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わたし、テレパシーが使えるの✨ つづき

前回のお話はこちら

わたしならできる。

みえるんだから!

友だち2人からの「あぶないで、やめときな」の声を気にすることもなく、私は自分の力を試すことが楽しみでいっぱいだった。

「みんなの声が聞こえたら、道が分かってしまうから、みんなは声が聞こえないようにしててね!
足音とかでも道がわかっちゃうから、みんなはあっち側を歩いてくれる?」

なんにも見なくたって、毎日歩き続けてるこんな単純な道なんか、歩けるんだ!
ということを私は証明したかった。

みんなには道の反対側を歩いてもらうよう、音を出さないよう指示し、道の反対側へ移動するのを確認した。

集中…

感覚を研ぎ澄ませる。

2人は初めは本当にほっといて大丈夫か心配そうにこちらを見ていたが、1人が反対側の側溝近くで遊びだしたため、2人の注意はもう私ではなく、残り1人Mちゃんの方へ向けられた。

よし!準備は整った!

目を閉じる。

なぁに、このままただ真っ直ぐに下り坂をくだるだけだ。

とはいえ、隣は落ちたら終わりの側溝だ。
気をつけなくては。

集中し、神経を研ぎ澄ます。

一歩一歩と歩みを進め、9歩くらい進んだろうか。
足の裏が坂道ではなく平坦になった道を捉えた。

もう坂道も終わったようだ。

ふぅっ

ついに渡りきった!!!

緊張した。。。

みんなは目をつぶったまま、この坂道を渡りきった私を見てたかな?!

みんなの声が聞こえない。

少なくとも、みんなはまだ坂道にいるはずだから、私の後ろ姿しか見てないだろう。

ここで目を開けたら、私が本当に目をつぶって歩いたかどうか、誰も確認できない。

ちゃんと目をつぶったまま、歩ききったとわかってほしい。

だから、目をつぶったまま、そのまま歩き続けながら
「ねぇ、見て!!
 ほんとに目つぶったまま、歩けたよ!!」

反応がない…

「ほらっっ!!!」

みんなに証明しようと目をつぶっている顔を見せようとうしろを振り返ろうとした瞬間!!!





一歩前に出した足が何も捉えることなく、不思議に思った。

一瞬ふっと体が浮いた感じがした。




???



あ!!!!!!

ドスン!!!
びしゃぁあ!!!!!!



顔にヘドロが跳ね返る。
あっと思った口が少し開いて、ヘドロがくちびるに跳ね返ってきた。
黄色の制帽にも白いブラウスにも、スカートにも靴下にも靴にもランドセルにもパンツにまで、全てにヘドロが跳ね返った…

「さいあくっっっ!!!!!」

落ちることを体が準備する前に落ちてしまったので、着地の際ランドセルも背負っていたので、よろめきに支えきれず、尻もちも着いてしまった…

ほんまにさいあくや…


パンツ終わった………
気持ち悪すぎる………


私の名を呼ぶ声が聞こえてきた…

さっきの私の声に気づき、2人は私を探し始めたんだ。。。

きっと、私が目をつぶって歩いている間に、Mちゃんは反対側の側溝にひとり降りて遊び始めたんだろう。

Mちゃんはちょっと不思議な、私でも理解できないところがあり、よく突然道草し始めたり、不思議な遊びを始めて、帰り道が30分ちょっとで着くところが、1時間以上帰るのに時間を要することが多々あった。

そんなMちゃんを放っておくことはできず、残りの2人も一緒に反対側の側溝へ行ってしまったのだろう。

反対側の側溝は一般的な幅になっており、対岸の田んぼへ渡ることもかんたんにできるようになっている。

側溝は深いため、田んぼへ降りてしまうと何も上の景色は見えないのだ。


あぁ…

ほんとに最悪だ…
まぶたにもヘドロが跳ね返り、目を開けられない。

キモすぎて、死んでしまいそう…

2人が私の名を呼ぶ声が聞こえる…

みんなには私が見えてないんだ…

側溝の深さはわたしの身長よりもあり、フツーに見たら、誰もいない道なんだ…!!!

くちびるにもついてるし、目にもついてるし……

しゃべれないし、目も開けられない………!!!


つづく


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