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思わぬ転落防止策

 ちどり保育園の園舎は上の写真のように2階建ての園舎です。園庭に面した窓の内側には廊下があり、その奥に各保育室が配置されています。
→ 詳しくは保育室の紹介をご覧ください

 2階の園庭に面した廊下の窓も子どもたちの身長に合わせて、外を覗くことが出来ない高さに設定しており、また窓の鍵も絶対に手の届かない位置に設置していました。しかし、あるとき廊下の窓の“へり”に手をかけ、外を覗こうとしている子どもたちを職員が発見しました。クラスの子どもたちに事情を担任が聴いてみると、半数以上の子どもたちが同じように手をかけて、外を覗こうとしたことがあるということが分かりました。


2階窓のへり部分について

 このままにしておくと転落の危険性があると判断し、職員会議で全員から意見を募りました。様々な意見の中から予算との兼ね合いもあり2階の窓枠に落下防止の柵を設置する方向で検討することとなりました。窓枠に柵を設置するためには事前にちどり保育園を設計した設計師へ確認してから工事を行うことになりますが、そこで設計士から思わぬ答えが・・・。

2階の園庭側の窓には柵は設置できません

 衝撃の一言でした。設計士によるとある法律上の理由から、園庭側の窓に柵を設置することは法令違反となるとのことでしたので柵の設置は諦め、別の対応策を考えることにしました。

  • 子どもたちに手をかけないように注意する。

  • 窓側を歩かないように指導する。

  • 子どもたちが移動する際、職員が窓側に立ち見張っている。

 どれも注意したり、見張ったりしているときは安全かもしれませんが、保育園が空いている時間全てを注意することはできません。子どもたちが「そこには手をかけてはいけない」という決まり事を自分で守らなくてはいけません。
 対策が決まらない中、あるニュース番組を見た職員から「警察などの捜査で使っている黄色いテープが使えるのでは?」と意見が挙がりました。


廊下に貼った黄色いテープ

 その職員のアイデアを元に黄色いテープ(ラインテープ)をASKULなどで購入し、上の写真のように廊下や子どもが掴まる場所へ貼っていきました。もちろんテープを貼っただけではなく、保育士が子どもたちに入ってはいけない場所、触ってはいけない場所であることを伝えました。
 また、ちどり保育園は4、5歳児に限って縦割りクラスを実施しています。5歳児の子どもたちに「入ってはいけない」ことを伝えると、縦割りクラスのお兄さん、お姉さんは4歳児に教えます。次の年になると4歳児は5歳児となり、新たに入ってきた4歳児へ「入ってはいけない」ことを教えます。このようなことが何年も繰り返し行われ、今では保育士が教えなくとも子どもたちが決まり事を自分たちで守るようになりました。
 現在では黄色いテープが貼られている箇所に入ったり、触ったりする子どもはほとんど見かけません。思いがけない場面で見つけた対策でしたが、今では思いがけない効果を生み出しています。

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