呼吸とアライメントがもたらすもの

呼吸は、無意識の運動のひとつ。
ただ生きるためにする呼吸は、コントロールを必要としない、私たちの中にある生命システムだ。
呼吸にきづき、意識を寄せる。
それだけで、心が静まる。
明るい日差しのしたから、ふと、薄暗い礼拝堂の中に入ったように。
ひんやりとした静寂。
そこから、徐々に呼吸のコントロールを始める。
深く長く。
その呼吸の流れに身を委ねるようにして、身体を少しずつ動かし始める。
足の指先から手の指先まで、細胞ひとつひとつに意識を広げていく。
身体の中で起こる微細な変化に目を凝らし、耳を澄ます。
呼吸と意識がぴたりとあうこと、アライメントが整うこと。
この二つが同時に起こったとき、心の制止が起こる。
だからアーサナの指導では、まず内観しやすい状態を作る。
呼吸に委ねるために、vinyasaを行い、ホールドによって呼吸を使って深めていく。
アライメントを正しく導くことが、インストラクターの最初の役割だ。
それしか教えられないといってもいいのかもしれない。
アライメントにばかり意識がいってしまい、呼吸や内観から離れてしまうのは問題だが、呼吸や内観ばかりでアライメントを追求しないのは、勿体無い。
この身体をはっきりと意識し、細胞に至るまでどのように動いているかがはっきりと見えたとき、それが起こる。
そしてそれは、セルフプラクティスのときの方が起こりやすい。
完全に、100%自分のためだけのプラクティス。
75分のクラスの中で、何かその片鱗のようなものを受け取ってもらうこと。
そこに残る余韻が、ある日のプラクティスで小さな爆発を起こしたとき、自分がなぜヨガをするのかがわかる。



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