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トラウマ治療を受ける上で、一番重要だと思うこと

まえの記事では、私が受けてきたトラウマ治療の手法の種類について書きました。


私が受けた治療法以外にも、たくさんの治療があるんだなあと最近知って驚いています。
私がお世話になった臨床心理士の先生も、使える手法をすべて使ってくださったわけでもなかったし…。

私は義父がたまたま探してくれた先生からトラウマ治療を受けて「ほどよく」健康になった人間なので、「失敗しないカウンセラーの選び方」みたいな話はできません。

ただ実際に治療を受けたことで気づいたこと、臨床心理士の先生の姿勢から感じ取ったことはあります。今日はそうしたことを書きたいと思います。

※あくまで私個人の考えです。

虐待サバイバー当事者としてトラウマ治療を受けながら、気づいたことがあります。
それは「トラウマ治療をする上で肝心なのは、それが安全に行われることだ」ということです。

今日はその辺りのことを、私の経験からお話しすることにします。


1.トラウマ治療者は、当事者にその治療をしても安全かを判断している

治療者はトラウマ治療の手法のやり方を知っているだけではなく、
「目の前の当事者にに、その治療をしても大丈夫かどうかを慎重に見極めている」ということです。

何度か書いていますが、私は「解離」という症状があり、最初はEMDRという治療を受けることができませんでした。最初は他の治療法で回復をはかり、2年近く経ってからEMDRを受けるようになりました。

おそらくパーツ(自分のなかの小さな人格のようなもの)の統合がどの程度進んだのかを見極めていたのだと思います。すごい知識と観察眼だな、治療者ってすごいなと素直に感じています。


2.治療中の当事者の観察にも、トレーニングが必須

またそれ以外にも、EMDRに限らずカウンセリングが終わるときには、私に物の見え方を確認したり、目の焦点の様子を確認していたり…とにかく私の様子を観察していたのが印象的です。

とくにSE(ソマティック・エクスペリエンスという身体感覚を通して神経系に働きかける技法)のときには、
「今日は30分ほど、待合室で飲み物を飲んで休んでから帰ってください」
と指示が出ることもありました。

臨床心理士の先生が、私の状態を把握することにとても神経を使っているのを感じました。
おそらくトラウマ治療が、危険な側面を持っているからだと思います。(←経験した一当事者として実感しました)


3.トラウマ治療の途中では、症状が重くなることもある

実はトラウマ治療って、回数を重ねるごとに直線的に症状が軽くなるというものでもなくて…。
私は治療を受けているとき、一時的に希死念慮や鬱症状がひどくなりました。

トラウマ治療を受けていると、自分の今までの人生で起きてきたことや、自分の現在地がよく見えるようになります。
よく分かることで、自分を受け入れられる反面、「ああ、今後の人生でこれが取り戻せることはないんだな」ということも、よく見えてしまう。

治療の過程では、今まで感じたこともない絶望も味わうことになりました。
(解離という症状がよくなって、「感じる」ことができるようになったのも大きい)

私は「どうして私は、今まで生きてしまったのだろう」と「死ななかった自分」を責めたこともありました。

トラウマ治療の過程では、専門の手法で心身の状態が改善するのと一緒に、「今の自分に折り合いをつける」ことも必要になります。
治療者はそこにも付き合うし、当事者の状態が危険かどうかを見極める必要も出てくるのですよね。

そこはすごくハードだし、神経を使うし、何年も専門のトレーニングが必要になるのも納得です。
トラウマ治療は、治療者にとっても知識や技術が必要なだけでなく、負担が大きいものだと感じています。

私にとってありがたかったのは、私がお世話になったカウンセリングルームは、精神科と同じ物件にあり、臨床心理士と精神科医とが服薬の相談をしてくれていたことです。症状に合わせて薬の調整をしてもらっていました。

ここまで恵まれた施設がどの程度あるのか悩ましいですが、医師との連携が取れていると安心ですよね。

そんなわけで私は、トラウマ治療がいかに専門性の高い、扱いに最新の注意が必要なものかを実感しています。
(臨床心理士さんの待遇、どうか改善して欲しい…)

もちろん、私は1人の虐待サバイバーに過ぎないので、人様にああしろこうしろと言える立場ではありません。ただ身近な人にトラウマ治療について相談されたら、臨床心理士の先生をお勧めすると思います。

つぎの記事では、その理由をもう少し書くことにします。

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