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[ショートショート] 課長がカッパになっていた件:ドローンの課長

 うちの部署の課長がカッパになってしまった。
 それに気がついたのは3ヶ月ほど前。

 何でも糖尿の病状が悪化したとかで数日音信不通になっていた後だ。

 戻ってきた課長は見た目は課長のままだったが、明らかに別人になっていた。

 まず、糖尿病だと言うのにチョコを大量に食べている。
 トイレに行くたびに髪の毛が濡れて帰ってくる。
 口が心なしか尖ってきた。
 歩幅がやたらと狭い。
 飲み会の時にかならず胡瓜の一本漬けを注文する。

 これらは全て、以前にはなかったことだ。

 これだけではカッパだとは断定できないが、僕の勘は彼がカッパであると告げていた。

 いてもたってもいられなくなり、僕は大学時代の友人にこのことを相談した。

「ああ、それな…」

 友人はあたかも有りがちなことのように答えた。

「何か知ってるのか?」

「知ってるも何もゼミの先生も垢嘗あかなめだったじゃないか」

 …。僕は思い出した。

 そうだったかもしれない。

 友人の話によるとそれらは妖怪界から送り込まれたドローンで人間を監視するために導入されているらしい。

「にしてはポンコツが多いよな」

 友人はそう言って笑った。
 それには僕も思わず笑ってしまった。

(489文字)


半分くらいは事実です。

たらはかに(田原にか)さんの『毎週ショートショートnote』に参加します。


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