地方議員必見!実質観光でも視察しているように見えるソーシャルメディア活用法

7月21日(金)、フジテレビにて放送された「金曜プレミアム・実録!金の事件簿2」にて、税金約990万円を使った香川県議6人の海外視察が”実質海外旅行”だったことが明らかになり絶賛大炎上中です。7泊9日の日程で彼らが視察らしいことをしていたのはわずか4時間。それ以外は、観光スポットを巡って自撮りをしたり、集合写真を撮影したり、ビアホールに行ったり、買い物をしたりなど。飛行機はビジネスクラスでホテルは5つ星。今頃県議6人の事務所の回線はパンクしているのではないでしょうか。

私はこのような物見遊山と大差ない視察は敢えてアリだと思っています。なぜなら地方が観光客をおもてなしするには、まず自分が観光客になって他の地方を物見遊山してみないと実際の現場や観光客の気持ちを理解できないからです。ビジネスホテルと5つ星ホテルの違いは何か?他の地方のご当地グルメはどんな味か?お店の人の接客態度はどうか?観光パンフレットや案内看板は分かりやすかったか?公共交通機関は快適だったか?お土産屋さんのディスプレイや売られている商品は魅力的だったか?地元民はフレンドリーだったか?そうした情報は実際に現地に行ってみなければ分かりません。しかし観光に携わっている人全員が物見遊山することは不可能です。だから地方議員が彼らを”代表して”行っているのです。

では彼らの何がダメだったのか?それはソーシャルメディア上で積極的に視察先の情報を発信しなかったことです。もし彼ら全員がFacebook、Twitter、LINE、Instagram、Youtubeなど何らかのSNSアカウントや個人ブログを持ち、それぞれで現地からこまめに情報発信していたら、きっとフジテレビの編集も違っていたと思うのです。税金を使って視察している以上、そこで何を見て、何を飲み食いして、どこに行って、何を感じたか、何を考えたかを有権者に報告するのは義務です。今時、その方法はただ自治体に書類として提出する報告書を作成するだけではありません。ということで、ここで「実質物見遊山でもいかにも視察している体に見えるソーシャルメディアの使い方」を提案してみたいと思います。

■何か飲み食いする時は写真を撮って具体的な情報や提案と共に投稿する
冒頭、彼らは最初に到着してすぐにビアホールに行き昼間から地ビールを飲んでいました。それについては後で「海外では昼から酒を飲むのは普通」的な説明をしていましたが、これ自体は事実です。私もパリやヘルシンキのカフェで平日昼間から酒を飲んでいる地元民をたくさん見ました。それなら、彼らはビールを飲み干す前にジョッキの写真を撮って「日本では考えられないことですが、欧州では昼間でもお酒を飲むのは普通のようです。私達の町に欧州からの観光客が来たら、昼間でもお酒が飲めるところがあったら喜ばれるでしょうね」とか「地ビールを注文したら1杯5ユーロでした。海外のお金を使うとワンコインで済む分かりやすさが心底理解できます」とか何とか、いかにも観光対策を考えてますよ的な適当なコメントと共にソーシャルメディア上に投稿すればよかったのです。そうすれば有権者は「欧州は昼から酒飲んでいいんだ」「欧州のビールの値段ってそれくらいか」と新たな情報や気付きを得ることができるし、昼にビールを飲んだことを知られても非難はされないでしょう。写真を撮って価格や現地情報、ちょっとしたいい感じの文章を書くぐらいならそんなに時間も手間もかかりません。ちなみにグルメ系の写真ならInstagramに投稿すると一番てっとり早く「いいね」が稼げます。

■自撮りや集合写真ではなく現地の風景や建物、地元民を撮影する
視察中、彼らはやたらと自撮り写真や集合写真を撮影していましたが、そんなものはクソの役にも立ちません。どこかに行ったら、まず記録するべきはその地でしか見られない風景や建物、地元民の様子です。そもそも、やたらと自撮りや誰かと一緒にいる集合写真を撮りたがる人は議員に限らず信用できないし、視察に行かせるべきではありません。やたらと自撮りをするのは自分にしか興味のベクトルが向いていない自意識過剰の証拠。「ここにいる自分」を演出・記録したいだけで「ここ」自体に実は興味なんてないのです。集合写真も同様で、「この人達と一緒にここにいる自分」を演出し、自分を実物以上に良く見せたいだけ。また、記念写真ばかり撮ることにこだわっていると、それに気を取られて肝心の現地の記憶が残りません。実際、彼らはフジテレビの取材陣に対し具体的な視察内容を一切説明できませんでした。もし彼らが雲に包まれた雄大なマッターホルンの写真を「こんな険しい山の上でも無料でWi-Fiが使えます。日本の観光地もこれくらいやらなければいけませんね」なんてもっともらしいコメントと位置情報付きでFaebookやTwitterに投稿していたら、雪が降っているにも関わらず問題なく運行していた登山列車やそこで働いているスタッフの動画を撮影してYoutubeやInstagramに投稿していたら、有権者は「お!ちゃんと視察しているな」と思ったはずです。なお、彼らがあれほど熱心に撮影していた自撮り写真や集合写真はWeb上のどこにも公開されていませんでした。

■SNSに投稿した写真・画像を使いまわしてブログを書く
その場で逐一写真・動画をそれなりの内容のコメント付きでSNSに投稿するのが難しくても、とりあえずUPするだけUPしてホテルに帰ったあと寝る前にそれらを使いまわしてブログを書いて、そのURLをTwitterとFacebookあたりに共有することはできるでしょう。むしろ断片的な情報をまとめて長文を書けるので、ちまちま情報をチェックできない、したくないという有権者にもアピールできます。ブログ記事なんていくら長文でも一時間もあれば書けるだろうし、だいたい議員なんて言葉を操る商売なんだから、まともにブログ記事も書けないような人が地方とはいえ議員になるべきではありません。さらにそれらのブログ記事は後々自治体に提出する報告書の「下書き」にもなります。ざっくりとでも現地で情報や自分の感想・意見をまとめておけば後の作業時間も減らせるというものです。

■どんな人を地方議員にするべきか
今回の香川県議の醜態を見ると、皮肉にも「どんな人を地方議員にするべきか」が見えてきます。それは

・積極的にソーシャルメディアを使って情報発信している人
・自分ではなく周囲の環境や人に興味のベクトルが向いている人

です。地方議員は地域振興の役目も担っている職業で、外に視察に行き現地の情報を得て発信するよりも、自分が住んでいるところの情報を世界中に発信する機会の方が多いでしょう。今時、ソーシャルメディアを一切使用せず、ろくに情報発信しない人を議員にするなんて論外です。逆に、選挙期間関係なく常日頃から何かしらのソーシャルメディアを使用し、その中で自分が写っている写真や動画よりも、地元の風景や建物、イベント、名産品、ご当地グルメ、地元民の活動などに関する情報をたくさん発信している人は信用できるし、海外視察に出しても恥ずかしくないのではないかと思います。

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