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東京オリンピックDAY6―水谷、打球見えてた?

数多くの種目が始まり、今が一番面白い頃だろうか。

しかし、地元開催で我が国の歴代のメダリストが仕事を得るためにテレビに出ている。これによって、吉田秀彦がスケートボードについて言及したり、北島康介がソフトボールを推すなどわけのわからない状況が続いている。これについては最後のトピックで。

私も誰が読んでいるのかわからないけど好き勝手に思うところを書けるのもおそらく人生で初めてではないかと思うので、書く時間はそれほどかからない。

好きなトピックをクリックして、見たい部分だけ読んでください。

ソフトボール

いつの間にか決勝進出が決まっていたものの、今日はその前哨戦としてアメリカとの予選の順位決め。決勝という大一番を任せられるのは、まだまだ上野だ。夏の甲子園で何百球も投げさせる高校球児と同じく、13年前の上野の413球も辟易して見ていたものだが、今回はちゃんとそのへんを学習したのか人材が整ったのか、とりあえず藤田に任せることでなんとか凌いだ。

ノーヒットノーランも見えた中での投球で、多少は期待していたものの結果はサヨナラホームランを打たれて負け。そのホームランがアメリカ代表今大会初のホームランで、アメリカも弱くなったものだと感じた。北京五輪だと、ブストスという打者1人で6本塁打だったはずだが。

明日は山崎をスタメンで出すかどうか。7イニング制は、打者1人の重要度が増す。言い換えれば、1アウトが9イニング制より重いのだ。そこで自動アウトになる山崎がいると打線が止まってしまう。私が監督なら山崎はスタメンで出さない。代打で一振りにかけてこいと言って送り出す。

山崎という選手が打てないのはただの運だと思うのだが(リーグ戦でよく打つからこそ代表に招集されたのである。それも外野は打てないと話にならない)、悪いが13年間という時間の重みを山崎に背負わせるわけにはいかないのだ。山崎が打てなくて負けた、で済ませるのは、私は看過できない。

藤田の投球へのアメリカ打線の反応を見ていると、アメリカは明らかに北京の頃と比べると打てていない。つまり日本1-0で逃げ切る試合展開も想像できる。じゃあその1点を誰が取るのか・・・というと、藤田・山本のクローズドスタンスコンビだろう。この2人の活躍如何で金か銀かが変わる。クローズドスタンスは飛距離が出やすい反面、球が見えづらい。思いっきり飛ばして一発攻勢だ・・・と考えたところで、この論法だとやはり山崎はいてもいなくてもいい。山崎の外野守備の上手さがわからないが、今日代走で出た山田恵里もいる。山崎を外して山田をスタメン起用に一票。

女子スケートボード

大人の日本国民ならオリンピックのメダルの重みを感じるだろうが、10代の女の子がそんなものは感じないだろう。特に西矢という女の子は2007年生まれだという。2007年だから、生まれてから北京、バンクーバー、ロンドン、ソチ、リオデジャネイロ、平昌という6回のオリンピックしか経験していない上に物心ついた時でソチだろうから、あまりオリンピックの凄味云々はわからないだろう。つまり北島康介のチョー気持ちいいどころかハンセン・ダーレオーウェンとの争いも、吉田秀彦の総合格闘技転向前も、上村愛子の届かないメダルまでの道のりも知らないのである。

技そのものは、19・16・13歳なら1番伸びしろと大胆さが出てくるのは13歳だ。おそらく失敗しても何も思わないはずだ。次またがんばればいいやといった感じ。これが大人になると、失敗したら順位が下がってしまうと逃げたくなってくる。挑戦するか逃げるかの差が、子どもと大人の差である。

次のオリンピックも西矢が金メダルに輝くなら大したものだと思うが、私見だと西矢よりも年下の選手がどんどん台頭してきて、押されていくのではないかと思う。

日本勢最年長の西村という選手は順位こそ今日は奮わなかったが、きっと彼女の存在は西矢・中山にとってとても大きかったと思う。西矢は凄いと思うが、トータルで凄いのは西村だと感じたし、西村は今後応援してみたい選手であった。

柔道

大野はなんとか優勝。もうちょっと番狂わせがあってもよかったのだが、本人は必死だったのだろう。最後はゴールデンスコアまでもつれて、前回ほど余裕ではなかった。しかし、地の力の差が相当あるのか。

アテネの井上康生がそんな感じの持ち上げられ方をしてあっさりと負けたものだが、井上康生が「優勝候補だからこそ気を引き締めていけ」ときつく言っていたのではないか。一定の年齢以上の格闘技マニアは、最強の柔道家に井上康生を挙げたがるものの、私はアテネの負けがあるので疑問である。最強の柔道家は誰かと聞かれれば、私はフランスのリネールと答える。日本だと古賀。

卓球

昨日ディスった水谷・伊藤ペアだが、今日は果敢に攻めていた。攻めないと勝てない相手であった。というかたとえ地元開催でも中国には勝てないと踏んでいたのだが、ついに歴史を変える日が来た。

後ろに座るコーチが日本は田勢、中国は馬琳と名前負けもいいところだ。指導者が肩書で指導しているわけではないとしても、帰化選手にゴリゴリ押されていた頃の日本選手が指導者となっていて、大丈夫なのかと心配した。(こう書くと田勢氏には失礼だが、確かにここ15年の混合ペアのうち、一番世界で上手くいったのは田勢邦弘・美貴江ペアではあると思う。また、世界選手権の代表に選ばれた付近の全日本選手権で男子シングルスでベスト4?8?に入った実力もあるにはあるのだが、世界の頂点を知る馬琳と比べてしまうと、指導者として有益なアドバイスができるのか気になるところではある)

田勢が馬琳に勝ったという構図をイメージすると、笑いを禁じ得ない。それぐらい馬琳が強かったのである。別の表現をすれば、北京五輪という地元開催の男子シングルスの金メダルという、国家の英雄馬琳である。その馬琳に渋い顔をさせた日本と田勢。10年前にこんなことを言っても全く信じてもらえないだろう。

今日も伊藤美誠のおでこがテカテカと光る中、水谷も視力低下と闘う中、ついに日本がガチの中国に勝つ日がやってきた。視力が悪いのはハンデであるが、試行錯誤の成果が出た。競技の実力と違い、体の不調は一進一退を繰り返し、悪い時は何が悪いのかわからないのである。そんな暗中模索の中で見事に今日、全盛期を見せることができた水谷の途方もない努力を思うと、(私も含めて)全国の弱視者に勇気を与えてくれた。

繰り返すが、小山ちれ、吉田海偉、韓陽と、帰化選手の植民地状態だったあの頃から、多額の税金を投入して卓球の強化に乗り出し、地元開催のオリンピックで日本が勝ったのである。それもずっと第一線を引っ張ってきた水谷が報われた。それもストップでごまかすことなく、全力強打で押し勝ったのである。非常に価値がある勝利である。

吉田秀彦とスケートボード

増田明美のような圧倒的な時間・量の取材で視聴者が見たい聞きたい情報を提供するならまだしも、コメントに困る解説者を何人か見かける。今日は吉田秀彦という修行の世界の頂点を極めた人間が、スケートボードという遊びの延長線上の世界について言及をするおもしろい場面があった。

彼のコメントは下記の要領だった。

・13歳は自分の娘と同い年

・自分が東京に出てきたのが14歳の頃

・柔道の練習が嫌だったものの、必死で練習してきた

競技中にお互いの技を称えあうのは素晴らしい(=柔道とは違う文化がある)

氏は総合格闘技にも進出した、異種・異文化交流を知る人間なのでスケボーを語る資格は十分あると思う。その彼が、スケボー文化を(たとえお世辞であっても)称賛したのは価値があることだと感じた。吉田が過ごした講道学舎は間違いなくスケボーとは違う世界線である。その彼がスケボーを否定することなく(なんなら、「自分もやってみようかな」とまで言ってしまうほどだった)、受け入れていたのが非常に私の目には新鮮に見えた。

今後10年間は、私はスケボーと吉田秀彦の組み合わせを忘れないだろう。

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