マガジンのカバー画像

小さな詩と絵Ⅱ

455
絵にちいさな詩を添えて・・・Ⅱ
運営しているクリエイター

2018年6月の記事一覧

ちいさく揺れる幻の花は
そっと握りしめた 君のその手のひらの中に
希望のように咲いている

砂時計のようにこころに落ちる
花びらの赤いカケラは
遠い日の あのやさしい夕陽に似ている

願い事はひとつだけ
星屑の河を渡って
あの人に もう一度逢えたなら

眠れぬ夜に三日月のお砂糖(ちいさな物語)

眠れぬ夜に三日月のお砂糖(ちいさな物語)



ほろほろと溶けてゆく 三日月のお砂糖

それは夢の扉を開く 甘くせつない香り

ほろほろ 夢の中へ 静かに溶け落ちて

雪のような ちいさな白い花になった

白い花に

ちいさな白い花は 今もこころの淵に咲いている

遠くからでも とてもいい香りがするの

・・・・くれるの?  私に

私のことを 覚えているの?

いい香り・・・・

あの人に逢いたくて

今宵もまた 逢いたくて

ほろほろと溶けてゆく 三日月のお砂糖
それは夢の扉を開く 甘くせつない香り
あの人に逢いたくて 今宵もまた逢いたくて

たとえば おぼろげな記憶をかき集める中で
ひとつだけ 今もはっきりと僕の中で揺れる色がある
君がいた あの日の あのむせぶような空の青だ

甘い花びらの陰
やわらかい風が香り 悲しみが飛ばされる
ああ 昨日見たやさしい夢に似ている
あの人がいて 私の好きな花を抱えてた

君の耳元に 夕陽のような夏が揺れる
いつの間にか
その瞬間も遠い想い出に変わるから
すこしだけ そのままで