たとえクライアント様相手でも「ならぬものはならぬ」です
「お客様は神様です」という言葉があります。
その言葉をライターの仕事に当てはめると、ライターに仕事をくださるクライアントは「神様」です。
だから私たちは「神様」であるクライアントの利益に貢献するために全力を尽くし、クライアントが納得するような成果物を提供しなければいけないと思っています。
しかしながら、それはなんでも「はいはい」と言うことを聞くことではありません。
ライターはクライアントの利益に貢献する立場ではあります。しかし、去年の今頃大騒ぎとなったキュレーションサイト騒動のように、明らかにクライアントが求めることがおかしい場合は別です。
具体的には次のようなことを求められた場合です。
●口コミなどあやふやな情報をもとに記事を書く
●法律的にグレーな情報をさも有益な情報のように書く
以前はこれに加え、文章や写真の著作権法違反となる無断引用やコピペなどを推奨するクライアントもいましたが、DeNA騒動以来自浄作用が働き、そのようなクライアントはだいぶ減りました。
しかしながら、クライアントの言うとおりにし、いいかげんな内容で記事を書いた場合、それを読んだ読者が大きな不利益を被り、訴訟を起こすかもしれません。その時悪質なクライアントならライターにその責任をなすりつける可能性は大です。
そのような悪質クライアントかどうかをライターが見分ける唯一の方法が、「少しでもおかしいと思ったら異議を唱える」ということなのです。それに対する反応で、クライアントがどのような人や組織であるかがよくわかります。
良心的なクライアントでも、認識不足からそのような過ちを犯すことはあります。でもその場合はこちらから疑問を呈し異議を唱えれば、すんなりとこちらの言い分を受け入れて軌道修正してくれます。
けれども悲しいかな、そうではないクライアントも少数ですがいます。そのようなクライアント様は要注意。速やかにその案件から撤退するか、後で自分に火の粉がかからないような形になるよう交渉を重ねるしかありません。
それでクライアントが指示を変えない、あるいはそのことでクライアント様から切られるなら、そのクライアントとはご縁が薄かったということです。
その場合はもっとまともな感覚を持つクライアントと出会うチャンスが増えたと思い直し、さっさと別の仕事を探すのがベターです。そのことが最近ようやくわかってきました。
クライアントの下請けとなるライターは、本当に弱い立場です。しかし個人で仕事をしている以上、自分の仕事のトラブルは自分でなんとかするしかありません。
そのためにも、相手がお金をくれる人だから……などと卑屈になってはダメ。しっかり言うべきことは言い、自分の身は自分で守りたいと思っています。
そして、この先明らかに自分が「それはアウトでしょう」と思う場合は、相手がクライアントでも「ならぬものはならぬ。その指示には従えない」という意思を明確にするつもりです。それがだめだというクライアントは、どんなに報酬がよくても手放さないと、自分の経歴に大きな傷がつきますから。
カバー画像:イラストac
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