって特別になった。10年前の娘の初節句にご近所さんを招待してお祝いしてからメニューはいつも同じ。そしてその時に母に手伝ってもらいながら娘をおんぶして作ったことを思い出しながら支度するのも、いつもと同じ。毎年同じ思いでを胸に、同じ献立を作る特

          リノ工場開設準備3日目

          今日は刺繍機が来る。 今日は求人を見てくれた人が面接に来る。  昨日のうれしい事と今日のうれしい予定を反復しながら意気揚々と部屋をでた。途中でコーヒーを買い、会社についたら昨日購入した棚を組み立てて、掃除機をかけた。8時には面接に来る。それまでにちょっと片付けたい。娘からの電話がなった。もう泣いていない。元気に今から自転車で学校に行くと楽しそうに話してくれた。あぁ、私のいない日常に慣れてしまったのだなと、ちょっとだけ、いや、少し、正直、かなり寂しい。。手を動かして何も考えな

          リノ工場開設準備3日目

          1か月に渡る放射線治療が始まった。これが終われば病院通いは月一となる。通院のクルマの中で鼻歌を歌う私に気づく。癌告知されてから数ヶ月は音楽を聴く余裕もなかったなあ。

          1か月に渡る放射線治療が始まった。これが終われば病院通いは月一となる。通院のクルマの中で鼻歌を歌う私に気づく。癌告知されてから数ヶ月は音楽を聴く余裕もなかったなあ。

          弊社が自転車屋さんになった件

           日本に生まれて40年間日本に住んで、日本語と日本食をこよなく愛しており、大学院は生物物理で学位をとった。幼いころから外国には強いあこがれがあり、海外旅行も沢山行ったし、英語もそれなりに頑張った。キャリアは外資系証券会社のITから塾講師を経て専業主婦。10年前に子供を授かってから洋裁と刺繍を始めて5年前に一念発起してコロラドに刺繍会社を起業した…っていう私は我ながらレアキャラだと思う。レアキャラは、いつだって少数派・マイノリティに分類される。  日本にいた時だってそうだった。

          弊社が自転車屋さんになった件

          常識とか非常識とか

          Common Sense is NOT so Common. ほとんどの人生を東京、横浜で育った私。友達はほとんど日本人だったし、日本で出会った外国人の知り合いは、それなりに日本の文化に慣れようとしている人たちだったから、成長過程で育まれた私の「常識」はほとんど反駁されることなく、ぬくぬくと私の中で守られきた。  ところが、5年前にアメリカに引越してきて、更に起業するとなると、本当にいろんな人に出会う。本当に、びっくりするほど。長年大事に温められてきた私の心に根差す「常識」

          リノ工場開設準備 2日目

           眠れない夜を過ごした後にやってくる朝は皮肉なもので、特に5時になっても日の出前の朝、起きるのはなかなかの苦痛を伴う。慣れていないコーヒーメーカーでコーヒーを作るも、手順を間違えてしまい、挽いたコーヒー豆が沢山入ったあまりおいしくないコーヒーを片手に朝の支度をする。いつもは夫がおいしいコーヒーを淹れてくれるのに。  電話がなった。娘からだ。泣いている。「まま、早く帰ってきて。私もリノに連れて行って。我慢できない。耐えられない。」と泣きじゃくっている。私も同じ気持ちだ。すぐにで

          リノ工場開設準備 2日目

          デンバーはここ数日、めっちゃ寒い。友達がケーキくれて持って帰ったら、アイスクリームケーキになってた。

          デンバーはここ数日、めっちゃ寒い。友達がケーキくれて持って帰ったら、アイスクリームケーキになってた。

          リノ工場開設準備 1日目

           2018年に第二工場を作る準備をした時の記録です。2015年にアメリカに引越してデンバーに刺繍工場を設立。その設立の際にはスタートアップの書類関係、人事、ほとんどを夫に任せていました。今回は私一人で第二工場のスタートアップです。さて、私にできるのでしょうか。 朝7:30の飛行機に乗るために早くに娘と夫に空港に送ってもらう。 朝3時起床。前日夜遅くまでデンバーで仕上げなくちゃいけない仕事をしていたため、身体が重い。パッキングもまだ中途半端だし、頭がうまく働かず、何をもって

          リノ工場開設準備 1日目

          私ががんになった【日記】

           2010年7月、米国に引越しして五年目に乳がんに罹患していると分かってから、なれない国での抗がん剤治療までの個人的な記録です。手術、抗がん剤治療を終えた今なら笑って「抗がん剤、うざい」とか言っている私がいるけれど、治療の副作用に苦しみ、生と死をかつてないほど意識し、私の死後の世界まで想像を膨らませていたいっぱいいっぱいだった私の記録です。もっと重篤な同じ病気に罹患している方が不快に感じたら、ごめんなさい。 7月27日、右胸に新たなシコリを見つけて、病院へ。すぐにマンモグラ

          私ががんになった【日記】

          光と影と

           アメリカンドリームは健在だ。現在4千万人のアメリカ人が外国で生まれた人たちだというデータがある。これは3億3千人のアメリカの人口の12パーセントを占め、世界の移民人口の20パーセントを占める。日本人からしてみれば「日本からアメリカに引越した」と聞くと、「ご主人がアメリカ人でお里に帰ったのね」とか「お仕事で駐在ですか。栄転ですね」など割と華々しい印象すらあるけれど、移民の大多数は「生きるために、法を犯してまでも」という意思の元でアメリカに住んでいる人が大多数だろう。そして、貧

          癌になってから、ちょっと身体が不調でも「転移しているんじゃないか」って怖くなる。そして「いいや、死んじゃったって」って自分に言い聞かせるんだけど、結局娘のことを考えると、死んだらイケナイっていう結論になる。最愛の人に先立たれるのが辛いか、自分が死ぬのが辛いか。

          癌になってから、ちょっと身体が不調でも「転移しているんじゃないか」って怖くなる。そして「いいや、死んじゃったって」って自分に言い聞かせるんだけど、結局娘のことを考えると、死んだらイケナイっていう結論になる。最愛の人に先立たれるのが辛いか、自分が死ぬのが辛いか。