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【選挙ウォッチャー】 盛岡市議選2019・分析レポート。

今日は新宿のネイキッドロフトでカルトイベントが開催されますが、これに先駆け、ぜひともお届けしておきたかったのが盛岡市議選です。これはあまり知られていないことなのですが、日本の政治は既に「カルト」に侵略されています。あれだけ「NHKから国民を守る党」が軽々と議席を獲得してしまうところを見ても、カルトに侵略されていないはずがないという話になりますが、僕たちがあんまりにも政治や選挙に無関心になり過ぎたために、あらゆる所でカルト議員が誕生しているのです。

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カルト議員が誕生すると街はどうなってしまうのか。これは石垣市の陸上自衛隊の基地を見ていただければわかると思います。幸福の科学の関係者の所有地が転売され、基地として使われている現実。僕は「NHKから国民を守る党」「カルト」だと思っていますが、カルトの特徴は「普通の人がモラルを持ってやらない一線を踏み越えてくる」ということです。それは結果として、市民を苦しめることになるかもしれないのです。


■ 盛岡初のLGBT議員の誕生

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カルトに侵略されていて、終わっているとしか言いようがない現実を見る前に、ちょっとは明るい話をしておきましょう。今回の盛岡市議選では、おそらく初めてLGBTを公表している議員が誕生しました。加藤麻衣さんはレズビアンであることを公表している25歳の若い女性です。実は近年、LGBTの候補は選挙に強い傾向にあり、加藤麻衣さんはまったく組織を持たずに戦っている完全無所属の女性にも関わらず、2位で当選しています。

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加藤麻衣さんは、まさに手弁当の選挙をしており、LGBTの多様性を示すレインボーカラーを採用。タスキに名前ではなく、レインボーを身に着けるという斬新なスタイルでした。都会では少しずつパートナーシップ条例が制定され、同性カップルの権利が確保されるようになってきましたが、田舎ではまだまだ理解の得られないところが多いです。盛岡市にもLGBTである人はそれなりにいるはずで、若い女性が勇気を持って立候補してくれたことを頼もしく歓迎する傾向にあったと思います。実際、街頭演説している場所に激励に訪れる人もいて、選挙においてLGBTは「武器」になりつつあります。

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「人生をカラフルに」というキャッチフレーズも秀逸で、もし好きな人と行政の障壁がなく自由に暮らせるようになったら、どれだけ人生がカラフルになるだろうと思いますし、レインボーカラーは実際にカラフルです。実際の彼女はさまざま政策を持っていましたが、前に押し出す政策をLGBTにまとめたことは戦略上正しいと思います。彼女はべつに戦略でやっているわけではなく、本当にLGBTの権利を守りたいだけなのかもしれませんが、僕は戦略を研究する人間なので、彼女の気持ちとは別に、それがどのような効果をもたらしているのかを分析しています。それで言うと、LGBTの権利を守ることは、べつにLGBTでないストレートな人でも掲げることができる政策です。言うだけでやらないことがあってはならないのですが、もしLGBTへの政策も前に進めていきたいという気持ちがあるのであれば、こうしたLGBTの権利を守る政策を前に出すのは票につながると見ています。LGBTでなければレインボーカラーを掲げてはいけないというルールはないのだし、実際、LGBTでなくてもレインボーカラーを掲げている人はいて、その人たちは軒並み当選しています。

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「LGBT政策」を前に押し出して負けた例というのは少なく、今年の参院選で京都府の増原裕子さんが負けているのですが、この負けはLGBT政策が嫌われたというより、そもそも増原裕子さんが候補者として嫌われてしまったという部分が大きいです。いつか参院選の分析レポートで解説する予定ですが、国民民主党も含めた調整の中で立候補することになったのに、降りてもらった人への感謝の気持ちがなかったり、縁のない京都府で立候補するにあたり、京都に対する敬意が足りなかったりするのは、LGBT政策以前の問題だと思います。同じく立憲民主党から立候補した石川大我さんは当選しているのだし、新宿区議選では2人のトランスジェンダー議員が誕生しています。時代はLGBTに対する理解が深まり、当人がLGBTでなくてもLGBT政策を掲げる候補に投票するようになってきたと言えます。

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そして、今のところ全国のLGBT政策を掲げる議員たちは、よく働く傾向にあります。加藤麻衣さんも興味本位で議会を傍聴してみたところ、「こんなに酷かったのか!」と衝撃を受けて、自分が議会を変える道を選んだ人です。こういう人がもっと増えたらいいと思うのですが、ろくでもないジジィどもがろくすっぽ仕事をしていない現実に気づき、若者たちが立ち上がるようになれば、世の中は少し変わります。これが盛岡市で見た唯一の希望だと言えます。


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