見出し画像

◇味噌カツが食べたくて

無性に「あれ食べたい!」という気持ちに支配されることはありませんか?空腹とは関係なく、心が欲しているような感覚。それが今日、わたしの身に起こりました。求めたのは、味噌カツ。

というわけで、お昼に食べにいきました。

画像1

トンカツ屋へ足を運ぶと、選ぶのはだいたい味噌カツ。どの店でもそうです。メニューは一通り眺めるんですけどね。結局「いつものアレ」になる。
特にこの、鉄板に乗った味噌カツはたまりません。

このお店ではテーブルに運んできたあと、目の前で味噌ダレをかけてくれます。さらりとしたタレは一気に鉄板の上を走り、ジュワワワ、パチパチッとにぎやかな音を鳴らします。そして立ち上る真っ白な湯気、甘く香ばしい味噌の香り……胸が躍るひととき。

音が落ち着いたら、まずはキャベツ。ふうふうと少し吹き、熱さに気をつけて口の中へ。しんなりしながらも程よく食感が残り、特に芯の部分は噛むと甘みが広がります。

そしてカツ。さっくりと音も食感も軽やかな衣は、タレを十分に吸うと非常にしっとりして肉に馴染むんですよ。両極端な感覚が、同時に楽しめる。また肉の柔らかさといったら、抵抗もなく歯がすうっと進んでいって。内に秘めていた熱が口中にあふれ出してくる瞬間もまた、良いものです。ほっほっ、と冷ますようにしながら、身体全体に熱がいきわたって行くのを感じる。じっとり、額に汗がにじみさえする。
好みで振る山椒がピリっと香ばしく、絶妙なアクセントになります。

ご飯は菜めしを選びました。シンプルに白米でも美味しいのだけど、菜めしの塩気が、味噌の甘さに慣れた口を引き締めてくれるんですよ。ふたたび新鮮な感覚で、カツを味わえる。それに菜めしのシャキっとした食感や香り自体が、とても好きなんです。

すっかり食べ終えるころには、身体はぽっかぽか。お腹も心も満たされて、幸せな気持ちでお店を後にしたのでした。ああ、美味しかったなあ。