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【読書】神々の指紋

日本で翻訳出版された1996年に読んだのだから、今から25年前のことになる。なぜ今頃これを引っ張り出してきたかと言うと、つい先日、日本語翻訳者の大地舜さんが、翻訳当時のことを話しているのを聞いて思い出したからだ。

大地さんは、ぜひこの本を日本の人々に読んで欲しいと思い、自ら翻訳権を交渉し出版社を探したのだそうだ。そして当初、そこまで売れるとは期待していなかったが、最終的には数百万部も発行されたのだという。私も多分、巷で話題になっていたから手にしたのだと思うけれど、私の本棚を見た友人から「ふ~ん、こういうことに興味持つんだぁ」と、意味ありげな言葉をもらったこともあり、(私のような?)特殊な人しか読まないものなのかと思っていたので、そんなに読まれたのだと知って少しばかり驚いた。

ある種の本が異常に売れると、それに対する批判が酷いことがよくある。"ある種"というのは、人類にとって未知の事を発見したり解明したりしようとするような本のことだ。本書も、「他本からの引用ばかりだ」とか、「全て否定された説の焼き直しだ」とか、「陰謀論や心霊ばなしが好きな人にはお勧めの本」、などと揶揄され、本の価値を貶められていた。

著者のグラハム・ハンコック(Graham Hancock)氏は、英国の元記者で、東アフリカに赴任していた。著者は、さまざまな古代文献や古代地図などから、その神秘に迫り、謎解きを試みているのだが、私が最も興味を惹かれたのは、エジプトのピラミッドについてだった。

中でも、ギザにあるクフ王の大ピラミッドについては、その建造からして、どうしても説明のできない謎に包まれるという。そもそも、どうやって巨大な石を切り崩し、運び、そしてこれほど高く積み上げることができたのか?しかも正確な正方形を土台に、高さ147m(ビルにして40階ほど)の高さ、その誤差は水平2.1cm、方位0.36度、側面4.4cmの高精度。これは、現代の技術を以てしても不可能だと。

だからといって、著者は何も、いきなり突拍子もない論を説いたわけではない。あくまでもジャーナリストとして、既に存在する資料を披露し、これまでの議論を整理し、それでも謎が残るということを説明しながら、あり得る可能性や仮説を伝えていたのだった。私はその頃、神秘主義でも何でもなかったし、むしろ科学的であることに意義を感じていた。現代科学の進歩をある意味信じていたからだ。その上に立っても、著者の謎解きや仮説にいたく共感していた。

そして月日が経ち、今現在はどうだろう。大ピラミッドの建造方法を新たに発表した学者もいるようだが、やはり納得しがたい面が多く、いまだに議論中にあるという。そして、「建造当時、今の人類より高度な技術を持っていた者たちが存在したに違いない」という説は、消えるどころか益々大きくなっているように思う。

そもそも私の”スピリチュアリズム”への関心は、今思えば、本書『神々の指紋』がきっかけだったかもしれない。とにかく、「今の人類が知らないこと、解らない事が、あまりにも多い」ということが、この本で解ったからだった。

その後、私が読んだある本の中に、ギザの大ピラミッドに関する非常に興味深い内容が書かれていた。信じるかどうかはその人の自由に任せるとして、その本というのは、人類とは別の存在とコンタクトをしたある学者の記録であった。そしてその存在はこう言う。

「ピラミッドは、頂上から造りました」
なるほど、頂上から造っていった方が精度は損なわれないはず。

でもどうやって?
「石を浮かせるのです。訓練した者たちが石と意識を同調することで、石が動くのです」

さてさて、日本で『神々の指紋』を手にした数百万人のうち、どれくらいの人がこれを信じるだろうか。それもまた興味深い。むろん今の私は、物質を超えた世界があるということを理解するようになったので、この存在のいう話を信じたい。

著者のグラハムさんも、訳者の大地さんもそうだろうが、私が生きている間に真相が解明されるのを、待ち望んでいる。


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