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エゴンシーレ展にはワクワクがあった

【東京美術館開催「エゴンシーレ展」HPより】クレジットはレオポルド美術館

【感想】Egon Schiele

すごい、の一言につきます。

何よりシーレの生きた時代は第一次世界大戦なので100年前です。そんな時代にあって、閉塞した絵画会に迎合することなく独自の道を切り拓こうとした天才の生涯が垣間見える作品群に、心を打たれます。

時代背景が合わないので、事前情報なく相対すると違和感があるかもしれません。
でも僕は世一さんのご紹介でシーレさんを知り、事前に情報を集めまくったお陰で、彼の生きた世界を知ることができました。

詳細は↓の情報をご参照下さい。

美術館に行くのは好きな女の子とのデートと同じです。行く前からの意気込みが大事で、何気なく行ってみた、では楽しみは半減します。事前のワクワク感をmaxにしとくことで、見る前からときめき感がジワジワします。実際東京美術館のホールは、集まった老若男女の多くがこのワクワク感を持って待っていました。多分アーティストのファンがコンサートの開始を待ってる時の、あの感じです。

日曜の上野駅前の雑踏は、既に春の訪れを告げていました。僕はその雑踏を抜け、斜め右奥の東京美術館へと向かいます。数分で大きなポスターが出迎えてくれます。さらにテンションが上がってきます。ここに来るのは古代中国の兵馬俑展以来です。結構人が多く、受付でしばし待たされます。チケットは1時間制で、開始5分前くらいに入場できました。

薄暗い美術館の壁にシーレの生きた世界をなぞるように、彼と周囲の美術家達の作品群が並んでいます。

僕に絵の才能があれば描写の技法や色彩感覚、構図など色々と解説できるのでしょうが、そんな才覚は持ち合わせていないので感じるままに眺めていきます。でも絵画の多くは、眺め見つめるその間に語りかけるように自らの存在を主張してくるのです。

学生時代に描いた植物の描写に始まり、彼を取り巻く画家達の作品群とともに彼の生き様を示すように展示が進んでいきます。若くして成功を収めた彼の作品は、忠実な描写に始まり、風景画や、やがて時代に反するような刺激的な描写へと時を移します。

20歳の若さにして世に才能を認められたシーレですが、21歳で17歳の少女ノイツィルと同棲を始め、チェコの田舎町に引っ越すや娼婦を招いてヌードデッサンに励んでは町の住民に追い立てられ、ウィーンに舞い戻ったそうです。14歳の少女を家に泊め、警察が踏み込んで逮捕されたりと、まあ破天荒な人生ですね。令和の倫理観なら一発アウトです。彼を現世に連れてきたら、さらにひどい閉塞感に息が詰まる思いをしたことでしょう。

首を曲げ、独特な姿勢をした自画像が有名な彼ですが、戦争が終わりを告げて間もなく、妊娠中の奥さんともどもスペイン風邪(インフルエンザ)にかかって28歳の若さでその生涯を終えています。

シーレ展では刺激的な時代を生きながら、閉塞した社会に異を唱え自由な価値観を持って生きた彼の生涯に触れることができます。今の価値観に合わず疲弊した僕と波長が合うせいか、見つめる自画像の瞳に吸い込まれそうになりました。

シーレ展、いかがでしょうか。

【エゴンーシーレの生涯と作品群】

僕が説明するより、ウィキッた方が早いので↓

1860年ウィーン生まれ、28歳で急逝した天才画家。第一次世界大戦前後の時代背景の中、閉塞した美術界を嘆き独自の世界観を主張した。一言で言うと、「ジョジョ立ち」。




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