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#26 選挙カーの演説はもっと内容を考えろ

 5thアルバム「グラデーション」の曲作りやらレコーディングは少し前に終わっていて、ここ最近はマスタリング作業に追われていた。
 マスタリングというのは簡単に言うと、音源の音量バランスを整える作業。レコーディングしたての「生音源」って、ギターの音がデカすぎるとか、ボーカルが小さすぎるとか、パートによってバランスにバラツキがあるので、それを綺麗に整えてより聴きやすくしようっていうのがマスタリングをする意味ね。

 そんなマスタリングもようやく終わり、あとはジャケットの背表紙撮影とか試聴音源の制作やティザー映像編集とか、いわゆるプロモーション関係の作業を残すばかりとなりましたが、まぁ、ここらで一旦作業にも一区切りついたので、数日間ゆっくりお休みしていました。お休みしていたらうっかり土曜日を迎えてしまい、慌ててギタチラを書いているChiraです。

 意識的に休むって難しくて、僕にとってたとえばギターはライフワークみたいなものなので、休みだろうがどうしても触ってしまう。年始からずーっとアルバム作業に明け暮れていたので、数日間音楽から離れてリフレッシュする期間を取ろうという意味合いで休むことにしていたのに、ギター弾いちゃうと休まるものも休まらないよね。
 で、敢えてギターを触らないようにしようと。ふらっと花見に出かけたり、好きな映画見ながら死ぬほどビール飲んだり、読書したり筋トレしたりドライブしたりと過ごしていましたが、そうやってゆっくり過ごしている時に限ってその平安を乱されたりするって言うのは、割とあるあるだと思うんですけど、4月になって風も心地いいので窓を開けて愛読書を読みながらコーヒーを飲んでいると選挙カーが家の前を大音量で通って行ったりする。


 今回は「選挙カーの演説はもっと内容を考えろ」です。


 選挙カー自体を否定していないし、むしろ必要なものだと思っている。逆に、候補者について何の情報もない中で選挙にいく自分を想像してみるといい。そんなの、投票のしようがないわけで、民主主義に則ればやっぱり選挙カーや駅前の街頭演説はあったほうがいい。
 ただ僕が気になったのは、せっかく宣伝しているのにその候補者のマニフェストみたいなものが全然伝わってこないという点。毎日窓の外から聞こえてきていたのは、

・○○市の皆様、毎度お騒がせしております!
・(候補者の)△△は、人の気持ちに寄り添える人間です!
・選挙戦も残りわずかとなりました。
・あと数日、お騒がせしますが、投票の際はぜひ△△へ清き一票を!
・よろしくおねがいします!!!

みたいな感じだった。

 考え方は人それぞれとしても、少なくとも僕はこの程度の情報では△△氏に投票しようと思える理由がない。そのうえ、どの候補者も同じような内容の演説しかしていないから余計にたちが悪い。

 ちなみにこれを製品の営業に喩えたらこうなる。

・突然お邪魔してすみません、××社の△△と申します!
・弊社はお客様の生活に寄り添った製品展開をしております!!
・現在展開中のお得なキャンペーンも、残りわずかとなりました。
・あと数日、ご訪問やお電話を差し上げてご迷惑をおかけしますが、この機会にぜひお買い求めください!
・よろしくお願いします!!!

んー。。。買わないかな。。。


 当然、こんなトークをする営業マンはいないわけで、普通はもっと製品のメリットとか、他社と差別化しているポイントとか、具体的な話をするし、そうでない営業は契約なんてとれるはずがない。
 それなのに選挙戦では、そういった具体的なメッセージがなく、「とにかく投票してくれ」の一点張りになっているのは不可解と言わざるを得ない。

 確かに日本の投票率は諸外国と比べてもかなり低いと言われているし、「とりあえず選挙に行って投票することが大事だ」というメッセージは世の中に対して誰かが投げかけなければいけないのかもしれない。でも、その役目を担うのが政治家であってはとんだ本末転倒なわけで、企業の面接で言うなら自己アピールも大してしていないくせに「とりあえず採用してください」って言ってるようなもんで、やっぱり共感はできないかなぁ。


 ミュージシャン界隈でも、たしかに「とりあえず聴いてくれ」っていう宣伝の仕方はあるし、これはある程度までは正しいと思う。音楽なんて聴いてみなけりゃ良いも悪いも判断できないからね。
 でもやっぱり、だからといって作品の説明をすっ飛ばして「とりあえず買って」なんて宣伝はセンスがないというか根本的に履き違えていると思うし、自分にとって今回の選挙カーの演説は良い反面教師になったのかな、と。


Chira

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