週１回の１冊の読書。
これが私の「目標読書ペース」である。
上手くいけば、２冊に届くこともある、
すると、年間１００冊ぐらいになるであろうか。
ときに、良書と呼ばれるものに出会う。
この場は良書の共有、内容の整理の場とさせていただく。

①「著者」
②「印象の残った内容」

作者紹介

小児科医・医学博士。公認心理師。子育て科学アクシス代表・文教大学教育学部教授。 1987年神戸大学卒業後、米国セントルイスワシントン大学医学部や筑波大学基礎医学系で分子生物学・発生学・解剖学・脳科学の研究を行う。2005年より現職。臨床医、研究者としての活動も続けながら、医療、心理、教育、福祉を融合した新しい子育て理論を展開している。著書に『「発達障害」と間違われる子どもたち』（青春出版社）、『高学歴親という病』（講談社）、『山中教授、同級生の小児脳科学者と子育てを語る』（共著、講談社）、『子どもにいいこと大全』（主婦の友社）など多数。

印象に残った内容

ハッピーホルモン　セロトニン

ハッピーホルモンと呼ばれるセロトニンがある。
イライラや不安、恐怖などを鎮め、心を安定させてくれる物質セロトニンが不足すると不安が強まり、その状態が長く続くと、うつ病などを引き起こす。

SS型SL型LL型と言う3つの遺伝子の型がある。
SS型＜SL型＜LL型　の順でセロトニンが多くつくられる。
SS型はセロトニンの働きが弱くなりがちなので、不安が強く神経質な性格傾向の子供になりやすく、
逆にSL型はセロトニンの働きが強くなりがちなので、不安が弱く、おおらかなから性格傾向の子供になりやすいことがわかる。

ちなみに日本人はセロトニンが少なめにできるSS型が多く７割、SL型が約2割。LL型が約1割。
一方、アメリカ人は多めにできるLL型を持つ人が約3割ということがわかっている。
アメリカ人に比べて日本人で消極的な気質が多いように感じるのは方の影響なのかもしれない。

では、
「不安が強くなりやすい遺伝子の方を持って生まれた、子供は必ず強い不安を抱えたままで、生涯を過ごすのか」
答えは否です。
結果はむしろ不安が強めなどは遺伝子的には脆弱因子が多い子供であればあるほど親などから与えられる養育環境の影響を強く受けることがわかった。
すなわちネガティブな環境で育てられてられたときには遺伝子的に推測される性格傾向はより強く発揮され、逆にポジティブな環境で育てられたときには遺伝から推測されるものを打ち消しにより、社会に適応しやすい性格傾向に育つということ。

脳育ての最初のステップは体の脳、規則正しい生活と睡眠により育てられる

世界的に、日本人の睡眠時間は的に不足しているのが現状。
小学生に必要な、夜間の睡眠時間は約10時間、中学生で約9時間となっている。
日本人の小学生で平均睡眠時間が8時間台だと言うことを考えると全く足りていない。
朝5時から7時の間に太陽の光を浴びると脳内ハッピーホルモンであるセロトニンが盛んに分泌される。
さらに朝しっかり目覚めた脳には元気ホルモンと呼ばれるコルチゾールも多く分泌される。
コルチゾールは代謝を促進し、免疫力を高める。

太陽の光をしっかり浴び、日中活動すると15時を過ぎてから、脳内でメラトニンが大きく分泌されるようになる。メラトニンには体温を下げ、筋肉の緊張を緩めるのは役割がる。
太陽のリズムに従って生活すれば、本来私たちの体は自然による眠くなるようにできている。
特に小学生の家では、10時間もしくは、最低限9時間の睡眠は確保するようにしたい。
夜の時間が睡眠時間なので、私たちは就寝時間は9時まで。起床時間は6時までと推奨している。
必要な睡眠時間を確保すれば、必ず育つ。

心の脳を育てる

子供の脳では10歳を過ぎた頃から、だんだんと体の脳と前頭葉をつなげる神経回路が構成される。この神経回路が、「心の脳」。
「体の脳」は人間が生きていくために、必要な原始的な欲求や感情をつかさどる、生命維持装置、しかし、社会の中で他者とうまく生きていくためには、体の脳から発せられる喜怒哀楽をいつでも思いのままに表出させるわけにはいかない。
そこで「体の脳」と前頭葉を神経回路でつなげることによって、自分が置かれている状況や他者との関係性を考慮に入れて論理的な判断ができるようになっていく。

前頭葉はお利口さんの脳に何度も繰り返し入ってきた刺激、すなわち、これまでの経験や知識、記憶をもとに、自分独自の考え方で判断できる脳。
しかし。
「失敗しても大丈夫」だと言う経験記憶が全く入っていなかった子は100点を取れば褒めてもらえると言う記憶しかないので、前頭葉はそれ以外のオプションに対して判断することができない。
そのことが脳の構築を壊し、心身状態ひいては不登校につながってしまう。成長する子供を認めることこそが、子供の心の脳を育てる。

クローズマインドセット

人間は生まれつきの能力なのではなく、誰もが努力や経験を得ることで成長することができると言う考え方。
つまり、「自分はまだ成長の途中にあるので、これからもっと伸びていくことができる」と自分自身が信じることができれば誰もが必ず成長できると考え方。
たとえ、今、失敗したとしても、「あなたはまだ成長の途中にあるんだから、大丈夫」と認めてあげるだけで、子供から不安が取り除かれ脳がより良い方向に育っていく。
できなかったことができるようになったこと、成長したことを認めてあげる。

家族は、最小単位の社会

子供が家庭での役割を果たし、親がそれを認めるというとても重要こと。
家庭生活の中で親子は互いを尊重して協力者体制を作る。
子供が生まれてから大人として成長するまでの18年間も継続して、子供の脳に刺激を与え続けることができる最小単位の社会だから子供が将来社会で生活していくためには、まずこの最小単位の社会流れしっかりと生活できるになることが重要。
家庭と言う社会で家族全員が平等な立場であると言うことを認識する。
その上で子供自身が家庭生活の中で役割をしっかり認識し、それを自主的、に提供できるように、それが1番の脳育てとなる。
親は家庭生活の中で、子供が社会と仕組みの理解を深めていくために、何が必要かを常に考え、言葉によるコミニケーションや経験の場を提供し続ける。
どれだけ多くの刺激を子供の脳に与えることができるか、それが親の知恵の見せ所。

曖昧な言葉は脳の成長阻害する。

子供に注意をするとき、「ちゃんと」という言葉を使っている親がとても多いように感じる。
「ちゃんと」、「きちんと」、「しっかり」などはその状況によって定義の変わる曖昧な言葉、この言葉を使うことによって子供の不安になり混乱し、脳の成長が阻害される。
「ちゃんと」などの曖昧の言葉が判断できるようになるのは、大人になってから。
前頭葉は論理的な思考する、行動のために計画を作る、自己を客観化するなどの高次脳機能と呼ばれる様々な機能を司る。
大人は前頭葉が既に十分に発達しているために曖昧言葉に当たる内容を前頭葉を使いながら状況に合わせて理解することができる。
しかし、小学生の前頭葉はまだ発展、途上、大人のように曖昧言葉を状況に合わせて判断し行動するのはとても難しい。

なので、

言葉がけは、ロジカルにフルセンテンスで

「これぐらいの傷なら衝動影を塗って絆創膏を貼っておけば、3日で治るよ」のようにロジカルにフルセンテンスで言葉をかけることが大切。
また同じような怪我をしたときにこれくらいなら大丈夫。
消毒経験を塗って絆創膏を貼っておこうと、自分で判断できるになる。

子供のストレスさを見逃さない。

子供は大人に比べて、脳や身体能力が未発達のため、ストレスをなかなか自覚できない。
日々の生活の些細なところにストレスの徴候は隠されている。

子供の脳は経験ストックが少ない

大人に比べて、子供の脳は経験のストックが少ないので、想像力に乏しくまだ怒っていないことをイメージするのが苦手。
例えば、通学に1時間半かかるよっと言葉言われてもあまりぴんときません。ですので、実際に電車は乗って子供に通学を体験させることをお勧めする。

勉強する前に遊んで、体動かした方が子供の集中力が高まる。

特に効果があるのが、ルールのない自由に体が触れ合わせる「じゃれ付き遊び」。
じゃれ付き遊びをした後には、前頭葉の抑制機能がアップすることがわかっている。
前頭葉に入ってきた刺激に瞬時に反応するのでなく、一旦その情報を判断して抑制し、正しい考え方をする抑制機能というものがある。
抑制機能が高いという事は、短絡的な衝動にとらわれず、勉強などの物事に集中して取り組めるということ発達障害の1つであるADHDの脳が抑制機能が相対的に低いことも報告されている。
帰ってきて、すぐ子供の脳は活動で疲れているので、すぐに机に向かわせるのでなく、じゃれ付き遊びをして集中力を高めてからタイマーで時間を測りながら勉強するのがオススメ。
ちなみに、1度に集中できる時間は、学年5分が限界と言われている。

失敗は、脳育てにおける最大のチャンス

子供の先回りをして失敗しないようにフォローするのではなく、失敗した後にフォローするのが親の役目。
生死に関わらないかすり傷ぐらいの失敗なら積極的にさせていくべき。
親や先生の役目っていうのは失敗させること、かすり傷を合わせることなのかもしれない。

ポジティブな脳の方がインフルエンザのワクチンがつきやすい。

問題を抱えてこられる家族との関わりの中で、ポジティブな考え方を持った子供の方がトラブル改善の経過は良好であると実感している。
子供も大人も物事をポジティブに捉える習慣をつけるために、「おかげさまで」という言葉を口癖にすることをお勧めする。
「おかげさまで」ということは、日頃から意識的に口に続けるとだんだん何々のおかげで良い結果になったと言う考えられる。

デフォルト・モード・ネットワーク

子供がぼーっとしている間にも、前頭葉は非常に活発に働いていることが脳科学的に証明されている。
今まで蓄積した情報や記憶を前頭葉で交錯させつつ、創造的なことを考え出そうとしている。
子供がぼーっとしていたら前頭葉を一生懸命働かしているサイン。特に目安はありませんが、少なくとも30分ぐらいはそのままにさせてあげる。
ボーッとした後に子供がお母さんが「あのさ、めっちゃいいこと思いついたんだけど」などと言葉を走ることがある。