OITNB(Orange is the new black) 感想!

Orange is the new black

シーズン7まである長編作品、初めて全シリーズ見た海外ドラマかも。

しかも最後まで面白くて最高に素敵なエンディングだった。

見終わった熱量の行き場がないのでここに感想を記したいと思う。


個人的に心に残ったキャラクターとそのストーリーを紹介したい。

①ニッキーとレッドの信頼・母娘関係が愛おしい

S1からニッキーの面倒を見ている母親的存在のレッド。

ニッキーが薬のためにレッドを売ろうとも、見放さなかったレッドにとって、ニッキーがどれほど大切な存在なのかが伺える。

ドラッグを断つというニッキーの言葉を聞き、裏で手を回してドラッグを彼女に回らなくするようにしたり、ニッキーのことをよく理解しているからこその徹底した行動だなとおかんっぷりに感動。

最終シーズンでは、暴動の主導者をめぐる聞き込み調査で、みんなから裏切られたと周りへの猜疑心を強くするレッド。

そんな中、ニッキーは裏切る時でさえそれをちゃんとレッドに話したのだ。

「筋を通したのはニッキーだけだ」と。

ニッキーも、裏切るという行動を選択するのだが、「裏切るしかないしんどい選択」を迫られているからであり、それをちゃんと本人に伝えるところがこの二人の深い信頼関係を思わせた。

認知症になってしまったレッドが病室からニッキーを呼び、医者から説明を受けるシーンは本当に辛い。辛くも、美しいシーンだと思った。

「所内で一番信頼できる人は誰ですかと聞いたら、君(ニッキー)だと。」

お互いに「ごめんね」と言い合いながらも支え合う二人の姿はとても美しかった。

その後、レッドの名前のごとく真っ赤なリップを纏い、ニッキーがこれまでのレッドのようにドラッグの症状に苦しむ過去のニッキー自身のような人たちをサバサバと助けるシーンが映し出される。

「あぁ、レッドはもう前のようにはいかないけど、ニッキーがいるから大丈夫だな」

と安心かつ二人の姿を追ってきた視聴者には感無量なエンディング。

②グロリアとマリア+移民施設にいたお母さんの話

グロリアは「もっと子どもにいい生活を」と願い、レストランの権利を多額のローンを払い購入し、数年かけて本当にそのいい暮らしを実現させます。

しかし、当時の子どもにとっては「お母さんは側にいてくれなかった」

という事実が残るわけで、その暮らしが用意されたころには「行きたくない」

と子どもたちの気持ちが離れてしまっている回想シーンがありました。

このシーンはなかなか辛い。

そして共感する。

今となっては「子どものことを考えて頑張ってくれていたんだ」

と分かるものの、当時は仕事のことなんて分からないし、親が側にいてくれたか、愛情を与えてくれていたか、それだけなのだ。

きっとでも、グロリアは出所後にたくさんの愛情をこれまでよりももっと与えるでしょうね。そして立派なお母さんに、子どもも立派な子に育つと思わせてくれるエンディングでした。

マリアとの恨み・許しの過程も非常に学ぶことが多かったです。

暴動の時の瀕死状態の子どもに合うチャンスをマリアに奪われたグロリア。

同じ状況だったら「絶対許せないし顔も見たくない」となると思う。

グロリアももちろんそうで、最後までマリアがアプローチしてきても相手にしなかった。

個人的にマリアがカプートの「責任を認め謝罪をする」授業内で精神的に成長している姿に希望を感じていた。

なので最後の最後でグロリアがお情けのロバの絵本をマリアに送ったことが伺えるシーンには救われた。

恋人への謝罪、新しい恋人の存在をも認め子どものためならと気持ちを改め、変わろうとしている姿には勇気をもらいました。

マリアが無事に刑期を務めあげ、新しい外の家族とうまくやっていけますように。

そして、移民施設にいた2児の母親。名前忘れましたが法律事務所で働いていた方のお話。本当に悲しくてやりきれない。あんな機械的で冷徹な数十分の裁判により生きるか死ぬかの選択が何万人もに下されているのかと思うと恐ろしいが、これがアメリカで起こっている現実なのだろう。

生まれたというだけで送り返されて、その子が待ち受ける環境とは?知り合いもいなく、仕事もない、お金もない中どうやって生きていけというのだろう。

刑務所の中での話がメインではあるが、この移民施設の実態もかなり強烈だった。

あまり真剣に考えたことはなかったが、より身近に感じることができ今後はもっとこの問題に個人的に注目していくだろう。

強制送還が決まり、子どもたちにいつ会えるか分からなくなる状況での色んな意味で重い重い一本の母から子への電話。

「これだけは忘れないで。私があなたたちを愛しているということ。」

子どもからすると、「誕生日に側にいて祝ってくれない母親」

「帰ってくると言ったのに帰ってこなかった母親」

そう思い、お母さんには裏切られたと思うんだろうと考えると、とてもいたたまれない。それでもお母さんは強く、子どものためにとリアルに対峙します。

なのに、あの結末はない。救いがなさすぎる。けれど、これが現実なのだろう。

せめて、子どもたちがお母さんの愛に気付き続けることを祈る。本当に、それだけだ。

③スーザンという存在の大きさ

スーザン。最初はパイパーにとんでもない妄想で近寄りアブナイ発言行動をすることから「気持ち悪い」キャラが定着していた。

しかし、特に後半は黒人グループのテイスティ、シンディ、ジャネー等にとって癒しであり、大切な妹的存在になっていた。

特に、純粋に友達を思う気持ちから葛藤し、応援し続ける姿に胸を打たれた。

ピスカテラの事件の一部始終を記した彼女のノート。それによりもう一度希望を持つ決意をするテイスティ。テイスティは本当に崖っぷちでいつ死ぬのかハラハラしていたけど、スーザンの存在によりまた立ち上がることが出来たのだ。

ペンサタッキーの死と、そのペンサタッキーをも勇気づけていたスーザン。やはりスーザンは純粋な希望・勇気を与えてくれる大切な童心なのだ。

S1でパイパーのことを「たんぽぽちゃん」と呼んでいたが、最終的にはスーザンこそタンポポちゃんだと思った。彼女の純粋でポジティブな気持ちは、普通の大人は忘れがちで、だからこそOITNBでひと際異彩を放ち、少しの希望をもたらしたのだろう。

④ペンサタッキーの死

最初はジャンキーでオカルト的で不気味でしかなかったペンサタッキー。

後半は、薬も抜いて、どんどんまともになっていく彼女にどんどん惹かれていた。

父親から散々言われて自己肯定感の低い彼女の少しの光であったGEDテスト。(高校卒業試験)

そのテストに送り出す大きな要因となったテイスティとスーザン。

それなのに、ルスチェックは何をしている。悪い奴じゃないのは分かるがここでは流石に奴の怠惰な仕事っぷりに殺意を持った。

そして一番最悪なのがルスチェックの連絡漏れによりテストを適切に受けれなかったペンサタッキーが絶望し自殺してしまったこと。

だって、テストに合格してたのに!!!

テストの後、テイスティが既に自殺を考えなおしていたなら。元気だったなら彼女の異変に気付き何とかなったかもしれない。とにかく、悪いことが重なっただけなのだ。

ペンサタッキーには試験合格の結果を見てほしかった。本当に。

その喜ぶ姿だけで、きっとペンサタッキーは今後もあの調子で人間的に成長して更生できただろう。あぁ、悔しい。

「テストに合格したら朝ごはん風の晩御飯をもらえた」というエピソードからも

ペンサタッキーが育った境遇の親からの愛情不足や貧困などを覗かせます。

しかし純粋にその言葉を受け取ったスーザンが彼女の枕に忘れず

「朝ごはん風の晩御飯だよ」

と卵を置くシーンがたまらない。卵を直接受け取ってほしかったよ。ペンサタッキー。

とにかく、彼女はこのドラマ内の希望でありました。

その希望は、テイスティに受け継がれたのだけが唯一の救いですがやっぱり生きてほしかった。あんな終わり方はあんまりだ。

⑤カプートから学ぶ大切なこと

このドラマの刑務所側の人間で一番好きになった人。ミスターカプート!!

一時期、MCCの管轄下になってからは刑務所内とMCCでの立場に揺られるシーンもありましたが、

「これは間違っている」という良心に途中からは積極的に行動していったのが素晴らしかった。

彼が過去にした看守へのセクハラ事件なども確かにあった。

しかし彼は確実に刑務所での一連の仕事や暴動での事件を通して変わったのだ。

自分の立場というものを最終的には完全に捨て去り、テイスティ―の重要な支援者となり背中を押し続けた。

Metoo運動などで居心地の悪さを感じる時期があるものの、

現在のカプートにより確実に助けられているテイスティは、

「カプートさん、あんたはいい人だよ」

と言葉をかけます。その言葉に偽りはないし、世間からの本人を直接的に知らない人の声より、よほど真実を語っているように思いました。

セクハラをしたカプートも取り消せはしないし責任はついて回る。

それでも、今誰を助けどう行動するか

自分が犯した過ちといかに向き合い対処するのか、また

どう現実を生き抜くのか

そういった葛藤がこのドラマには数多く常々描かれており、伝えたいテーマの1つでもあるのだろうと思った。

ドラマでは、しばしば自分の現実を優先するか、刑務所での友情や立場絆を大切にするか天秤にかけられることがあります。

誰でも自分が大切だろうし、ただそこをやりすぎると失敗した際に大目玉をくらうで、辛い選択の連続だなと。

テイスティを裏切ったシンディは、少なくとも家族とちゃんと向き合っていってほしいですね。

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その他、印象に残っているシーン

・プッセイの死

ベイリーの境遇もなかなかいたたまれない。加害者であり被害者であるのでは。一番今後が心配かもしれない。

それでもプッセイの死の原因になったのは明らかで、テイスティ達が憤るのは無理もない。

プッセイが小柄で、抵抗も虚しくああいった形での犠牲となったことを本当に辛く思う。プッセイに気付き崩れるテイスティを見て私も大泣きした。

誰が気が良く仲間思いのプッセイが死ぬだなんて思っただろうか。どうして彼女なの?というセリフはよく聞くけど、本当にその言葉しか出てこなかった。お気に入りのキャラクターでもあったし、やっとの思いでソーソーというパートナーと出会いお互いにとってとても幸せだったのに。

運命は残酷だ。このドラマは容赦なく偶然に登場人物が消えたり死んだりする。それがどれだけ素敵なキャラであれ。

この事件がこのドラマの雰囲気を変えましたね。

・獄中結婚式

こんな味気ない獄中の生活で、唯一幸せを感じたのが2回の獄中結婚式だ。

1つ目はローナとムチオさんの結婚式。妄想癖など、問題はあるローナだけど、そんなローナを愛してくれる人が見つかり、2人が愛を誓いあう結婚式はとても暖かい時間でした。

後はもちろん、パイパーとヴァウスの結婚式。

殺し合いがいつ起こってもおかしくない状況下でも、時間をつくり二人を祝うことに徹したニッキー、ローナ、ヴァウスに感銘を受けた。

ニッキーが用意したリングの説明も愛おしい笑 ルスチェックのストラップリングとかね。いつもの皆のペースで二人が思い思いに(重い思いに・・・)愛を誓いあうシーンは感動しました。

どこかでヴァウスが「愛・・・に、ドラッグと裏切りを足した感じね」みたいな話をしていたと思いますが、もう恋・愛・といった概念を超えたディープな関係性になりましたね。気が重くなる重警備での生活での一息幸せな瞬間でした。

・テイスティの裁判シーン

シンディが抵抗しつつもテイスティを裏切るシーン・その時のテイスティの表情が忘れられない。そして判決が言い渡された時の静かに流れる涙も、正義はあの場に下らなかった。悔しくてたまらない。

・タミカの存在

友人であり看守のタミカ、彼女があの刑務所にいてくれたことは恐らく色んな受刑者たちを精神的に救っていたと思う。彼女が導入した教育プログラムは、色んな人をプラスに変えたと思う。ペンサタッキーは死んでしまったけれど。カプートの授業の様子がとても好きでした。皆が自身と向き合う時間、着実に変わり、お互いに影響される受刑者たち。とても美しい時間だった。

・マリッツァの強制送還

やっとの思いで弁護士への電話番号をゲットできるも、移民施設の皆も喉から手が出るほどその番号は知りたい。

周りの悲惨な状況を見て、皆に「この番号にかけて」と配るシーンは

彼女の中の良心が自然と行動となり動いたシーンでした。もちろんバレてしまい、強制送還されることに。

生まれただけで行ったことのない、記憶も身よりもない国に身一つで飛ばされたマリッツァ。あんなことが本当に起こっているなんて信じがたい。

彼女の強制送還をまぬかれるために手伝っていたフラッカたち。

彼女がグロリアの出所後にマリッツァのように移民施設にいる人々に手を差し伸べる姿が胸に響いた。マリッツァとフラッカ、いつも陽気にマイペースでどこかほっとするコンビだったけど、若さもあり自己中心的な感じもあった。暴動からの一連の環境・心境の変化で二人の精神的な成長が伺えた。

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個人的に報われなかったのは、ダヤ。

純粋でいい子だったのに、個人的に暴動時にダヤが銃を手にし、看守を撃ったこともあまりしっくりきてないんですよね。

ダヤはそんなことしないだろう。と思いたかった。

ベネットとの事もあるし、看守へのヘイトはあったにしても、かなりショッキングな方向にダヤは進んでいってしまいました。

アライダは結構好きなんですけどね。肝っ玉母ちゃん感が笑

結局気性の粗さから、子どもを心配してのことなんですけど刑務所戻ってきちゃいましたね。あの二人が刑務所内を仕切っていくのだろうか。

「ドラッグはファミリービジネスでしょ」と啖呵を切るダヤを見てもう

「すっかり堕ちたな・・・」と。

実際、ちょっとしたことで自暴自棄になり、後戻りできなくなるようなことはきっと刑務所ではたくさんあるのだろうなと思った。

しかし・・・お世話になったグロリアの出所時にろくに挨拶もしないし。ダヤはほんとに最後残念でした。せめて赤ちゃんが幸せに育ちますように。

赤ちゃんの環境にこだわり自分で決断したダヤ、そこだけはダヤの唯一救われる行為でした。

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他にも印象に残ったセリフ・シーンはたくさんありますが、めちゃくちゃ長くなりそうなのでこのあたりにしておこうかな。追記するかもしれません。

刑務所の生活を描いている中で、社会問題や社会構図が渦巻いてましたね。

人種間の派閥

男看守→女受刑者への権力支配・セクハラ

移民の強制送還の問題

施設管理者側の人間性

エトセトラエトセトラ・・・

色んな人の人生を垣間見る中で、それぞれのキャラクターの境遇に共感していき、OITNBロスを感じてます・・・

いかに希望を見出し生きていくのか

誰しも生きたいという気持ちが根本にはあること

自分を信頼してくれる人が一人でもいること

希望が1つでも持てること

生きる理由となる家族がいること(子を持つ母は強い)


人生で崖っぷちになった時、思い出したくなるドラマでした。

またシーズン1から見直したい気持ちもありますが、時間泥棒すぎるのでまた今度・・・笑

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