先般、百貨店アンテナショップのスーパーで買い物をしていた時、レジを済ませて、テーブルにて袋詰めをしていた。

　すぐ右横の買い物かご入れに、ガシャンと大きな音がした。何と、テーブル向かいの女性が、テーブル越しに買い物かごを投げ入れたのである。

　その女性を見ると、「何か悪いことしましたっけ！？」と怪訝そうな顔をして、立ち去った。

　常識ある人ならば、空になった買い物かごを持ち、テーブルを回って、そっと置くに違いない。緊急事態ではあるまいし、そこまで急ぐ必要があるのだろうか。

　そして、また、今度は左手の買い物かご入れに投げ込む女性。普段の悪癖が出てしまう瞬間を見ていると、情けなくなってしまう。

　随分昔の話だが、ヨーロッパ出身の女性が、「バッグなどは地面に置いたらダメです。荷物は、ソファーの上に投げてはダメです。」と同僚を厳しく注意していたことを思い出す。

　百貨店のアンテナショップだからではなく、他店においても、もう少し、自らの所作を考える必要がありはしないかと思うばかり。

　これを、子供や孫たちが見ていれば、必ず、真似をする。ちょっとしたことだが、乱暴な買い物かごの扱いもさることながら、投げる行為は、躾の悪い人間としか言いようがない。

　女性たちは、二人とも熟年の域に達している女性である。１メートル先の空の買い物かご入れに、テーブル越しに投げ入れるなんぞ、運動会の玉入れ競争でもあるまいし。

　ちなみに、買い物かごは真っ直ぐ納まらず、傾いたままだったので、それを真っ直ぐにして、その場を立ち去ることにした。

　他人のもの（この場合は、お店の買い物かご）を大切に扱わない人間は、デリカシーのない低民度の人間であると見做されてしまう。大変、恥ずかしい光景だった。