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受験中心の教育から脱却し、大学卒業後の実用的な英語力を身につけるアイデア【11月19日講座】

頑張れ、大学英語教育!大学での授業実践と高大接続、高大連携
講師 中西 哲彦 × Gary Kirkpatrick

11月19日(日)「頑張れ、大学英語教育!大学での授業実践と高大接続、高大連携」開催します。講師・中西 哲彦 先生に、今回の講座や大学英語教育そして英語教育全体につながる強い思いを伺いました。

大学英語教育、改善の必要性

ーーー今回の講座は大学英語教育についてのものですが、どうして今回取り上げることにしたのか、教えてください。

これまでの高校とか中学校の先生方の研修をさせていただく中で、たくさんの先生方にお会いして、やっぱり英語の授業の中心に「大学受験」があるという声をたくさん聞きましいた。どうして授業がそんなに文法中心だったり、解説中心だったりするのか、そこはやはり「受験」があるからということらしい。大学入試問題が、英語教育に弊害をもたらしているとすれば、それは、問題そのものが、単に点数をつけて選別するだけのものになっていることが、ひとつにはあると思えるのです。良い問題は、学習指導要領がかかげる小学校から高等学校までの英語学習の指針、指導の指針をしっかり踏まえ、English for Academic Purposesのジャンルで、英語力を見るものになっていると思うのですが、そうではない、単に点数をつけて選別できればよい、そんな問題を出す大学もたくさんあると思います。

さらに、共通テストや入試問題を通過せずに、半分以上の大学進学者が、入試問題を受けることなく、推薦入試で大学生になる時代です。そうなると、どうやら入試があるから、語法問題はまだ大切、訳読も、和訳が入試に出るから大切、という理由も、そろそろ成り立たなくなる。大学の教育内容そのものに問題があるのではないかと思えるのです。どんな改革が必要で、その困難さの中でどんなことが可能なのか、ヒントを差し上げられるかもしれないという思いから、ということです。入学広報を担当する部署や、就職活動を支援する部署、学部での授業など、大学での仕事を20年以上携わらせてもらいましたが、私の体験が、みなさんの役に立てばという思いが、70歳を超えてふつふつと湧いてきてしまっています。

私自身、この大学なら、もう一度キャンパスにもどって、学び直したいと思わせてくれる大学もたくさんあります。うまく行っている大学、うまく行っていない大学、後者の方が多いように思えるのです。多くの大学では、英語科目を担当する先生方がお困りなのではないかと。うまく行っている大学は、そもそもある程度学力が高い学生が集まる、ということもあると思いますが、いわゆるAdmission Policyがしっかりしている、教育内容がしっかり設計されている。要するに、中味がしっかりしているから、推薦入試でも、評価の方法や、基準が、きちんと作られていて、それを、面接などにあたる教員たちが共有しているし、一般入試で出題される問題にも、大学での学びが反映されている。こんなことができないと、入れませんよ、というメッセージがあると思います。私がヒントを差し上げたいと思っている大学は、そうじゃない大学です。習熟度に分けたと言え、その分け方に問題があったり、やたらTOEICスコアをあげろとプレッシャーをかけて、問題集を教材として使用することで、授業改革が行われたことになっているとか、学生にやる気がなくて、教える側も学ぶ側も、授業を実施したという実績づくりのために授業を行っているとか、そんな大学で苦しんでいらっしゃる先生方に、ぜひ、ヒントを差し上げたい。

This session may give native English-speaking teachers basic ideas on how to use LCTs in classes for adult English learners.

ーーー前半は中西先生にこれまでの体験に裏打ちされた大学英語教育でのヒントを語っていただき、そして後半、それを受けて実際に現在も大学で英語の授業をされているゲイリー先生(Gary Kirkpatrick)が茅ヶ崎方式のLCTを使って、授業をされる。

はい、あの素材、茅ヶ崎方式英語会が作っているLCTを見事に教材化して、授業を実施されているようです。ゲイリー先生の授業の学生はかなりの数の留学生もいるようで、非常に多国籍、それにいろいろな学部の学生も入ってくる。つまり英語の習熟度に、あるいは社会的な知識にかなり差のある学生たちの集団を、いかに時事英語の教材で惹きつけて、うまくまとめてるかっていうことを実践されています。いろいろな方々の参考になるんじゃないかなと思います。
学生の心を掴む様々な工夫をしていらっしゃる。英語教育の実践者として素晴らしい才能をお持ちで、すばらしい教育者です。こういう風に素材を使うと、学生の学習習熟度の広がりを吸収するクラスができる、しかも、授業を通して学生ひとりひとりに「学び」をきちんと与えてるっていう、一例を聞いていただくことができるんじゃないかなと思います。

私がゲイリー先生に出会ったのは、30年ほど前、ある愛知県内の私立の女子高校です。その女子高校が今や、大変な変貌を遂げてるんです。たくさんの英検準1級や1級合格者を輩出して、共学にもなり、そろそろ中高一貫6年生も始めようかという教育内容が充実した学校になっています。その基盤を作られている頃、教育者としてご苦労されてるところに出会いましたね。
その後、ある大学での通信教育の教材を一緒に作ったり、あるいは英検の通信教育の教材を一緒に作ったり、茅ヶ崎方式の月刊誌の原稿を一緒に作ったりしましたね。
ゲイリー先生の実践を参考にしていただいて、授業の改革に取り組んでいただけると嬉しく思います。

英語教育の中身に関心を持つ必要性・大学と中学高校の連携

ーーー今回の講座は、中学・高校の英語の先生にも意識するのも大切な内容ですね。

例えばですね、学生が入学してきてどこまで英語力を伸ばすのかと。卒業したときに、どれぐらいのところまで伸ばすんだっていう、そういう指針を持って、授業を組み立てて実施していく。私は、これが本当の接続だと、あるいは連携だと思うんですよ。高校の学習指導要領に照らして、それに沿った授業をさらに積み上げる、あるいは高校大学、中学高校の授業の中身に内容を積み上げていく、あるいは足りなかったところを補完してあげるということが必要と思います。

グローバルな社会の中で活躍できる人材をどんどんどんどん育成しなきゃいけないんだと。そういう義務感っていうか、社会的使命をもっと感じて、いろんな大学が頑張ってくれという思いが強くあります。
中学、高校の先生方にとっても、大学でのしっかりした英語の授業、その方向性を確認していただいたり、大学での理想的な授業を共有していただいて、日々の授業への活力源にしていただければ、うれしいですね。


頑張れ、大学英語教育!大学での授業実践と高大接続、高大連携
講師 中西 哲彦 × Gary Kirkpatrick

https://chigasaki2023autumn01.peatix.com/view

開催日: 2023年 11/19(日)
開催時間:10:00~12:00
場所:オンライン(Zoomを使用します)

茅ヶ崎方式英語会

LISTENINGを言語習得の基盤として、ニュースを素材に役立つ英語を段階的に身につける。1981年、元NHK国際記者らによって茅ヶ崎にて創設。全国およそ100校の茅ヶ崎方式協力校において学習会を行っている。


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