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わたし、テレパシーが使えるの✨

小学3、4年くらいの時の話である。
私は学校へ行っては帰ってくる毎日を繰り返していた。

毎日同じ通学路。

通学路は校区内でも最長の方だったかもしれない。
徒歩30分ちょっとかけて、2つの川を越えて到着する。
川には橋が架けてあるが、両方ともすごい上り坂と下り坂で、今考えても歩行者のことは考えられていないような作りの道だった。
もちろん、歩道なんて、ほぼなし。
農道と車道をひたすら歩いて、最後学校に着く手前で国道を横切る。そこだけ歩道があった。
ど田舎の車社会だから、仕方ない。
歩くのは私達、この地区の小学生20人くらいしかいないのだから。

行きは集団登校だが、帰りは各自それぞれ帰宅。
が、徒歩30分ちょっとの距離の間に民家はなく、通るのは車だけである。
ひとの姿ももちろんない。
夏は田んぼで作業しているひともいるが、かなりはなれた距離になるため、何かあったときに声は聞こえるかわからないし、助けも求められない。
なので、絶対にひとりでは帰らないようにしており、いつも同じ地区の幼なじみの同級生と4人くらいで帰っていた。

毎日同じ通学路、退屈だなぁ。。。

こんなに同じ道、通ってるんだから、もう道なんか見なくたって帰れるんじゃないか?

車も通らないし、目をつぶって歩いたって、行けるんじゃないか?!

4人で他愛もないことをいつものようにおしゃべりしながら、ふと、そう思った。

そう思ったのは2こめの橋を渡っている時だった。

橋を渡った先はひたすら直線の下り坂だ。
橋の横は幅1.5m程もある溝になっている。

溝は橋の終わりから2mくらいのところまでは柵が設けてあるが、その先は柵はない。

落ちたら真っ逆さまだ。

溝の底は雨が降った日は水が流れているが、普段はジュクジュクしてたり乾いてたりするような、雑草がところどころ生え、たまにカニが歩いてたりするような溝だった。

試してみたくてしかたなくなった。

溝の柵が途切れるところまで来て、ついに言った。


「わたし、テレパシーがつかえるの。
 だから、この坂道、目をつぶっても歩けると思う。」

同級生「えっ?! そおなん?!?! ほんまに?!?!?!」

「もし、何かにぶつかりそうになったら、テレパシーでわかるから!」

同級生のひとりは「あぶないで、やめときな」
と止めようとした。

私には確固たる自信があった。

私はこどもの頃から勘がよかった。自分でも勘のよさに驚くことがあった。

だから、ここにきて、試してみたくなったのだ。

わたしならできる。

みえるんだから!

つづく

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