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オールナイト映画観賞にてメンタルがふわっと爆死した話

池袋新文芸坐にて、オールナイト映画観賞を初体験。

【WEEKEND】
【カランコエの花】
【永遠に僕のもの】
【Girl/ガール】

4作品を夜通しで観賞しました。

オールナイト映画上映会というと
敷居が高くて玄人ににわか扱いされて居づらくないかとか、
寝てしまわないかとか、集中できるかとか、そう言った諸々の不安がありましたが(ある種偏見…)、
そんなのは不毛な心配でした。
玄人は映画見るのに必死なので素人に絡んで来ないし、普通に起きてたし、全部集中して見てて1作品ごとにうおおおと感情に触れられた良い体験でした。

本を読む時間が圧倒的に無くなった昨今で
映画も見る余裕もテレビを見る機会もなく、フラット(ex.「推し」とか顔が良いとか、こう、話が始まる前から気を取られる要素のないコンテンツ)なお話を吸うタイミングってわざわざ作らないと生まれないという当たり前のことを忘れていた。

とはいえ今回の上映会も自分で知って参加を決めたのではなく、誘ってくれた人がいたので…そういう巡り合わせに助けられるのはありがたみ。

ジェンダーとイノセンス

の開催名の下で先の4作が上映されたのですが、「イノセンス」ってなんぞ?と英語力2なのでぐぐった。

innocence-とは
<意味>
 無罪、潔白、純潔、純真、無邪気、天真爛漫(らんまん)、単純、無知、無害、無毒

しんどいな。

---以下ネタバレにならないネタバレです。---
読書感想文が笑えるほど下手な人が書いています。

WEEKEND

ゲイ男性が運命の人かなって相手に出会って紆余曲折する話。
正直あの上映リストの中で一番幸せなストーリーだった。
帰る相手を窓から映しているカットが何度も出てくるのですが毎度毎度相手の心情が伺える。こういう描写、切ない。
グレン:時折侮辱的名称で呼ばれたり、自らそれを記したりする事に差別を受け入れる(というと絶対に違うけれど端的に書くならそうなる)人生を生きているのか。
オープン過ぎて彼の性格でなければ生きるのしんどそう。
ラッセル:どうして彼が中古品にこだわるのか、もしかしたら人の思い出が詰まったものを使う事に安心感を覚えているのかもしれない。
寂しいって、認識したら苦しい。

カランコエの花

昨年自分の周りでとても話題になって、でも見る予定は無く。上映リストを見て、今回ついに巡り合ってしまったな、と、観賞前に腹を括った。
40分もない、比較的短い物語。
まず描かれた湿度がリアルだった。あの作品の役者さん、天才しか居ないのではないか。
あの空気を私は知っている、と脳味噌が喚いた。
上映会後に語らった友人の「誰も悪くなかったんだよね」が響いた。
数日経って、何故だか無性にもう一度見たくなった。
【あなたを守る】と意気込んだ、無意識の脅威にもう一度触れたい。

永遠に僕のもの

直接的な恋愛やジェンダー表現が前面には無い。途中途中で「わたしは何を見ているのだろう」と何度も自問自答した。
【多分サイコパス映画】というジャンルに自分の中で格納。
謎ダンスが上映会を見た友人たちの間で一瞬流行したし、なんならまだ流行ってる。
美しいし彩色最高だし音楽はSpotifyで最近すごい聞いちゃうし、
幸せってなんだろうなとふと、考えるような瞬間が思い出される。
あととても煙草吸いたくなる。

Girl/ガール

上映前に新文芸坐のスタッフの方が何故この作品を一番最後に持ってきたかをお話されたのですがね、「皆さんにしっかり目を覚ましてもらいたかったからです」と説明されていました。

とてもしっかり目が覚めました。

作中何度もララは「あなたはちゃんと女の子だ、だから焦らないで良い」と他者から窘められる。余計なお世話だ、こちらは焦るし急いでるし現状が嫌なんだ、と、言うわけもないけれど、気持ちに反して身体は付いて来ないし、それで余計に焦る。
トランスジェンダーのトイレ問題。
トイレと言うより、【トイレに行かない様に、水分補給を制限する】こと。
それは自分が経験をせずとも、友人からそういった日々のことを聞いていたことで、まるで自分が経験していたかの様に「大変だよね〜」なんて共感していたのですが。
実際に映像として見たときに「マジか」と衝撃を受け、更に衝撃を受けている自分にも衝撃を受けた。
作品とはいえ、
知っているだなんておこがましい。大変だよね、なんて簡単に同調していた自分に絶望と恥を知った。
もう他者が困っている話に対して「わかるぅ〜」なんて、言えない。


・あなたは女の子だ、正真正銘の女の子だ。だから安心して良いんだよ。と何度も他人から押しつけられるグロテスクさ
・同性を好きなことは素敵なことだから胸を張って!と他人から押し付けられるグロテスクさ
言い聞かせられるほどに、異物感を認識させられる
『貴方になにが分かると言うのか』
・人の苦しみとか才能とか、全てにおいて他者に干渉する事こそが悪でだからこそ関わりたくなるのが人間なのか
(映画観賞後のメモ、殴り書いていた。)


オールナイトが明けて

無事にメンタルがクラッシュしましたが、鬱々したような気持ちよりも「今日は誰もが幸せに生きられるといいな」と零れた。

また吸いたい。

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