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休学日記②ナイジェリア人

前回の休学日記①を書いたのは12月11日だっただろうか。

簡単に私の現在の情報を下記にまとめよう。

就職する前に、私の半分の国であるナイジェリアにどうしても行きたくなる。
→早稲田大学を休学。
→現地で日系企業の投資事業のインターン生の資格を得る。
→ナイジェリア渡航・生活中(今ここ)。

休学日記①では、ナイジェリアに渡航するまでに経験した家族からの猛反対、何時間にも及ぶ議論等、大きな決断をする上で考えなければならないリスクについて書いてある。

時間がある方は、ナイジェリアの実態が知れて面白いので休学日記①も読んでくれたら嬉しい。

それでは、話を戻そうか。
ナイジェリアに来て、早くも二週間ほど経った。
仕事や日常生活を過ごす上でも、人との関わりは欠かせない。

今回の休学日記②では、来て早くも感じ取ったナイジェリア人の国民性について紹介しようと思う。

ただ、あくまで私が実際に経験したことや、周囲から聞いたことを元に総合的にまとめているので、主観を含む一意見であることは理解してほしい。また、日本人にも様々な性格、考えの人がいるように、ナイジェリア人も様々な性格、考え方の人がいる。

以上を踏まえた上で、ナイジェリア人がどんな人であるのか、その傾向について述べていく。
良い部分も悪い部分についても、すべて正直に書いていこう。

基本的に前向き、楽観的

総じて、温かい人が多い印象だ。
貧富の差が非常に激しい国であるが、日雇いドライバーがスタートアップを立ち上げたり等、一発逆転する者も多い。
厳しい現状に対しても、「前を向いて一念発起できるかどうか。」
その強さはアップダウンのある”人生”をよりよく生きる上では欠かせない要素となってくる。
暑い中、毎朝、毎晩、渋滞で混み切った道路に飛び出して物を売ったり洗車をしてお金を稼ごうとする子供たちもいるが彼らも例外でない。


車内で撮影。
実際に会うと、よく笑い元気で明るい子達なのが伝わる。
「たかいたかい」をされるのが好き。
(筆者は力持ちである。)

生活は苦しく、養えないという理由で家を追い出された子、適切な教育を親や社会から受けず、勉強することの大切さを知らない子、親に使われている子、様々なバックグラウンドの子供たちがいる。(この話についてはまた今度執筆しよう。子供の物乞いについては部族間や政治上の問題も関係しているようだ。)

ただ、彼らは生きる希望を失ってはいない。話してみたり遊んでみると、よく笑い、子供らしい明るく高い声を出す。みんなで協力しあいながら、生活をしているとのこと。

現地のドライバーや従業員に話を聞いても、明るく前向きに物事を考えている人が総じて多い印象を受けた。

自分の感情を素直に受け入れる、自分に素直

これは特筆せずにはいられない。笑
私自身、相手が今どんな感情なのかは、表情や声のトーン、態度や動きなどで推測するのがどちらかというと得意な方である。
ただ、ナイジェリア人以上に推測しやすく、わかりやすい人には出会ったことがない。

すべてがすべて、彼らの身体が教えてくれるのだ。
嬉しいときは、声のトーン、大きさがあがり、大きな笑みを浮かべる。
イライラしているときは、眉間に皺をよせ、周囲に関わらず舌打ちをする。
つまらないときは、声のトーンが小さくなり、目がうつろになる。

終日契約ではあるが、
夜9時頃に車の運転を頼まれてイラついているドライバー。
舌打ちは激しく、荒々しい運転。
ただ、飾ってあるお花に彼の美徳も感じられる。

我々日本人としては感情をそのままに受け入れ、自分自身に素直でいることは難しさを感じることもあるだろう。
多様性が広まってきているが、依然として画一化が求められる社会が存在するからだ。
自分ではなく、他人・チーム・組織・世間を重要しやすい傾向がある。

「人間らしい。」
その定義をどのように定めたらよいのだろうか。

日本のそのような社会で生きてきた私からすると、ロボットのように感情を抑え、周囲に自分を適応させることよりも、感情をそのままに受け入れ、自由でいることは、ある意味人間らしく、愛らしさを感じるものでもあった。

見栄っ張りで嘘をつく、相手の立場によって態度を変える

ナイジェリアは元々イギリスの植民地である。
資本主義社会のもと貧富の差が生まれている。
大切なのは、”ステータス”である。
ステータスによって相手と自分の上下の関係性が決まる。

言い方はよくないが、大抵の人間は浅はかだ。
表面的にしか物事をみようとしない。
なぜなら、本質を覗いてみることは、私たちが考える以上に、そして実践する以上に難しいからだ。
それは非常に複雑で、様々な要素、因子が絡み合っていて、いくつにも及ぶ層の中に隠されているようなものだ。

海を船からのぞき込んでいても奥深くに住んでいる生命体は見えない。
山を頂上から見下ろしたとしても、内部に潜んでいるマグマは見えない。

本質が綺麗だろうと、醜いだろうと、見ることは難しいのだ。

だからこそ、表面的なステータスを重視する。
とりあえず見た目が綺麗であれば、本質の実態は見えないし、人間は浅はかだからこそ、その表面的な一部の情報で印象や偏見をもちやすい。

ナイジェリア人は話す内容、そして履歴書でさえ嘘が多い印象もある。
免許証の取得日数を7年間伸ばしたり、多くのミスを起こしたにも関わらず、平気で嘘をつき隠し通そうとすることもある。(日本人上司からもよくそのような話を耳にする。)

嘘をつき続けていても、いずれは問題は浮上するし、表面的なステータスからは真の輝きは感じられない。

また、相手の立場によって態度を変える人も多い。

私が半分日本人、半分ナイジェリア人のミックスであり、女性であり、そして20歳であること。インターンとしてナイジェリアに渡航していること。

これらの情報を得てより一層優しく接してくれる人もいれば、下に見てくる人もいる。
この要素に関しては人によるだろうし、正直どこの国でもあり得るだろうが、総じてナイジェリアでは多い印象を受けた。

私が半分ナイジェリア人であると言うと、
喜んで優しく接してくれたおじさんと美女。

考え方も行動もすべてがゆっくり

時間感覚、仕事のスピード感、物事の計画の立て方。
私が日本人であるからこその相対的な評価になるが、総じてゆっくりな印象を受けた。
時間感覚が遅いから、時間通りに人がくることは少ない。
労働生産性も低い。
以下で労働生産性を比較してみよう。
2022年のGDP/人口で計算した結果が以下である。(外務省,2022参照)
【ナイジェリア】
労働生産性:2 
GDP(十億米ドル):440.83
人口(百万人):218
【日本】
労働生産性:35
GDP(十億米ドル):4230
人口(百万人):121

約17倍の差である。もちろん、国家や経済の仕組みも異なるのでこのデータですべてを語るわけではないが、ナイジェリアのLRTブルートレインは全長13キロ完成までに12年もの年月をかけている。

ブルートレイン。
何故かこの電車は時間通りに発車するので、
ナイジェリア人は間に合わせるために
一生懸命に駅構内を走り抜ける。

私自身、来て10日で38.7度の高熱がでて病院にいったが、2日後熱が下がったので仕事に行こうとした。
すると、ナイジェリア人の医師から呆れられて次の一言を言われる。
"You are a workaholic!"
「君はワーカホリックだ!」と。

まとめ

ナイジェリアにどのような人が多いのか、なんとなく理解できただろうか。
改めて、この記事は私の主観であることは理解してほしい。
国民性を一括りに表現するのは難しいし、様々な性格や考えを持つ人々の集合態が国家であるから、偏見はもってはいけない。
しかし、総じて上記のような印象をうけたことは確かである。

ただ、絶対的に必要な倫理観を除いて考えると、性格や価値観、それに基づく行動に正解はない。
相対的な評価である。
相手がいるから、そして差があるから評価・判断することができる。

完全に日本生まれ、日本育ちの私からしたら、ナイジェリア人から学ぶこともあれば、どうしても納得いかないこともある。
ただ、それは私が日本という国で生まれたから感じる”何か”であって、もしも日本人でなかったら、他の国出身であったら、彼らに対して全く異なる印象を受けたのかもしれない。

そういった意味では、ナイジェリア人と日本人の違いを、観光だけではなく実際に滞在し、仕事をすることを通してしれたのはよかった。

そしてこれらの違いを体感するのは非常に面白い。

彼らの言動を理解するには、彼らの国民性やバックグラウンドを理解する必要がある。
よりナイジェリアという国を知るためにも、心を開いて寛容に意見を受け入れていく姿勢は忘れず、
彼らのよい部分を、自分の中の頭や心の引き出しに取り入れることが出来たらよいと思う。

また、国民性は国の経済とも大きく関わっていることをナイジェリアで学んだ。
彼らと彼らを取り巻く経済について。
そして、外国企業がナイジェリアでビジネスをする上での障壁について。
これらも時間を見つけてまとめていきたいと思う。

ナイジェリア人は温かくて、人間らしくて、図々しくて、ゆっくりだ。
また、ナイジェリア人の国民性によい部分、悪い部分があることは、日本人の国民性にも同じく言える。

違う考えや、異なる常識を全身で体感する。
元々色のついたキャンパスに自由に、ふんだんに新しい色がぶつけられていく。

この体験は芸術と呼んでいいのだろうか。
大変、面白い。


ちせ









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