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木下優樹菜さんの発達障害告白と「ブレインクリニック」について、娘と通った私が思ったこと~1~

脳波で発達障害がわかるのか??

木下優樹菜さんがYouTubeで発達障害を告白し、ブレインクリニックに行って、脳波を測定してもらって「ADHDだった」と話をしたことが話題になった。これに関しては以下のような記事も出て、非常に反響を呼んだ。

予想通り、というか世の中の専門家はほぼ全否定に近い。
しかし、私はグレーゾーンで不登校だった娘(現在6年生)がブレインクリニックでTMS治療を受け、その大きな変化を実感した立場から、ここまで批判されるようなものではないと主張したい。もちろん専門家からしたら、エビデンスの確立された医療行為ではないので否定的になるのは当たり前だろう。しかし、私の娘には非常に効果的だったので、この経験を多くの人に知ってもらいたい。日本ではあまり一般的ではないが、このTMS治療を含むブレインテックの研究はアメリカ、イスラエル、中国などで進んでおり、そうインチキなものではいと私は結論づけて治療を受ける決断をした。


番組内で語られていたQEEG検査について

木下さんが番組内でQEEG検査の結果の紙を見せていた。赤いところが異常で、普通の人は緑というようなことを話している。
私の娘も最初にこのQEEG検査を受けたので、結果を保管している。21年に受けた時より、木下さんの内容の方が少し項目が詳細になっているように感見える。木下さんの結果画像を見ると赤と青のところがかなり大きく見えていて、娘よりもかなり気分のムラのある人なのかなと感じた。

検査が終わった後医師の説明があるというので、しばらく待った。
まず、この画像だけを見せられても全然意味が分からない。
先生の解説があって、ようやくそういうものかと少し納得できるくらいだ。
我が家にある治療前と治療後の画像を見比べてみても、やや色が変わった部分がそこそこあるものの、そんなに効果があったのかよくわからないのが正直なところだ。お医者さんというのは画像診断などでも、微妙な影や変化を事細かに見るので、こういうゆるやかな変化が一般的なのかもしれない。
娘自身は大きく変わったので不満はないのだが、治療後に脳波の色が劇的に変わるというものではないのだろう。
検査後に医師がこれで何がわかるのかを解説してくれた。その解説してくれるドクターの力量も多分にあるのだが、説明されたことは以下のようなことだった。

・脳のシナプスのこんがらがっているところが赤く見えている
・左右差があるので(娘は右が赤かった)、気分のムラが出やすい
・ADHD傾向あり うっかり注意散漫 
・ワーキングメモリ マルチタスクが苦手
・論理的で理由を欲しがる「○○はこうあるべき」と考えがち
・自分流のこだわりが強いが(ややASD傾向)、アスペほどではない
・情報のパス回しは良好 処理しきれていないので深く眠れない
・普通は脳のシナプスがくっついたり離れたりするのだが、発達障害の人はこの赤い部分のシナプスがくっついたままで、ずーっとぐるぐると考え続けてしまい脳が休まらないので熟睡できない。TMS治療でシナプスがくっついたり離れたりすることを覚えさせて、脳を正常な働きに戻す

先生はいろいろ話してくれたのだが、だいたい上記のような指摘と説明であった。確かに娘の傾向を言い当てていて、うーんと唸るしかなかった。娘は赤ちゃんの頃からなかなか寝なくて難儀したのだが、これが原因だったのかと思い知った。気分にムラがあって、機嫌を損ねたらなかなか回復しないこと、お店に行く順番が変わると癇癪を起こす、理由を聞いて納得しないと動かない、子供だましが通用しないなど、なぜこの子はこんなに扱いにくいのかと思っていたが結果を聞いて納得した。3年生の終わりに市の教育センターで受けたWISC検査でも、ワーキングメモリや処理速度は低く、言語性IQだけは非常に高かったので、その時の結果と今回の指摘が大きく矛盾しているようには感じなかった。
専門家から見たら、占いみたいなもので、バーナム効果で誰にでもそこそこ当てはまるようなことを言っているのでは?という疑問を感じるかもしれない。信じるのかやめるのか、この辺の判断は本当に難しい。

治療について先生と話す

その担当医と治療を受けるべきかどうかを話してみた。
ブレインクリニックにかかる前には1年ほど児童精神科に通い、適応障害と診断されエビリファイとレクサプロを少量飲んでいたと言うと、

先生「その薬本当に効いた?」
私「最初は少し元気になったし、効いていると思ってたんですけど
だんだん元気がなくなってきて先生に相談すると「じゃあ量を少し増やしましょう」となってその繰り返しで薬の量が増えるだけで、いつになったらよくなるんだろうと思って、それでここに来たんです」
先生「結局そうなるでしょ。子供がだんだん薬漬けみたいになって。それが嫌で僕この病院に来たんだよね。」
「1クール(32回)受ければ99%の人に効果はあると言われているので、
これ(娘の結果)だったら効果はあるんじゃないかな。
年取った人よりは若い人の方が効果は出やすいよ。
壁に向かってブツブツ言ってるような人には効果ないけど。
うちの機械は安全性を重視しているので、
ドイツの機械を使っているから、ちょっと高いんだよね。
安い東南アジア製とかもあるけど、やけどがあったりとかたまにあるから、いい機械を使ってる。」

検査結果を見ながら説明されて覚えている内容はだいたいこんなところだ。
この先生は非常にいろいろなことを率直に語ってくれたように感じていたが、治療を受け始めてからは残念ながら途中でいなくなってしまった。できればこの先生にずっと診察を受けたかった。
その後正式に1クール(32回)の治療を受け始め、4回に1回医師の診察を受けるというルールになっていたが、この先生のようにキレキレの説明をしてくれる先生は他にいなかった。もうちょっと積極的に説明してくれないかなと思ったり、こう言われたらこう返すと決まったことを言っているような微妙な感じの先生もいて、スッキリ聞けたと思う先生はあまりいなかったように思う。娘がTMS治療を受けても副作用は特になかったため、医師の診察は微妙だなと思いながらも、あまり大きな影響はなかった。

高額な自由診療費一体いくらなの??

ブレインクリニックへの批判にはいろいろあるが、その一つに「エビデンスの確立されていない治療法で、高額な医療費を請求している」というものだ。一体いくらなのかパンフレットをもとに公表する。

簡易法 前頭葉に照射
標準法 背外側前頭前野を特定し、
    その方に合ったオーダーメイドの強度で照射

ブレインクリニックTMS治療費(2021年1月現在)

標準法で1クール受けると、60万越え!
「車買えるな…」と思った私は田舎の出身だ。
この標準法での照射がブレインクリニックが特許を取っている方法で、QEEG検査で赤くなっていた脳の部分を狙って照射するという治療になる。
簡易法の「前頭葉に照射」というのはうつ病の治療に使われる方法だったと記憶している。なので、簡易法で効果があるのかはかなり疑問だ。

即決するには高すぎる金額なので、さすがに一度持ち帰ることにする。

私がTMS治療を決断した理由

QEEG検査で指摘されたことがあまりにもぴったりだったので、
これらの問題が良くなるなら、これで娘が元気に生きやすくなるならと
治療を受ける方向にかなり傾いていた。
TMS治療については、今でこそいろいろな民間病院がHPを開設して詳しい解説を医師が書いているが、たった1年半ほど前だが、我が家が治療を迷っていた時期には検索してもまだあまり情報がなかった。ある病院の医師は「TMS治療は発達障害そのものに聞くのではなく、二次障害に効いている」と書いていて、これを治療前に読んでいたらかなり躊躇しただろうと思う。が、その指摘を念頭に置いたとしても、私の娘はTMS治療で発達障害特有の症状が改善されたと実感している。
検索しても体験談をまとめて書いている人もほぼいない。ツイッターで単発的につぶやいている人がいるくらいだ。noteにもわずかだが体験談を書いている人はいたが、これも単発的であまり参考になるほどでもなかった。
「うつ病治療に使われている治療法を発達障害に適応する」
というかなり先を行き過ぎている方法に、信用していいのかかなり迷った。
そんな中、TMS治療を信頼できるかもしれないと思ったのは、ネイチャーダイジェストとNewsweekの記事だった。
根拠となった記事を以下に紹介する

Nature ダイジェスト

Newsweek

TMS治療は以前からかなり研究されていて、アメリカでは主にうつ病治療に利用されている。その有効性も確認されており、保険も適用される。
日本でのTMS治療は「薬物治療が効かないうつ病患者」に限って保険が適用されるためまだなかなか普及が進んでいない。治療を受ける機関も限られる。
いろいろ検索しながら世界中で研究は進められているものの、日本で普及が進んでいないだけで、この治療に効果はあるのではないか?と考えるようになった。もちろん子供への効果はまだ未知数、そしてリスクもある、ということも考えた。

支援からこぼれ落ちるグレーゾーン

その当時の私は、リスクを取ってでも娘が毎日暗い顔をして生活しているのをどうにかしてあげたいという気持ちが大きかった。児童精神科に行ってみたものの手詰まり感しかなかった。娘の症状は外に迷惑をかけるタイプではなく、ひたすら内向きに苦しむタイプだった。学校でも問題を起こしたり授業についていけないということもなかった。少しペースがゆっくりなだけで、発達障害の専門家に見てもらったところで、何か大きく変わることも考えにくかった。とりあえず何らかの診断はつけてもらえたかもしれない。
グレーゾーンの子の非常に難しいところは、症状が重くないために支援からこぼれ落ちてしまっても気づかれないままなのだ。私は娘が不登校になり何か違うと思い、いろんな勉強をし、あちこち相談に行ったが、世の中には本当は支援が必要なのに不都合を感じながら必死で学校生活に合わせようと生きている子がたくさんいるに違いないと思うと他人様の子であっても胸が痛む。

長くなったので2に続く

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