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関心ない・関係ないの裏の意味

「本当は全然分かりもしないことを、エラソーに『関心がない』と言ってすませちゃう人間は、いくらでもいる。
あなたはそうじゃないでしょうね?『関心がない』ということは、『知っているけれども関心がない』ということです。そのことだけは、頭に入れておくように。その前提を持って、人は『関心がない』という言葉をエラソーに言うんです。だから、『関心がない』という言葉を真実エラソーに言いたかったら、『ちゃんと知ろう、知っとこう』と思いなさい。それをやらないやつは、人間のカスです。
『関心がない!』という言葉は、そのような形で、『私はいやだ』を表明する言葉なんだから。」

「『関係ない』という言葉もある。『関心がない』というのと、極めて近い言葉です。『関心ない』よりも、もっと積極的な嫌悪を表すのが、この『関係ない』だけども、(中略)この『関係ない』という言葉には、“裏の意味”だってある。『関係ないじゃん』と言うことは、『自分は“そういうもの”とは関係を持ちたくない、自分が関係を持ちたいのは“こういうものだ”』という、代案がいつも隠されているということね。」

「『いやだ』ということには、理由がある。『なぜいやか』なんてことは、そうかんたんに説明できるもんじゃないけれども、人間は、『いやだ』と思う理由があって、それで初めて『いやだ』と言う。そのことを忘れない方がいいね。『いやだ』という否定的な言葉だけですべてを処理して行くことができるのは、赤ん坊だけです。」
「『なぜいやか』『なぜ関係を持ちたくないのか』『なぜ関心が持てないのか』ということを、少しは考えておいたほうがいい。そうそうかんたんに答の出ることじゃないけど、そのことを考えようとしない限り、答というものは絶対に出ないものなんだ。『なぜいやか』の答が、『自分に“自分以外のもの”を認める能力がないから』ということになる可能性だってある。『なぜ関係を持ちたくないのか』の答が、『自分には外側と関係を持つ能力がない』ということになる可能性だってある。『なぜ関心が持てないのか』の答が、『バカだから分からなくて』ということになる可能性だってある。気をつけなさいよ。
橋本治『貧乏は正しい!ぼくらの東京物語』


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