見出し画像

「人間っておもしれー!」の神髄を見た ~20代で得た知見~ ☆☆ or ☆☆☆

はい。本日読んだ本は「20代で得た知見」です。おすすめ度は☆☆を主張する私と☆☆☆を主張する私の間でケンカしています。

「人間っておもしれー!」の神髄を見た

いやもうそのまんまなんですが、人間っておもしれー!の神髄を見たような気がします。もうちょっと丁寧に言えば、バーのマスターとかの話を聞いたり、本を読むより誰かの話を聞くのが好きだったり、そういう人に刺さる本なんだろうな、という感じでした。(とはいえ、本や映画やクラシックは良いぞ、とは言及されています。ただ、その中にゲームが無いことが、個人的にはすごく違和感がありました)

年齢性別立場役職、様々な人間模様やそこから得た知見を、わりと世間一般の皆様が共感しやすい視点で、1-2pずつに簡潔にまとめてある。その言葉というか、文章そのものがまあ、うまく言えないんですけれども、強い、ので、「人間っておもしれー!」なひとならまあまず間違いなく刺さるだろうし、その対極にある側の私が読んでもそこそこ得られるものはありました、という感じです。

このnoteを読んでくださっている皆さまがどのようなタイプなのか私にはわかりかねるんですが、「人間っておもしれー!」なあなたはぜひ読むべき(☆☆☆)だし、そうでない私たちも得られるものはなくはないので興味があったら読むべき(☆☆)、という感じでしょうか。

すごい作品を作る方はすごい体験をしているんだなって……

筆者自身の「こんな人を見た」の引きだしの多さに圧倒されます。その交友関係の広さもさることながら、バイクで轢かれた話とか、富士で遭難しかけた話とか、エピソード自体がえぐすぎる。というかこの筆者本当に三十代?マ????二十代の時の経験としてこんなにどうしようもない経験無限にできるもんなの????????一回も海外に出ることなく????????

という感動というか呆れというか、みたいな境地に至っていました。
ちなみに、言っていることは面白いし、着眼点も興味深いし、ためになることも多いんですが、私は多分この筆者とは会話したらケンカするような気がひしひしとしていて、著作(真夜中乙女戦争とか)を拝読すべきか審議が走っております、んん。

「好きと言うことに意味はない」と書いてくれたから最後まで読み切った、それはそれでそれとして、

その虚無感については飼いならすなりごまかすなり慰める(慰まった気になる)しかないのだな、と滲むように思っていました。

ただ、その虚ろを軽やかに引き受ける、ためというか、
「私があなたを愛していることの全てに意味がない」という虚ろが、ふとしたときにたまらなくしんどくなったとき、人間というものの業の深さと、愛というものの底なしの虚ろを、軽やかに引き受けるためには、役に立つ本じゃないかなあ、なんて思っています。

結論

自分がしんどくなったとき、海を見に行くとか、大自然を感じに行くとか、そういうことをすることがあると思うんです。自分という存在がちっぽけなんだと思えるから、星を見る、なんて人もいるくらいですし。

同時に、たくさんの人の人生を、生々しさを超えたどこか軽やかなものとして、かつ多量に摂取することも、自分の存在も大量のニンゲンたちの、そのうちの一つなんだな、と少し楽に感じられるのかな、なんて思っています。

ただ、「人間っておもしれー!」とどうしても思えない私にとって、この本は、「人間っておもしれー!」と思う、我が友人のための本だ、というのが最大の感想であることも間違いない。読了してすぐに「貴女のための本だと思う」と彼女に一報入れましたが、きっと彼女は読まないのでしょう。彼女は私の勧める本を一度も読んだことがありませんから。この、奇妙な虚無感が宙に浮いている感じ、それが孤独とでもいうべきもので、それこそが、この本の本質なのかもしれません。
そんな不思議な本でした。


この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?