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イートインの窓際から見える幻

ここから見る景色が好きだ。
パン屋のイートインの窓際のカウンター席。

仕事が少しはやく終わった日の帰り、娘を保育園に迎えに行くまでの、束の間の時間、コーヒーを頼んで、ここから外を見てボーっとする。

家に帰ってもいいけど、夫が在宅ワークで家にいる。

家族は大好きだけど、誰にも話かけられない、ひとりの時間も大切にしたいのだ。

ここは、この街に引っ越してきたときからある、パン屋だ。もう15年も前から知っていることになる。子どもが産まれる前によくひとりで来ていて、産まれてからは娘とよく来て、またひとりで来るようになった。

美味しくて、近所の人はみんな知っている、人気のパン屋。

ボーっと外を見ていると、イケメンが私の目の前を横切った。

よく見ると、わたしの推しの彼によく似ている?
やだ、最近何故か推しの夢をよく見るから、現実の若者までそんな風に…。

っていうか、激似。メガネにマスクをしているけど、あの横顔に背格好、少し丸い背中。

え?まさか?まさか?

そんなことある?

そんな!

…!

なーんて妄想したりして。

実際会えたとして、こんな仕事帰りのボサボサ頭じゃ、声かけるどころか、隠れちゃうな。

歳とっても、そんな乙女心はあるわい。ぼけー。


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