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読書人間📚『手のひらの砂漠』唯川恵






読書人間📚『手のひらの砂漠』唯川恵


2013年  集英社刊行
2016年  文庫本 第一刷




403頁、あっという間に読んでしまいました。
誤解を恐れずにいうと、面白かったです。ぐいぐい惹き込まれました。長い年月と想像を超えた苦しみを描きながら403頁で収める文章の力。流石です。
唯川恵さんというと恋愛小説のイメージでした。
つい先日読んだ「燃えつきるまで」も面白かったですが、格段に本書の方が良かったです。

さて、本作を読んだきっかけは、とある弁護士先生から勧められたもので、DV被害者をリアルに描いており非常に勉強になったということでした。
リアルです。その心理は本当に経験した人のそれのようで、恐怖の中にいながら読む手が止まりませんでした。

__「理不尽には理不尽で戦うしかない」__

たしかに、本作のような相手ともなると、正義の力は何の意味もなさない。私も彼女の友人であれば、それも仕方なしと目を瞑っていると思います。


__「世の中には、生きてはいけない人がいるって」
可穂子はゆっくりと瞬きをする。
「確かに、どんな人間でも命の重さは同じか、生きている価値が必ずあるのかもしれない。でも、そんなことを言えるのは、死ぬほどの恐怖を味わったらことがない人間だからよ」__


同意です。生きてはいけない怪物はいます。それは人ではありません。人の皮を被った怪物、モンスターです。
とても言葉を選ばないといけませんが、私も彼女と同じ立場なら彼女と同じように行動したかもしれません。
決着をつける彼女達の行動を全くもって咎める気持ちにはなりません。

苦しい読書時間でした。
現在、国際問題にまで発展した日本の歴代最悪の性被害問題についても、被害者のこれからの心の在り方、彼らの未来を思うとたまりません。どうか少しでも砂漠から抜け出して潤いのある日常を取り戻してほしいと願うばかりです。




カバーデザイン/ 木村典子(Balcony)
イラストレーション/ 辻 愛




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