◇お宿でのんびり

今日は愛知県蒲郡市のとあるお宿を訪れました。宿泊したわけではなく、利用したのはデイユースプラン。
大学時代の先輩と久しぶりに会うことになり、「ゆっくりお話を楽しみたい」と言ったところ、提案していただいたのです。彼女が職業柄、旅館に関心が高いのもあって。

蒲郡は三河湾に面していて、竹島水族館があったり、みかんの産地だったり、複合リゾート施設「ラグーナテンボス」があったり、また複数の温泉が存在する地でもあります。わたしの住む場所から遠くはないのですが、実はほとんど訪れたことがありません。

今回訪れたお宿は、西浦温泉の中でもっとも高台に位置していて、三河湾を一望できる場所。通常の浴場に加えて、屋上には露天風呂や足湯もあります。
天候が悪かったのもあり、わたしたちは利用しなかったのですが……お部屋からはたしかに三河湾が臨めました。

旅館に入ってすぐ、出迎えてくれたゆーひくん。

どうやら西浦温泉のゆるキャラらしい。
ゆるキャラグランプリのページ
で確認したところ、「あさひちゃん」というキャラと姉弟なんだとか。ゆーひくん、16億歳なんだって。

いただいたお昼。
お野菜を噛んだ瞬間、パリッ、と切れのよい音がしたかと思うと、口の中に広がっていく風味の濃さに驚いておりました。噛むほどに味が出る。
お吸い物も蓋を開けると同時に三つ葉の香りが鼻をくすぐり、つみれは弾力がありながら軽やかな舌触りで、湯葉はもっちり感さえあって。
海老にお刺身にと海鮮もあるのだけど、ホタルイカがひと噛みするたびに旨みが滲み出していくのがたまらなかったなあ。
デザートのプリンは、とても滑らかでありながら緩すぎず、舌先に触れたときは優しいのに、喉を通り過ぎる瞬間に濃厚さを存分に発揮していく。添えられたスイカは瑞々しくて、溢れる果汁が甘いのだ、これが。

わたしが最高にたまらぬ、と感じたのはこれ。朴葉味噌。
透きとおったたまねぎや、鮮やかなカボチャ、引き締まった鶏肉に、ひき肉たっぷりの味噌を絡めて……。何口めであっても、口に含んだ途端に「んんッ……!」っと唸ってしまう美味さ。たまらぬ。
このために白米を取っておいた甲斐があった。

美味しいものをいただいたとき。誰かと楽しく食事を共にしたとき。いま口にしたものが、すぐさまわたしの栄養になって、身体をぽかぽかさせるような感覚を抱きます。たくさん食べたはずなのに、ちっとも胃が重くならない。活力がみなぎってくる。
幸福を感じるとき。

昼食のあとは、お部屋でのんびりまったりと会話を楽しんでおりました。近況、仕事のこと、関心ある話題に、経験したこと。他愛のない内容かもしれない。でも、とても楽しかった。大学のころに戻った気もしていた。
彼女と特に親しくなったのは、サークルの原稿合宿のこと。みんなが寝静まった夜、窓際で、青い光を浴びながら語り明かしたとき。それから何かと意見を交わして、話し合って、卒業からずいぶん経つ今も関係が続いている。

あっという間に時間は過ぎてしまいました。気づけばチェックアウトの時間が迫り、そういえば温泉に入らなかったな、なんてぼんやり思った。ま、いっか。
次はいつ、会えるかな。その時は、どんなお話をするんでしょう。