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相手の視点に立つことが、極めて創造的な理由

サービスや商品を考えたりする時によく「お客様目線」でと言われ続けていると思いますが、そうはいっても実践は難しいなぁと思いませんか?

なぜならこの相手の目線で考えるということは、極めて困難な作業だからです。例えば「私がお客様だったら〜」という考え方は、あくまでも自分が消費者だった場合ですから、自分の目線での思考になります。立場や条件を入れ替えるだけでは相手の目線とは言えません。さらに相手の思考や価値観を重ね合わせた上で、さらにそれを自分の思考によって評価・分析するという作業が同時に必要になります。こうした思考は高度なメタ思考を必要とするため、困難なのです。

メタ思考とは、思考を客観的に捉える思考とも言われます。またアナロジー思考のように思考の抽象度を1段階上げることで違う視点を見出したり、他の概念と掛け合わせることにより新しい視点を得る思考方法と言われています。こうした思考方法の難しいところは、2つの思考を同時に行わなければならないという点です。

例えばリンゴを見たときに、「リンゴは赤い」と思う思考と「自分はリンゴを見ると色に注目する」という思考が同時にされている状態です。当然通常よりも脳への負荷が高くなるため日常的にこうした思考を行うのは困難です。一方で湧き上がってくる感覚に対して、それを思考で捉えようとする手法はマインドフルネスと呼ばれる。マインドフルネスでは呼吸に集中することで、反面浮かび上がってきた思考を捉えるというプロセスです。思考で捉える対象が異なりますが、いずれの場合も難しいのは、浮かび上がってきた思考はまるでシャボン玉が弾けるかのように捉えようとすると、消えていってしまいます。

その為に、こうした思考は順番に記録しながら進めていく必要があります。まず最初に相手の立場や前提条件を整理して書き留めましょう。どういったものが課題で、解決方法をどの程度強く感じていているのか。商品やサービスを考える場合は予算感覚も設定してみます。次に相手が持っている価値観が何かも考えてみましょう。質問してもいいですし、ある程度は想像してみるしかありません。しかし最も重要な点は自分の価値観か、そうでないかに注意することです。そこから初めて自分の視点ではない、相手の立場が想像できるようになります。もちろんこれは相手そのものではありません。あくまでも自分の想像の産物ではあるものの、いつもの自分の思考とは角度が違ったものになります。

このように相手の立場に立って考えることは、難しいものの新しい視点を得る作業としては極めて創造的であるといえるのではないでしょうか。


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