ふさわしい不倫(22)
大地との関係を切ることは、簡単だった。
私が切れば、大地は私を追わないだろう。
大地の立場は、精神疾患のある妻と子どもが2人いて、私の立場は独身だ。
選択肢がないのは、大地の方だ。
大地は気づいていないふりをしているのか、強がっているのか、それとも、ネット社会では割と簡単に物好きな女性とまた出会えると思っているのか、分からないけど、私のことはいつでも手放しますよ、という態度を取っていた。
だけど、今回のラインはいつもとは違う。大地にしてはかなり長文だ。
理解して欲しいらしい。
私はどうだろう。
性癖を受け入れるか、受け入れないか。
クライアントは様々な男女関係を教えてくれる。
性欲が強い夫が、庭でオナニーをするのが耐えられないということで離婚を希望してきた人がいた。
風俗を許せたら解決という話ではない。
「庭でオナニー」に代わるものはない、という話だ。
妻が離婚したくなければ、「庭でオナニー」を受け入れるしかないのだ。
性癖はそういうものだ。
しかし、大地の性癖が、妻と不仲になったタイミングで起こっていることや、複数プレイは男性なら少なからず憧れていることだと思うし、受け入れられなくないと思う。
私の本当の気持ち。
理屈じゃなくて、気持ちで選択したい。
私は40歳だ。
人生の折り返し地点では、人にどう思われようが、自分の気持ちで、出来る限り、一つ一つのことを選択したい。
大した人生ではない。
ありふれた独り身のおばさんの人生だ。
だけど、ありふれたものになっているのは、自分の気持ちを無視してきたからもしれないとも思う。
毎回、付き合う男性に、何を考えているのか分からないと言われてきた。
言葉にしなくちゃと思う。
「私は、大地が私以外の女性としているところを見たくなかった。
あの場で、私が悪かったのもしれないけど、
私は大地を好きになっちゃったみたい。」
(つづく)
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