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Gärtnerplatztheater 22.10.23 オペラの記録:ゲルトナープラッツテアター(ミュンヘン)、モーツァルト《魔笛》新制作

10月22日、ミュンヘンのゲルトナープラッツテアター、モーツァルト《魔笛》のプレミエを観ました。
劇場インテンダントのケップリンガーが演出をし、今シーズンから音楽総監督に就任したドゥブロフスキが指揮をした、今シーズン最初の新制作でした。


プログラム。

客席に入ると、このような裸のステージが見えます。
ネオンで表示された「ZAUBERFLÖTE」とは作品タイトルのドイツ語オリジナルです。正確には「Die Zauberflöte」(魔笛)と定冠詞がつきます。

オーケストラ・ピットとステージ。

《魔笛》はオペラ作品の中で、最長ロングラン、最高の観客動員数です。
ドイツ劇場協会が毎シーズン発表する最新統計(21/22)でも《魔笛》は

・観客数 104,594人
・上演回数 245回
・演出数  21

ぶっちぎりのトップでした。

日本でもモーツァルトを知らない人はほとんどいないと思うし、《魔笛》も同様だと思います。
ただ、私の経験では日本人で《魔笛》を「まぶえ」という人もいます。
「まてき」です。

《魔笛》はしかし、全ての意味で、とても難しい。
演出家も指揮者も、やりすぎると陳腐だし、何かやらないと話にならない。リスク回避すると退屈極まりない。
そして上演回数も演出数もとても多いので、一般の人もよく知っており、みんな一家言を持っている。

歌手には歌唱テクニック、演技力、そして高いドイツ語能力が求められます。歌唱はまだしも、芝居の部分のドイツ語がひどすぎて失笑をかうようなことも多々あります。

また、アンチ・レジーテアターの人たちはよく「スコアに忠実に」と言いますが、《魔笛》を「スコアに忠実に」上演すると、まず場面転換が多すぎて、時間がかかりすぎ、観客は飽きてしまう。
中断が多いと歌手もオーケストラも観客も集中力が削がれる。
そして、上演には多分4時間以上かかるでしょう。

今回の制作は大胆なカットをほどこし、休憩を含めた上演時間は約3時間未満でした。

歌はもちろんドイツ語で、字幕はドイツ語と英語ですが、ドイツ語の語りの部分については字幕ではドイツ語を省き、英語で状況を説明していました。

ところでオペラの字幕制作は翻訳の中で、もっとも難しい作業です。
言語の表情を原語に近づけ、言葉の選択と工夫が必要だし、その上、音楽と言葉をマッチさせなければならない。
音楽は様々なテンポで進んでいくため、それに合わせなければならない。
そして映写の際の字数が決まっている。
そもそも観客が時間内に楽に読めなければならない。
とても制限が大きいのです。

カーテンコール。

FOTO:© Kishi

以下は劇場提供の写真です。© Markus Tordik

大蛇の出現に気を失ったタミーノと、大蛇退治した三人の侍女
パパゲーノの登場
三人の侍女がタミーノにお護りの笛を渡します
パパゲーノとパミーナ。有名な変ホ長調のデュエット
第1幕フィナーレ。パミーナの「裁判」の場面
第2幕、夜の女王のアリア。「ザラストロを殺せ!」と、怒りに燃える母の前に倒れたパミーナ
やっと結ばれたパパゲーノとパパゲーナ
試練を克服して結ばれたタミーノとパミーナ


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Kishi Culture & Media Consulting Companie UG
代表:来住 千保美(Chihomi Kishi)
info@kcmc-music.com

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