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小鳥のようにうたいながら 2023 (長月September〜師走December)

空を見てる

思い出す出来事がある
思い浮かんでくる人がいる
わたしたちも自然の一部なんだな
景色と気持ちはつながってる

低く轟いてる雷雲や
しんしんと落ちてくる雪
荒れた空模様のときには
元気だろうか
大丈夫だろうか
今はもう晴れてるかなって
いつかのだれかを思う

それは勝手な思い込みや
ただの思い過ごしかもしれないし
関係のないことかもしれないけれど

それってほんとの気持ち?
我慢してはいませんか?
無理しすぎてはいませんか?

そんな引っかかりが、心のどこかにぶら下がって ずっと揺れてる
空を見ていると そんなことを感じたいつかのだれかが
時々 ぽろんと落っこちてくる

わたしの空想も、深読みも、心配性も、余計なお世話も
直そうと思っても直らない
そう、悪い癖みたい
そこはたぶん来年も またそんな感じなんだと思う
ほんと、 しょうがない

もしかしたら、空も わたしたちのことを眺めながら
何かを憂えていたりするのかもしれない


***


2023    〜夏から秋、そして冬〜

長月 September

⭐︎猫のような先生の遺す言葉の「猫のように生きていけ」とぞ

⭐︎戻り来る手紙の消印と切手の猫はあるいはピリオドみたいに

⭐︎楽しいの?大水槽を見上げればイワシの群れは無表情で

⭐︎夏と秋のファッションが混ざり合う街 ウィンドウ越しの行き合いの空

⭐︎ごめんねはいつかゆびきりしたようにグラスをそっと合わせてみれば

⭐︎遅れるという15分の間に「初めまして」を思い出してた

⭐︎食いしん坊だった母へは大きめのあんこのおはぎふたつにしとこ

⭐︎母を思う風の抜けたる中庭のヤマボウシの実の赤くなりゆく

★半世紀生きたカタツムリいるかな どれだけを歩いてきたんだろう



神無月 October

⭐︎爛漫らんまんなり 約束のない待ち合わせライブの前の千鳥ヶ淵に

⭐︎うつむいて言葉足らずの愛を告ぐ カタバミの花をちょんとつっつく

⭐︎ざわめきの中に思いつめている 開演前のドラムセットよ

⭐︎荒波を縫うようにして奏でてたドラムスティック 海底は凪

⭐︎明日はまたくるからねって 宍道湖の水鳥たちよ沈む夕陽よ

⭐︎のどぐろと地酒をちびちびやりながら命が命をおぎなう夕べ

⭐︎生きてたら何歳かなと引き算す 継がれし皿に3時のおやつ

⭐︎貫入もシミもほくろもでこぼこも わたしにだってあるからねって

⭐︎フランスの秋 焼き栗はほかほかで ただほくほくとしてた「メルシー」

⭐︎ Bon courage 一番透明なきもちで一番好きな花を挿す朝

の歳に一を足したる両親のアニバーサリーも思う十月



霜月 November

⭐︎甘栗とおにぎりせんべいの不可欠 母から届く小包のさが

⭐︎甘栗の腹にやさしき爪あとを残してさき手に渡したり

⭐︎たいせつなきみへ送信するために出会った花と猫と夕焼け

⭐︎ 立ち読みする『かえるの哲学』の中のふたりのかえるに友が重なり

⭐︎だいこんも出汁にとっぷり浸かりおり 風呂の恋しき木枯らし1号

⭐︎北風や ゆうべの残りのおでんのくったりとして憂うつめたさ

⭐︎やめるのもちょっと勇気が必要で 迷ったときはやめる法則

⭐︎新しき白木の三条大橋の欄干越しの虹も迷いて

★忘れてることを思い出そうとして開いた手帳に京都のもみじ



師走 December

⭐︎クリームに ぽつんと一粒のいちごのぽつんと灯る赤がかわいい

⭐︎木枯らしに赤鼻になったきみが言う「笑窪はきみのポイントだね」って

鈍色にびいろの雲が西からやってきて瞬いていたオリオンも消ゆ

★こんなことしかできないっていうように冬へ落とされた21℃

★ヒントから導き出してゆく難問 サンタもドキドキしてるんだから

★再会と初めましてとメリクリが輪の真ん中で混ざる乾杯

 ー ちる ー


***


一年間にnoteに掲載した短歌を3回に分けてまとめてきました

三十一文字みそひともじにただよう空気感、楽しんでいただけたでしょうか
景色が浮かぶような、心にふれるような歌はあったでしょうか
わたしもアルバムを見返すように出来事や気持ちを振り返ることができました

三行日記も三日坊主になるような私には、心が大きく動いた時に短歌で思いを残しておくというくらいがちょうどよくて
そして たとえそれが 悲しみや淋しさであったとしても、三十一音のわずかであれば まるで道を辿るためにそっとつけた目印のように 不思議とほっとできるのです



みなさんはどんな一年だったでしょう
出会いあり、別れあり、再会あり… 悲喜交々
これはnoteの中でも同じですね

いろんなことを感じながら歩いてきた一年
思いを分かち合うことで 頑張ることができました
ここへ訪れてくださったみなさんと
“ありがとう”  “おつかれさまでした” と
乾杯したい気持ちでいっぱいです

2024年はどんな出来事、どんな出会いがあるでしょう
またご一緒に笑っていただけたら嬉しいです
今年の投稿は こちらで締めくくりにいたします


大切な友達、仲間、家族、そして自分自身…
心の真ん中を大切に
よい一日を、一週間を、どうぞよいお年をお迎えください
また来年も どうぞよろしくお願いいたします

Merry Christmas and Happy New Year !

⭐︎手をつなごう血はつながっていなくても
仲間っていう意味のファミリー


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