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不思議体験〜ウルトラマンのスイッチ〜

小学2年くらいの時の話である。
確か3学期の冬の体育の時間の出来事で、冬の体育といえば決まってひたすら各自なわとびの練習だった。

その日も各自ひたすらなわとびの練習をするという時間で、私は体育館の一番出入口付近で黙々と飛び続けていた。

授業もあと20分くらいで終わりかなという頃、不思議な音が聴こえてきた。

ピコンピコンピコンピコン………

ん????

機械のような規則的な音で、まさにウルトラマンのあの3分を知らせるタイマー音だった…

先生か誰かタイマーを鳴らしているのかと思って周りを見渡したが、先生も誰もタイマーは持っていないし、みんなそれぞれ黙々となわとびを飛び続けている…

体育館はみんなの体育館シューズの音と、ジャンプする音とひたすら床になわが叩きつけられる音が規則的に鳴っていて、音の発生源を特定するには中々難しい環境だった。

ピコンピコンピコンピコン………

ピコンピコンは3分経っても鳴り止まなかった…

でも、誰ひとり私のように「え???」というような反応をしている生徒はいなかった。
みんな終了時間まで集中して取り組むつもりの様子だ。

飛びながらキョロキョロしているのは私だけだった。

幻聴なのかなぁ…?!?!

もしかして、体育館の外に誰かいて、音を鳴らしているのかもと思い、体育館の下の小窓が開いていたので、飛び続けながら覗いてみたが、誰もいなかった…

もしや、体育館の倉庫?!と思い耳をすましてみたが、倉庫からの音ではなかった。

ピコンピコンピコンピコン…………

なんだかさっきよりピコンピコンの音が大きくなっている気がする…

ほんまに何の音なんだか気になって仕方ない。
てか、みんな聞こえんのかい?
それとも聞こえても気にしてないのか、聞こえないふりをしてるのか……

耐えきれず近くの友だち2人に声を掛けた。

「ねぇねぇ、あのピコンピコン鳴ってる音、聞こえない?!」

「え??聞こえないけど…」

マジかぁ💦💦
私だけが聞こえてるの?!?!
めっちゃ鳴り続けてるやん!!!
何でみんなには聞こえんの?!?!?!

と思いながら、なわとびは飛び続ける…

もう終了10分前くらいになった頃、あのウルトラマンのスイッチの音はますます大きくなっていた。

何かこの飛んでる床の下から聴こえてくる気がしてきた。

気になりすぎて床に耳を当ててみたが、違った。

ほんまに何なん?!
どこからこんな音鳴ってるん?!
誰か止めてよ。
気になりすぎる……

すると、さっきの2人が
「音、聞こえる!」
と言ってきた。

「やんな!!!ほんまどこから鳴ってるんやろ?」

みんなで耳を澄ますがわからない。
だんだんますます大きくなってきた。

そして、突然気づいてしまった…

音が最大に大きく近くなった時、音の発生源がわかった…

私の体内のちょうど胸の中央あたりからだった…

え??????

どゆこと?!?!?!?!

ほんまに幻聴なんかな?!?!?!

何せ私もみんなも飛び続けてるせいで体育館は規則的な音でうるさすぎて正確な判断ができない…

飛ぶことを一旦止めて、自分の胸に手を当てて聞いてみた…

心臓のドクンドクンというではなく、確かにピコンピコンと鳴っていた!!!!!

ちょっと自分が信じられなさすぎて、意味がわからなすぎて、動揺してきた。

この音が気になり過ぎて、そんなふうに感じているだけなのではないか………

確認するしかない!!!

さっきの2人を呼び止めた。

私「まだ音聞こえる?!」

2人「うん!」

私「音…私から聞こえん?!?!」

2人に私に近づいてもらう…

2人「え?!?!?!!!!!!」

「聞こえる!!!!!」

「やんな?!」

うん!!!!!!
とうなずく2人………

どういうことだろう…
私はウルトラマンになってしまったのか………

そして、このピコンピコンはいつどうやったら止まるんだろう…
うるさいから、胸をグッと圧迫してみたが止まらなかった…

気になり過ぎて、逆に動悸がしてきた…

そこで、終了の笛が鳴った。

みんななわとびは終了して、先生のもとへ集まっていく…

集合した時、この音みんなに聞こえるかな……
聞こえたらどうしよ…

みんな集合して、おわりのあいさつをしたが、誰も音について反応するひとはいなかった…

聞こえないふりをしているのか、それとも他のひとには聞こえていないのか何なのか…

それでいつ止むのか…

そんなことを考えながら体育館を出た。

すると、音が止んだ。

え????

体育館に念の為戻ってみた。
が、音が再び鳴ることはなかった。

本当に安心した感覚を今も覚えている。

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