大人のあくび
1週間ごとにテーマをかえてエッセイを綴る試み、今週はテーマ「手のひらサイズ」です。今日は3日目で「大人のあくび」です。
_________________________go!
あくびって思いっきりしたら、どんな人でもブサイクになるよね。
保育園に送った帰り道、自転車でいつもの道を走っていたら、すごいでっかい口を開けてあくびをしている女性がいたんだ。手も当てず。
その顔が衝撃的すぎた。
口をガッと開けると、うわあごの顎関節の上の、目の横の筋肉がもりっとなって、顎関節との間に凹みを作る。そして開いた口の頬の肉は伸びて凹む。
あごが外れちゃうよ〜ってくらいにでかい口を開けてるから、顔半分の側面がこの凸凹に占められた。この凸凹とあごが外れたかと思うくらいに大きく開いた口がセットになって醜い。
人間の口って、閉じている時は大きく見えないけど、ガバッと開けると、こんなに大きいんだってくらいに開くよね。
猿みたいだなって思った。
猿とおりこして獣みたいだなって思った。
いや、獣っていうか、もうブラックホール開いちゃってんなって思った。
お願いします、吸い込まないでえええええ!!
歳の頃30代前半くらいかな、サバサバ系女子って感じ。ねっむいわ〜とでも思っているのか。
なんか、会社のデスク汚そう、とか、言葉遣いきつそうとか、思ってしまうのわたしだけ?あくびを手で押さえない所作ひとつだけで。
わたしだって家ではブラックホール級のあくびをします。顎外れるかもくらいのあくびをします。あくび大会選手権を開いたら上位に食い込むくらいのあくびをします。
でも外では手を添えるよう気をつけている。周りの人に見せたら気分を害するだろうから。でも多分、子どもや若い子は可愛いよね、あくびに手を添えなかったとしても。こんな獣みたいな扱いをされることはないんじゃないかな?
歳をとると、若い子なら許されることが、歳をとったってだけで醜くて許されないことが増える。
例えば化粧もそう。若い頃はすっぴんでも可愛いと言われたけど、歳をとると、化粧もしないで外に出たら、ちょっと身だしなみに気を使えないとか、雑な人、とか、身の程をわきまえない、とかそんな風に映ってしまう。
問われているのは、常識。
歳をとったら常識があるかが、賢い大人かどうかのものさしになる。
あくびひとつ、靴の履き方ひとつ、靴の揃え方ひとつ、挨拶ができるかできないかひとつなどなど。
ひとつずつは他愛ないことかもしれない。でも歳とともに積み重なるんだこれが。
その片鱗を彼女に見てしまったわたしは、神経質かな?
ははは。
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