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小鳥のようにうたいながら 2023 (皐月May〜葉月August)

夏の海へ行かなかった
夏の海は好きなのだけど
いつもの海へも行かなかった

どこからどこまでが夏だったんだろう
いろんなものが あやふやにふやけてく
異様な暑さに 少し疲れた

痛いくらいに浴びせてくる陽射しは
ただ元気が過ぎただけだろうか
辛さや怒りじゃなければいい
寂しさの裏返しじゃなければいい

ふとあの時のあの人のことが蘇る

あの子は元気に学校へ行けてるだろうか
あの人はお仕事を楽しめているだろうか
みんな心から笑えているだろうか

数々の記録を塗り替えたこの夏の暑さは
この先どうなっていくんだろう


***


2023  〜春から夏へ〜

皐月 May

⭐︎母の日のその日のうちに届くよう空もきれいでありますように

⭐︎まじないのようにシアワセと呟く花へ言い聞かせるようにして

⭐︎どうやって区切りをつければいいのよ わたしたちにつける句読点

⭐︎句読点すらない愚痴を飲みこんで 初夏の色した海へ行きたい

⭐︎三本のワインから「これ」と真ん中をためらいもなく友は指さし

⭐︎行き先は決めてないけど行かなくちゃ 矢印となった流れ星よ

★スズランの香りってどんなのだっけ 記憶もあやふやにふやけてく



水無月 June

⭐︎大好きと言えても愛してるなんて言えない 甘すぎるショートケーキ

⭐︎ LOVEのOをニコちゃんにしてはぐらかす 素直になれないまま梅雨のくる

⭐︎ 帰り道はわたしもカタツムリになる 紫陽花の葉のみちを辿りつ

⭐︎しとしとしと…どこか諦めたみたいに重力のまま落ちてゆく午後

⭐︎遠き日の父の仕込んだ果実酒のならぶ棚にはちりの積もりて

⭐︎盃を交わす父とを浮かべて 色鉛筆でごめんねを

⭐︎もやもやと手帳の文字も雑になる インクをブルーブラックに戻そう

⭐︎傘を抜け無言で走り出すひとよ 転ばないでねと無言で言う 

★懐かしきアーケードには穴があき雨のこぼれて滲む人影



文月 July

⭐︎きみのこと一番にわかっているのはボクだよと斜め45°

⭐︎自らを撮るとき嘘をつくようなレンズをまっすぐ見つめられない

⭐︎通勤にすれ違うだけの知り人 母になりゆくを知る七夕

⭐︎さっきまで悩んでたのは何だっけ 『ただいま焼きたて』バゲットを手に

⭐︎かき氷、花火、風鈴、マーメイド、スタンプだけの暑中見舞いよ

⭐︎三つ折りの本気と冗談の手紙に サマージャンボをはさむ梅雨晴れ

⭐︎梅雨明けてひかりの中で待ち合わす 西へとむかう君へとむかう

⭐︎名古屋からお隣になるD席のちらりと見えた同じじゃがりこ

★捨てられている金魚鉢は干涸びて 夏はまだまだここからだって



葉月 August

⭐︎波のようにプルメリアのレイは白くI love youのハンドモーション

⭐︎ 海も空も風も瞳も永遠の夏の少女よ コバルトブルー

⭐︎ペルセウス 西へと星がまたひとつ流れて空へ手をふる残暑

⭐︎流星を人生にまだ見たことがないという君こそ流れ星

⭐︎コーヒーに浮かぶアイスをつっついて「もうあるけない」駄々をしずめる

⭐︎図書館の静けさも歌集のうたも だることなど知らぬそぶりで

⭐︎ 今月も南の窓に佇めば高級アイスハーゲンダッツを許す満月

⭐︎めいっぱい昼間の青を吸いこんで夜へ放てよブルームーンよ

★亡き父母の初めてふたりで戻り来る たぶん寄り道してる初盆


***


宝くじを買いました

母は生前、サマージャンボと年末ジャンボ宝くじを毎年必ず買っていました
それほどたくさんは買わないし、当たったためしもなかったのだけど、昔から我が家の 夏と冬の風物詩みたいになっていたので、なんとなくわたしもその習慣を知らず知らずのうちに受け継いでいました

実家を離れて上京してからも、街やCMで目にすると “あ、買わなきゃ”って つい思ってしまいます
買わなきゃと思いつつ 忘れてしまうこともあって、
期待はあまりしていないし、忘れても別に大したことではないのだけれど、“あーん、買いそびれたー” って 小さくショックを受けたりなんかして
やらなきゃなんだか落ち着かない、それが習慣というもの

宝くじを買って、タイミングよく手紙を出すことがあったりすると、こっそり一枚同封したりします
夢のおすそわけ
当たったという報告は まだ受けたことがありません


先月京都に行くときに、大阪の実家にも寄ることにしました
そうだ、おかあちゃんの好きなものをおみやげにしよう
ちょうど年末ジャンボが数日前に発売になったところでした

京都でも大阪でも買えるものだけど、おみやげだから東京で買っていくって、わかるようなわからないような理屈で、
渋谷のハチ公前の売り場で 自分の分も一緒に買いました
発売初日の銀座の売り場の大行列の様子を ニュースで見ていたので、並ぶ覚悟もしてたのだけど、拍子抜けするほどすんなりと買えました


東京みやげの宝くじを 仏前に供えて手を合わせました

“おかあちゃん、今回は当たるかもしれへんよ
売り子のおばちゃんが めっちゃ笑顔の素敵な人やったから”
(これちょっと本気で思っています)

母もいつも言っていました
「今回は当たるような気がするねん」って
当たったら…って夢のような話ばかりして
気がするだけで ハズレてばっかりだったけど
「それはそれで楽しいからええねん」
そう言って笑ってました

年末ジャンボ、12月22日までだそうですよ
買うつもりで忘れている方は お忘れのないように

それではどうぞ よい一日を、よい一週間を
次回は 9月から12月までをまとめます

ねぇ、当たったらどうしよっか
そだね、当たったら 考えよっか


【追記】

たのしい連絡をもらいました
「3,000円!」

なんと、おすそわけした宝くじに当たりが出ました!
下2ケタの6等
“夢”にはちょっと遠いかな
それでもなかなか当たることがないし、初めてのことに わたしも嬉しくなりました
わたしのはやっぱりダメだったけど
おかあちゃんのは どうだろう…^^

もしハズレても、その券を捨てないでね
毎年 9月2日の“宝くじの日”に敗者復活のお楽しみ抽選があって、もしかすると何か景品が当たるかもしれませんからね!

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