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女と男 なぜわかりあえないのか 橘玲

私はこの本を読むまで、
女の人の考え方を理解できなかったり、
私自身のコントロール下を逸脱する性に対する考え方に悩んで生きてきた。
この本には、そんな「長年の悩み」を解決に導いてくれるヒントが充満している。

私には、来年小学1年生になる息子がいる。
その子が、思春期を迎え、異性に関心を抱き始めたころ
「この本を読みな」
と父親として手渡してやりたい1冊である。


作者 橘玲とは?


1959年生まれ。早稲田大学卒業。編集者を経て、2002年、経済小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。小説、評論、投資術など幅広い分野で執筆。著書に『臆病者のための億万長者入門』(文春新書)、『80 'sエイティーズ ある80年代の物語』(太田出版)、『朝日ぎらい よりよい世界のためのリベラル進化論』(朝日新聞出版)など多数。『言ってはいけない 残酷すぎる真実』(新潮新書)で2017年新書大賞受賞。近著に『もっと言ってはいけない』(新潮新書)、『上級国民/下級国民』(小学館新書)などがある。


35歳をすぎた女は結婚が難しくなるの理由

あなたの身のまわりにも、35歳を過ぎた「結婚願望のある」独身女性はいるだろうか?なぜ、「結婚願望がある、結婚できないか」は「すれ違い」が原因だった。

30代の女性は、自分と同じくらいの年齢の男性に最も魅力を感じる。
35歳だと、30代半ばの男性を好ましく思う。
ところが、35歳の男は自分のより5歳ほど若い女性に魅力を感じることが分かっている。そして、その行動は40歳まで変わらないから、男と女の好みはどんどん開いていく。
さらに、男は自分の年齢を5歳刻みで意識するようだ。若い女性と付き合うのに、9歳の年齢差は問題ないが、10歳になると、ちょっと離れすぎかもと不安になって、口説く相手の年齢を5歳調整する。

「女性35歳」スキ⇒「男性35歳」
「男性35歳」スキ⇒「女性26歳~30歳」

「女性36歳」スキ⇒「男性36歳」
「男性36歳」スキ⇒「女性27歳~31歳」

「女性37歳」スキ⇒「男性37歳」
「男性37歳」スキ⇒「女性28歳~32歳」

互いのターゲットとなる年齢は交わることがない。もし、「年上好きの女性」、「同年代好きの男性」がいたなら、それは実は少数派なのかもしれない。ぜひ、大事にしてほしい。

進化論から見るゴリラとチンパンジーと人間のペニスの変化



ゴリラとチンパンジーと人間の進化動物は、遺伝子を残すために進化した。
ゴリラのペニスは、体に比べてめちゃくちゃ小さい。人より小さい。
何故かと言うと、ゴリラは体の大きさを競ってきたからである。体の大きさが大きいのがオスとして優秀で、メスと交尾することができる。だから、ペニスの大きさで競う必要はなかった。


チンパンジーは睾丸がものすごくでかい。何故かと言うと、チンパンジーは「乱婚」と言われていて、お互いにあらゆるパートナーと交尾をする。その時にメスのチンパンジーの膣の中に精子がある状態で、さらに交尾するので、よりできるだけの量を出さなければいけなかった。

人間は長くて、キノコ状の形をする。これは長い方が射精をしたときに子宮の近くで精子を出すことができることと、きのこ状の形をしていることで他人の精子をかき出すことができるから。

つまり
遺伝子を残すために、
ゴリラは体が。
チンパンジーは睾丸が。
人間はペニスの形が進化した。


男女の収入格差の理由。

「2022年の年齢階層別の平均収入」によると、
「40歳~44歳」の全体平均は470万円。
男性は571万円。
女性は317万円。
254万円の差が見られる。
この収入差の逆転現象は起こることなく、むしろ、「55歳~59歳」では、一番大きく収入格差は357万円におよぶ。
では、どうしてこのような格差が生まれるか。それは、未だに「男尊女卑」の精神が残っているわけではなかった。

あるゲームをしたとき、ゲームの方法を変えずに、多いものが報酬を総獲りすると言うトーナメント方式に変えた。すると、最初のしたときのゲームと比較して、男女の結果に大きく差が出た。
ゲームに「競争」の導入したことで、男の点数が上がり、女の点数は、逆に大きく下がった。
同様の結果は、日本を含む先進国で繰り返し確認されている。
進化論的には次のように説明されている。
人の脳のOSが設計された旧石器時代には、男は「狩猟者」で仲間と競争しながら素早い判断でものを仕留めるように進化した。それに対して女は「採集者」で仲間と協力しながら食料になる植物を慎重に選ぶように進化した。
資本主義のような競争社会では、「競争すること」は本人の自由な選択である。もちろん、収入に大きな影響を与えるのは、結果を求める「競争者」であり、競争を好む男と競争を好まない女で、収入格差が出てしまうのは当然の結果と言える。

男は集団 女はペアで能力を発揮する

10歳の子供を対象にした実験。
ここでは「協力」を必要とする課題を使って、男の子と女の子の戦略の違いが調べられた。子供たちは「鳥の名前は?」と言うような問題文と一緒にアルファベットを書いた紙を出される。その文字から始まる単語4つ書き出すというのが課題だ。
4つの答えが、それは1ポイント3つ以下なら加点されないというルール。(例えば、Sと書かれていたら、「Swan」とか「Sparrow」のように空欄を埋めていく)
集団5人では男子の得点が高く、ペア作業では女子の得点が高かった。
予備調査では、単独でこの課題を解かせると男女差を観察されなかったから、得点の性差は、人間関係の作り方から生まれることになる。

では、なぜこのような男女によりこのような結果がうまれたのか?

男の子同士で5人グループ集団対集団の競争だと告げると、ごく自然にリーダーが決まり、全員が作業に協力し合うようになる。
ところが1対1では個人間の競争になってしまい、負けている側はやる気をなくし協力しなくなってしまう。
それに対して女の子は、1対1の関係が基本になるから、2人の方がうまく協力できる、研究者によると2人で並んで座り1人が問題を読み上げ、もう1人が答えを書くと言う仲良しもうまれた。この協力のしすぎでかえって(答えを出す)効率を下げることになり、それがなければ女の子の1対1のパフォーマンスがさらに高くなっただろう。
ところが女の子5人の集団にすると、みんなで作業する前にまず自分が誰とペアになるかを探そうとする。女の子集団では、全員に向かって話すことが少なく、特定の相手としか会話しなくなった。これが集団でのパフォーマンスを下げる原因ではないかと、研究者は推測している。
男が集団に最適化しているのに対し、女は1対1に最適化している。
これは母親が子供と1対1で子育てをしたり、家族や親しい友人など小さくて濃密な人間の関係の中で安全を確保してきたからではないだろうか。

男がくびれとおしりに目がいくのは、妊娠しているかどうかを探しているから


人にはぞれぞれ、「フェチズム」がある。
男性は一般的に、「くびれたウェスト」と「つり出たしり」に目が行く。それには、遺伝子を残そうとする本能が関係していた。子孫を残す上で、男にとっての最大の弊害は、「他の男の精子」である。つまり、気に入った女性が妊娠していたら、そこにいくら精子や資産を注いでも、子孫を残すことができない。これは男にとっては大きなリスクである。しかし、妊娠しているかどうかの判断は、見た目でしか分からない。なので、男は「妊娠しているかどうかの判断」のため、「くびれ」と「おしり」に目がいくようになった。「くびれたウェスト」と「つり出たしり」に「フェチズム」を感じるのは、脳が本能的に子孫を残せと言う信号を送っているからと言える。
ちなみに、「WHR0.7」という言葉がある。これは、男が最も魅力的だと感じる女性の「ヒップとウエストの比率」であり、それが、「10対7」であること。ヒップ80cmならウエスト56cm。男はこのプロモーションにもっとも惹きつけられる。

結論 男は女が分からない

男は単純で女は複雑だ。
これは性愛において男は「競争する性」女が「選択する性」として進化してきたことから説明できる。
男は精子を作るコストが極めて低いので、何の制約もなければ出会った女と片っ端からセックスすればいい。それを阻むのが他の男の存在で、ライバルを蹴落とし、男社会のヒエラルキーをひたすら上がっていくことが唯一の戦略になる。チンパンジーと同じく、最高に上り詰めた男が最も多くの女の性愛を獲得できる。
それに対して、女は産み育てるコストが極めて大きいので、「誰の子供を産み」、「誰と一緒に育てるか」を慎重に計算しなくてはならない。それと同時に最大の脅威である男の暴力からいかにして身を守るかを考えなくてはならない。このようにして、生理の周期によって男の好みが変わったり、身体的に興奮しても脳は性的快感を感じないなどの複雑なシステムが進化したのだろう。
ここで問題に原理的に「単純なものは複雑なものを理解できない」ということ。だからこそ男にとって女は永遠の謎なのだろう。

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