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蒼海21号の好きな句

人に相山に相あり涼新た 堀本裕樹
風鈴や敬語の取れぬ妻と母 小野あらた
(招待作品「帰省」)

日帰りを詫ぶる帰郷や涅槃西風 杉本四十九士
振り翳す鍬を瞬時に蝶かはす 松本武千代
羽ばたきの大きく春の逝きにけり 犬星星人
愛鳥週間わしわしナンを毟りけり 白山土鳩
投擲の形に受験子寝てゐたる 西木理永
囀の窓より介護ベッド入れ 平林檸檬

ピエロ来ないで風船は欲しいけど すずきなずな
朧なり首都高といふけもの道 武田遼太郎
百回のさくらを見よと産みにけり 鈴木トモオ
亡き猫の写真持ち寄りわらび餅 羽奈あかり
眠る子を風車ごと渡しけり 河添美羽
ブルワリーになりし校舎や木の芽晴 浜堀晴子
落第子都心一望してきしと 福田健太
貝寄風や一歩の大き古代舞 曲風彦
春の土へにはとりを置く美大生 種田果歩
春ショールずれて優しきひとの肩 夏迫杏
鳥籠を抜け来る虻の目玉かな 福嶋すず菜
リラの花少女期すべて反抗期 山根優子

第4回蒼海賞の結果発表もされました。今回は受賞作なし。準賞の3作が最後まで拮抗していたとのことでした。候補作品よりいくつか句を挙げます。

耳元へはつきり御慶申しけり 佐復桂(準賞「花束」)
山火はや山たひらげてしまひけり 塚本櫻𩵋(準賞「息のおと」)
秋冷や音なく進む本の焼け 杉本四十九士(準賞「星を追ふ」)

人波に身を任せれば花人に 濱ノ霞(奨励賞「うすあかり」)
放り投げバナナの皮に夜の重さ 平林檸檬(奨励賞「仕立屋」)
翻したくてマントを探しけり 三橋五七(奨励賞「寄席日和」)
ふるへたる亀の喉や雪催 犬星星人(奨励賞「指紋」)

蒼海賞の選評がとっても勉強になりました。

さらに、犬星星人さんの俳句四季新人賞受賞作品、早田駒斗さんの同奨励賞受賞作品、土屋幸代さんの円錐新鋭作品賞花車賞受賞作品も掲載されています。それに対する会員のみなさんの鑑賞も読み応えたっぷりです。


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