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俵万智歌集 『アボカドの種』

俵万智さんの7冊目の歌集です。表紙のアボカドの絵がかわいいです。見返しと遊び紙がアボカドの内皮(というのかな?)を思わせる若緑色で、栞紐がアボカドの濃い緑色です。装幀は名久井直子さん。

俵万智さんの日記を読んでいるような気持ちになる歌集でした。

とくに好きな歌を12首。

父に出す食後の白湯をかき混ぜて味見してから持ってゆく母

看板にDATEとあれば大方はダテと読ませる仙台の店

翅の柄アールヌーヴォー ブローチにしたきオオスズメバチの唐揚げ

はるちゃんの面接官がはるちゃんの良さをわかってくれますように

占領のかさぶたありて牛乳は946ミリリットル

「割烹着のように」着るよう渡された検査着うまい比喩だと思う

行き先を告げればタクシードライバー問わず語りに闘病のこと

つっこんでくれる息子がいてほしい「午後の紅茶」を朝に飲むとき

ナンバーワンホストの君が歌会で一番とれぬ悔しさを言う

第二志望迷う息子の傍らにおせちカタログ眺めておりぬ

ヒロインがグイと飲みほす韓国の酒の度数が気になっている

ランドセル背負えるごとしたっぷりの酸素とともに歩みゆく父


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