来るならなるはやで

ネトフリで「ファーストラブ 初恋」を観た。

それはもう壮大な初恋のお話である。ネタバレしない程度に書くつもりだけど、とにかくリアルでそんなことある?いや無い。って感じのただひたすらひたすらピュアな一途な運命的な想いの話。岩井俊二監督の世界観に似てるなと思ってたら、お弟子さんが監督らしくなるほどなるほどと赤べこになった。

学生時代のハルミチとヤエの色々、甘酸っぱい〜〜〜キュンキュンする〜〜エモい〜〜〜!!!!!とキュン死にしそうな様相で観たけれど、よくよく考えるとそんなキラキラした眩しい思い出、陰キャの私には1ミリたりとも、無い。皆無。スッカラカン。ゼロシュガー。人工甘味料さえ使われていない。むしろ塩。粗塩。しょっぺぇ思い出しかない。思い出したくも無いレベル(もういい

それなのになぜ情景が脳内再生され、自分に投影されキュンキュンするのか。あ、もしや私、異常な共感能力の持ち主なん???いやいつも謎。

こんな時何かで読んだ、全人類で無意識に繋がっている共通意識みたいなのがあるという話を思い出す。または人類がずっと繋いできたDNAの中に記憶として存在しているものなのかとか…うんまぁいいか。

「初恋」を観た99.9%の人が思ったであろうこの気持ち、「私も初恋の人と再会してみたい」お肌も体もダルダルにたるんだ私たちアラフォーアラフィフ女史も、脳内では満島ひかりと佐藤健。初恋のあの人、佐藤健の姿で再会して気持ちは一気にあの頃にタイムリープしちゃって…などと空想する人99.9%だろう。

でもちょっと真面目に考えると、初恋って、自分が人生で1番感受性豊かで多感な時期、そんなアンテナバリバリの自分の琴線に触れた人なのよね。
年月が経ち、日々感動する事も無くなり、気持ちも揺れ動かず、ただ日常を送るだけの中年になった今、そんなあの頃の相手と再会してしまったら…気持ちは一気にポケベルを打っていたあの頃へ。「*2*21112324493」を10円の間に早撃ちしていたあの頃へ。わぁ、エモーい!!!!たとえ相手がシワくちゃだろうがハゲていようが、何かしらの中年キュンが作動するに違いない。あ〜同窓会危険なはずだわこりゃ。キュンの巣窟。その後どうなっちゃうの〜〜!?キャッキャうふふ。

……なんて空想に思いを馳せていますが、現実ではそれが起こる確率、まず無い。まず同窓会が無い。我ら中年はヤングと違ってSNSがデフォじゃないので探しても見つからない。facebookはほぼ死んでいる。むしろ相手自体が死んでいる可能性だってあるお年頃。つまり、再会できる確率これまたノンシュガーレベル。ゼロコーラですわ。

そう、結局はドラマの世界だってわかってるんです。佐藤健は突然目の前に現れて私の名前を読んだりしないんです。わかってる。わかってる。
でもやっぱり心の片隅で夢見たいの。淡々と過ぎて行く日常、1週間が死ぬほど早く過ぎる。こないだ正月だったのに「もう一年の半分が終わりました、みなさん正月に立てた目標どのくらい達成しましたか!?」もついこないだ聞いたよ?な感覚。このままあっという間におばあちゃんになって死んじまうねこりゃ。

だからちょっとくらい期待してみたくもなる。偶然初恋の人と再会して、なんかちょっとLINEでも交換して(LINEくらいやってるだろう)近況報告から、日々何気ないやり取りをするようになって…それだけで私たち中年の日常はウソみたいに光り輝くんですよ。それだけで良いの〜〜〜!あっ、それ以上は正直めんどくさいんで(キリッ

ああこの奇跡、起こるならシワが増えないうちになるべく早くお願いします。相手が佐藤健ならもっと良いです。神様お願いします待ってます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?