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映画『えんとつ町のプペル』をくすんだ心の主婦が見た感想

緊急事態宣言中だと言うのに、映画館へ行った。ほんとは行かない方がよいだろう。けれど旦那はコロナ禍でも、未就学児の我が子を連れて、鬼滅やドラえもんの映画を見に行く。2人でだ。
今回は『えんとつ町のプペル』。さすがに心配になったので、私は感染対策要員として一緒に行くことにした。映画館ではまだクラスターが発生していない。みんなマスクをして黙ってるから大丈夫。テレビで誰かが言っていた。それを信じている。

プペルはキングコング西野亮廣さんの作品。絵本がバカ売れしてるのは知っていたが、実際に読んだことはない。予備知識ゼロでの鑑賞だ。
※以下、ネタバレ

物語がすごい。ゴミの町、煙突の町、煙で星が見えない、ありそうでなかった設定。脚本に盛り込まれた環境問題、政治など、さまざまなメッセージ…に関しては、きっとプロのライターが書き尽くしているだろうからここではあえて書かない。私個人の感想だけ書く。

39歳、子育て中の主婦。響きたいのに響けないお年頃だ。どんなにスリリングなシーンも、全て魅せるための演出であり、主人公は死なない。ジェットコースターのように感情が動くことはない。作り話だもん、ギリギリを責めて当然だろう。年齢的に映画を何百本も観てしまっている経験値が邪魔で、ハラハラすることを許さない。ハラハラしたいんだよ。1900円のチケット代を払ってるんだから元を取りたい。そこでムリヤリ視点を変えてみる。すごい映像美だなあ〜、なんつって。絵のタッチやら背景に目を向けてみるが、やはり感情は踊り出さない。とは言え、ストーリーがすごいのはヒシヒシと伝わってくる。無駄がないし、凝縮されてるし、西野さんすごいと思った。

ただね、エンドロールで最後の最後にバーン!!って西野さんの名前が出たときに、キングコングとは書かれていなかったのが少し気になった。まてよ。解散したんだっけ?気になって調べたが、解散はしてなかった。吉本の公式ホームページもほら。

ふと私の頭の中に、南海キャンディーズのエピソードがよぎる。しずちゃんはフラガールに出演した際、エンドロールにコンビ名を入れてくれと頼んだそう。それなのに?カジサックとはあったけど、私みたいなうるさい奴の対策に、しぶしぶ入れたようにみえてしまう。ちょっと調べたら、東京ウォーカーのインタビューでカジサックがこたえてた。

うん。もうこれ以上調べるのはやめよう。キングコングを出すメリットがゼロだったのだと勝手に解釈する。

何はともあれ、ピュアハートの子供にはとてもよい映画だと思う。感受性が育つだろうし、至るところで泣いていた。観賞後、どこが一番良かったか子供に聞いたら、「ケンカしてたのに、最後はお友達が船を出すのを手伝ってあげたとこ」とこたえた。え!そこ?!そこが一番感動したの?!…私の心がいかにくすんでいるのか思い知らされた。

さらに言うと、上映中に子供の膝が座席に設置していたトレーにあたり、床一面、ポップコーンだらけになった。旦那はきちんとトレーがハマっていなかったせいだと私を責めた。私はプペル…ゴミ人間…。ごめんなさい、ごめんなさい。(映画館の人には事情を話して丁重に謝りました)

このコロナ禍で、人間の心はどんどんすさんでいる。やり切れない思いがあふれかえって、自殺したり、他殺したり。つまらない世の中、つまらないニュース。暗いところに目を向ければ、いともたやすく地獄行き。けれど、小さな幸せに目を向けて、日々をやり過ごしていくしかないと思う。

プペルには背中をそっと押してくれる雰囲気があった。だからこそ、私はポップコーンが散らばっても、旦那に責められても、心穏やかでいられたのだと思う。こぼす前に2回膝に抱えて、ラッシュ食いしといて良かった。歯に詰まったポップコーンの皮さえも、今は愛おしく感じる。ありがとう、塩気と甘さ。ありがとう、食物繊維。ありがとう、プペル。

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