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広がる髪、君が朝になる


スヌーズの音が徐々に聴こえてくる
振り払うように遠ざけた冬なのに、振り返ってこちらを呼ぶ
不自然な音を用意しては芳しくない反応、ハネた襟足
珈琲の一杯でも淹れてくれたら、と身勝手な夢が眠空に浮かんでいる



始発じゃなくなった日吉
今日は2023/03/18
清々しいほどの曇天に眼鏡も曇る
澱んだリングを小指に残して、指切りする
洗濯した白シャツは部屋干しで

とっておきは利き手に宿る
週末雨あがらず、塗り広げられた灰色は首を重くする
虹の代わりに有彩色のチェックをザザッと見せびらかす


落ち着いていても、不安定がときに欲しくなって、スキップしてみたりするけれど、同じだけ高く飛べてしまってはちょっと違ったって言い訳を被る

住宅街で反射する薄い鏡に笑いかけて、自分の顔色を窺って生きている
苦い味がした、お揃いのガム


たとえ、生きづらさを感じたとしても、いなくなりたいと願わないように、等式に斜め線を引き続けていく

持ち合わせたこの身では鈍いが、一緒に空を飛ぶ方法を考えようよ
その空が夜でも、雨でもついていくよ

引き延ばして、大きな声が怖くなって、太陽に狙われているってわかったら、浅くていいから息をし続けてくれないか

終盤に差し掛かった紙芝居はゆっくりと間を空けて語られている
夢中になってしまった、熱のこもった自分が世界で一番怖いって知ったのに
誘うかのように溶けていく、ふかふかのベッドに沈んで明日の朝が来る夢を見ている


ひのあたらないよるはさむくなるからあたたまってうたう



自分を甘やかしてご褒美に使わせていただきます。