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映画「二百三髙地」とゴールデンカムイ


1980年の映画「二百三髙地」をFODで見ました。この映画は日露戦争の一番過酷な戦い旅順攻囲戦、いわゆる二百三髙地攻略の話です。

ヤングジャンプで連載中の漫画「ゴールデンカムイ」で日露戦争の話が何度も登場します。
この漫画は日露戦争後の貧しく弱い日本(北海道)を舞台に、戦争帰りの兵隊やアイヌ民族が隠された金塊を巡って争う漫画です。

私はゴールデンカムイの大ファンなので、一度は見ておきたいと思っていました。

映画二百三髙地は旅順攻略第三軍司令官の乃木希典大将と金沢第九師団の少尉が主人公です。

ゴールデンカムイのキャラクターは、主に旭川第七師団第27聨隊に所属、主人公杉元佐一は東京第一師団所属(漫画では除隊済)です。

映画の感想というよりもゴールデンカムイとの比較のような形でブログを書きますね。

白襷隊

あまりゴールデンカムイに関する所属部隊は出てきませんでしたが、杉元佐一の所属してた第一師団と白襷隊はそこそこスポットが当たっていたかと思います。

白襷隊は強者だけを集めた夜間特攻部隊です。

ゴールデンカムイで杉元佐一は白襷隊の生き残りという設定ですが、映画ではあっという間に全滅していました。

また一晩で特攻し、あっという間に照らされて殺されてしまうシーンは戦々恐々……

旭川第七師団

第七師団は後半に投入された部隊として登場。第27聨隊が二百三髙地に旗を立てるシーンも映画で見れます。これはゴールデンカムイの中で鶴見篤四郎中尉は行ったように描かれていますね。

また天皇がそう呼んだことから「だいしちしだん」と呼ばれている師団ですが、映画では「だいななしだん」と呼ばれていました。
これは旭川の資料館でも残っている情報でゴールデンカムイでも忠実に守られていますが、映画ではスルーされていました。もしかして戦後から「だいしちしだん」に変わったのでしょうか?わかりません。

二十八糎榴弾砲

写真:石川県立歴史博物館で撮影

鶴見中尉と有坂閣下の話していた「二十八糎榴弾砲」も登場しました。
最後の総攻撃では、ゴールデンカムイの記載通り、敵味方関係なく殺しまくる殺戮兵器になっていました。鶴見中尉はその下で駆け抜けることを称賛していましたね。
鶴見中尉は半分フィクションの登場人物(ファンブックに詳細があります)ですが、有坂閣下は実在しているので、感慨深いです。

軍刀

写真:北鎮記念館で撮影

鯉登音之進少尉が使用している軍刀も何度も登場しています。将校以上は小銃を持たず軍刀で指揮し、拳銃で戦う装備なのは同じでした。

少尉といえば映画の主人公(小学校教員)が「少尉召集」されたのが意外でした。徴兵は全員二等卒スタートだと思っていました。調べても理由は判りませんでしたので、知っている方はコメントをください。
教員になる前に陸軍士官学校を卒業したのでしょうか?

小銃

写真:三十八年式小銃、北鎮記念館で撮影。三十年式小銃は明治村かどこでみたけど、写真がなかった。

映画で出てくる歩兵小銃は三十年式なので、少し古いです。10巻以降に杉元佐一、尾形百之助等が使用している三十八年式歩兵銃は登場していませんでした。これは日露戦争後のものですので当たり前ですが。
映画では弾がなくなり、石を投げて戦うシーンが出てきます。悲惨。

照明弾
網走監獄で海軍(鯉登少尉の父、鯉登少将)が使用していた照明弾が登場していました。夜でも明るくなる閃光弾でしょうか。
ゴールデンカムイでも日露戦争で使用されていたと言っていましたね。

手投げ弾
映画ではほとんど登場しなかった印象です。ロシアが手榴弾(てりゅうだん)を日本側に投げて、それを投げ返すシーンはあったと思いますが、手榴弾なのか、石なのかいまいちわからず。
日露戦争で手榴弾を投げ返したという話もゴールデンカムイで出てきました。

制服

写真:北鎮記念館で撮影

鶴見中尉が来ている肋骨服を将校はみんな身につけていました。位によって変わる袖の模様も忠実に再現されていました。

写真:北鎮記念館で撮影

鯉登少尉の軍衣は日露戦争後のものですので誰もきていませんでした。どちらも忠実ですね。(鯉登少尉は戦争経験がありません。

またえらくなるとズボンの赤い線が2本になると初めて知りました。二等卒〜中将?までは全員等しく1本線ですかね。将官は2本線かな。わかりませんが…

肩のマークも歩兵は赤、工兵(?)は黄なのも「おぉ!」と思いました。

全体的な感想

ゴールデンカムイではとにかく旅順攻囲戦で人が死にまくったと描かれていますが、映画でも突撃→全滅→突撃の繰り返しで悲惨極まりません。
鶴見中尉、月島軍曹などが所属してる旭川第七師団よりも前から戦っていた金沢第九師団にスポットが当てられているので、ゴールデンカムイよりも余計に悲惨な感じがあります。
戦争とはいえ、最後の方は銃ではなく小銃の先につけていたゴボウ剣(銃剣)でロシア軍と戦う姿は圧巻。ゴールデンカムイで日露戦争の生き残りたちが肉弾戦で鬼強いのも納得です。

杉元佐一がロシア兵の目に指を刺して殺すシーンがありますが、これも映画二百三高地でみれます。えぐすぎて目を瞑りましたが…

日露戦争で日本は勝ちましたが、反軍国主義を感じる映画でした。3時間もありますが、あっという間に見終わり作品としても大満足です。

また「このシーン、ゴールデンカムイで読んだ」が散りばめられておりますので、ファンの方は絶対に楽しめると思います。


おわり


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