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「和モノあれこれ」について

一般的に「和モノ」という言葉は「日本のもの」を表しますが、こちらで取り上げる「和モノ」は音楽のジャンルを指しています。

今から約20年ほど前、各レコード会社から主に1960年代後半~70年代前半の邦楽を発掘、再評価するコンピレーションCDがいっぱい発売されました。ビートガール、キューティーポップ、カルトGSにグルーヴ歌謡、ソフトロック・ドライヴィン…。ほとんど洋楽しか聴かなかった私も夢中になり、熱心にそれらのCDに収録されていた曲のアナログレコード収集に精を出していました。

当時でも今ほどでないにしろ、それらのCD以外からも少なからず情報を得る手段がありました。ブームに乗って出版された書籍、雑誌に載っている和モノ好きなミュージシャンのインタビュー、同好の士として一緒にDJをやっていた友人との交流など。それらから得た情報を頭に詰め込んで、週末はレコードマップ片手にまだ見ぬレア盤求めいざ新天地へ、今週はどこへ行こうか…なんていう日々を過ごしていました。昨今ではネットで検索さえすればほとんどの曲がヒットして情報をキャッチできる時代。いやぁ、素晴らしい時代になったもんです。


とはいえ、まだ大した稼ぎも無かった私がレコードに割けるお金もたかが知れていました。たまに奮発することはあっても、ほとんどの場合は「100円エサ箱からいかに良さそうなレコードを発掘するか」「まだ発見されていない未開のリサイクルショップなどのフロンティアへどうやって足で稼いで辿り着くか」、という若さに任せた収集方法。ヤフオクなどもすでにありましたが、今ほど探しているレコードがしょっちゅう出品されることは無く、あまり利用しませんでした。なによりレコード屋で実際に探しているほうが楽しかったというのもあります。

その後しばらくして2005年、参加していたDJイベントが終わりを迎えると世間でも一時期の和モノ熱も冷めていきました。レコード業界は不況を迎えてあれほどたくさんあったレコード屋は次々に閉店、私も徐々にレコードを買うこともなくなっていったのです。


それから10数年間、レコードはまったく買いませんでした。しかしとある7インチレコードが再発売されて購入したことをきっかけに、ちょっと久しぶりにヤフオクでも覗いてみよう、と思い立ちます。2018年の夏のことです。

すると驚くことに、当時はレコード屋さんでついぞ見かけることができなかったレア盤がものすごく安い値段で落札されていたり、当時は誰も見向きもしなかった安レコが高騰していたりしました(もちろん、当時から評価の変わらないレコードもたくさんあります)。

なんだか楽しくなってしまってそこからは奈落へ落ちるがごとくゴロゴロと、なんのことはない元の木阿弥。レコード収集を再開、どころか当時よりも一所懸命散財する日々に…。


そしてこの「和モノあれこれ」です。

和モノのレコードについて、紹介などしていけたらなと思っています。過去、先人たる諸兄方の情報発信で大いに勉強させていただいたことと同様に、自分の独りよがりな駄文が少しでもなんらかのデータベースとしてお役に立つのなら(立つのだろうか)、という気持ちです。タイトルは特にこだわりは無いのですが、レコードの「レコ」、コレクションの「コレ」が入っている「あれこれ」という言葉をチョイスしました。

紹介する「和モノ」については、ここ10数年でその定義も大いに広がりを見せているようです(まぁ言葉のみで捉えれば邦楽はすべからく「和モノ」ではあるのですが…)。しかし私が紹介するのはカバー画像にあるような1960年代後半~70年代前半のシングル盤、ビート歌謡やグルーヴ歌謡と呼ばれるものがほとんどです。例外はありますが、いわゆる昨今熱心に発掘されるようになったディスコ・ブギーものやシティポップなどはあまり登場しません。80年代のいわゆるテクノ歌謡以降などもほとんど登場しないと思います。

テキストの中身としては、必ず楽曲に触れて書きたいと思っています。歌い手や作家の情報、エピソードなどは補足的に書くことはあるとは思いますが、レコードを購入するのに必要な情報はあくまで「音」にあると思います。そしてDJの経験から、どうしてもいわゆる「打ってる、打ってない」というビートやリズムを重視した視点での紹介が多くなるのではないかと思っています。

更新ペースがどれほどのものになるか本人も分かっていませんが、どうぞ気長にお待ちいただきつつ楽しんでいただければ嬉しいです。

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