それが最高のプレゼントさ
息子がぼくの誕生日になにか買ってあげると言い出した。
ぼくはなにもいらないよと言った。
それでもなにか買うといって聞かなくて、ひとからもらったお金をそんなふうに使ってはいけないよとぼくは言った。
そうしたら、去年はビールを買ってあげたら喜んでくれたじゃないかと泣き出した。
それは少々事情が違う。
あのときはおばあちゃんの肩叩きで得たお小遣いの使い道だった。
曲がりなりにも自分で働いて得たお金だったからぼくも話に乗ったのだった。
今回は違う。
キミのお金はただもらったものではないか。
そうだ。とぼくは言った。キミの描いた絵がほしいなあ。とびっきりな素敵な絵をぼくのために描いておくれよ。
すると息子は目を輝かせてさっそく絵描きにとりかかった。
それから数日が過ぎて、お父さんにあげたいものがあると息子が後ろ手にしてやってきた。
はい、誕生日おめでとう。
息子の差し出した小さな紙切れは大きな海原になっていた。
ありがとう。すごい絵だなあ。ぼくの宝物にするよ。
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