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#020 放射線治療3日目:ガン細胞の逆襲なのかこれは?

放射線治療3日目。治療をスタートしてからガンが大きくなった気がしていて、触れると痛みを感じるようになってきた。特にちょっと押すように触れると痛い。心なしか腫れているような気もするし、触ると若干熱っぽいような感じもする。

これはどういうことなんだろう。放射線がガン細胞を焼きはらおうとして炎症のようになっているのか、それとも放射線に負けないようガン細胞が逆襲を図り成長しているのか?放射線がガンを縮小させるスピードよりも成長のスピードの方が早いのか。まさかな、でもそう考えると恐ろしい。

触れて痛いだけなら触れなければいいだけの話だが、俺には日々のマスクを被って執り行わなければいけない儀式がある。そう、ガン細胞が炎症を起こして腫れているおかげで、マスクによる首回りの締め付けがますますキツくなっているのだ。ガンの部位がマスクで圧迫されてどうにも痛いし、ピンポン球くらいの大きさのガン細胞の塊が喉の奥まで押し込められて、これまた呼吸が思うようにできない。

さらにタチの悪いことに、口ではマスクに直結したマウスピースを咥えているのだけど、当然異物を口いっぱいに頬張っている状態なので唾液がとめどなく溢れてくる。その唾液を定期的に飲み込まざるを得ないのだけど、喉が締め付けられていてうまく飲み込めないのだ。

下手なタイミングで飲み込もうとすると喉にたまってきて、軽い吐き気とともに逆流してくる。逆流した唾液が気管に溢れてきてむせ込みそうになるのだけど、マスクで身動き取れない俺にはむせることすら許されない。今日は放射線照射中に2回ほどそれが起きて、マジで呼吸が止まるかと思った。

自分のヨダレで溺死するなんて笑い話にもなりゃしない。他の中咽頭がんを患っている先輩方はどうやって対処してるんだろう。炎症が治まって腫れが引くのを待つしかないのだろうか。


明日からはいよいよ入院だ。昨日のWi-Fiに引き続き、注文していた電動シェーバーと耳栓が届く。

病院は一応個室を希望しているのだけど、ベッドの空き具合によってご希望に添えない場合があります、とのこと。もしも希望に添えかねて4人部屋になったとして、それはそれで構わないのだけど、唯一の心配は他人のイビキで寝られないことだ。

先月の仙台出張でカプセルホテルに宿泊した際にも、上のカプセルから轟く豪快なイビキでろくに眠れなかったのを思い出す。耳栓はおそらく必需品となるだろう。抗がん剤の副作用でのたうちまわっている時に他人のイビキに悩まされるなんて考えただけでゲンナリだ。治るもんも治らなくなる。

電動シェーバーは放射線治療で喉周りの皮膚が荒れて、従来のカミソリ式の髭剃りが使えなくなったときのために購入。実は電動シェーバーを使うのは人生において初めてだったりする。どうせ数ヶ月だけの予定なので中国製の安いやつを注文したのだけど、電動バリカン、鼻毛カッター、回転式洗顔ブラシなどのアタッチメントが付属していて一台何役にも使えるらしい。なんかいかにも中国製品らしくて笑ってしまった。抗がん剤で髪が抜け始めたらこいつで頭を丸めてみようか。

美味しい食べ物とか、子供達へのおみやげとか、少しでもハッピーな気持ちで治療を受ける足しにできれば嬉しいです。