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碇シンジに心理療法を行うとしたら

こんにちは。

今回、数回に分けて、碇シンジに心理療法を行うとしたら、どのような治療法が適切なのか考えていきたいと思います。

碇シンジは、愛着障害があり、対人恐怖、エディプスコンプレックスを抱え問題回避的で自我が脆弱な14歳のアイデンティティの確立を目指す少年です。

問題が複雑なので、どの側面からアプローチしていければいいのか迷うところです。セラピストによっては父子葛藤に対して精神分析的に治療を進めていく人もいるだろうし、内的対象関係の再構築を目指していく治療もありです。

ただし、碇シンジは自我が脆弱なので、本質的な問題に直面化すると回避行動を取る可能性は高いです。また、空想的で自閉的なのですぐに自分の世界に没入してしまうので、どうにかして現実との接触を無くさないように働き掛けないと自我崩壊してしまう可能性も否定できません。

内省的な治療は問題に直面させ、治療者に対して拒否的な態度を取りかねないので私はまずはCBT的に介入します。

治療の序盤は、ひたすら共感的に話を聞きながら、これまでのエヴァに乗ってきた本人の頑張りをねぎらいます。fight or flightの葛藤を持ちながらもよく戦ってきた、えらいぞシンジと。

ケースフォーミュレーションを行い、

自尊感情の低さ→問題回避行動→自尊心を傷つける→気持ちの落ち込み

悪循環を図式化してそれをシェアしたいと思います。

まずは出来事に対する「認知」「行動」「感情」「身体」のこころの仕組み図をつくってもらいます。セルフモニタリング力をはぐくむために。

出来事:使徒がやってくる

認知:自分なんて役に立たないだろう

感情:悲しみ、怒り

身体:脱力感

行動:初号機には乗らず、電車で帰る支度をする

こんな形で、出来事に対して自分の中で何が起きているのかについて整理してもらいます。

HWでは、自分の生活場面でのセルフモニタリングを一週間やってもらいます。その中でどのような認知パターンがあるのか、行動パターンがあるのかを発見してもらいます。

今日はここまで。また次回。





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