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[小説:紹介] スティーヴン・キングの小説 (4) [90~95年]

ネタバレ基本的になし

スティーヴン・キングの小説を紹介します。
第四段は1990~95年に発表された分です。

キング作品には作品間のリンクも多々あるので、それもネタバレしない程度に紹介したいです。
物語間の繋がりは、90年代の作品からより強くるような感じなんだ。

◎スティーヴン・キング

◎リチャード・バックマンとは

キングの別名です。
キングは一時期、正体を隠してこの名前で本を出してました。
途中でバレちゃったんだけどね。


◎1990~95年に発表された作品紹介


Four Past Midnight

1990年発表。中編集です。
日本版では『ランゴリアーズ』『図書館警察』の二冊に分冊。

・ランゴリアーズ

ロサンゼルスからボストンへ向かう旅客機の中、眠っていた乗客以外が、パイロットも含めて姿を消してしまう。
目覚めた乗客の中に偶然居合わせたパイロットが何とか最寄りの空港へと向かうが、通信も繋がらず、世界はもぬけの殻になっていた…。
謎が謎を呼ぶ、不可解の塊みたいなお話です。

映像化もしてる。


・秘密の窓、秘密の庭

人気作家の主人公が家庭のトラブルでスランプになってしまう。そこへ、「自分の作品を盗まれた」と訴える男が現われる。
盗作を公表しろとネチネチ嫌がらせを受けるお話。
熱狂的なファンに監禁される『ミザリー』と、別名が自我を持って自分を葬りに来る『ダーク・ハーフ』を別アプローチで表現した物語。

ジョニー・デップ主演『シークレット ウインドウ』というタイトルで映画化されています。


・図書館警察

期日に本を返さない現れる図書館警察。アメリカの都市伝説を元にしたお話。本を返さないとめっちゃ怖いことになる。
図書館にトラウマを持つ主人公(大人)がやむを得ず図書館に行く羽目になり、恐ろしいことに巻き込まれてしまう。
B級感もかなりいい味出ています。


・サンドッグ

誕生日にもらったポラロイドカメラに写ってはいけないものが写っちゃうお話。
写真を写すごとに恐怖がだんだん近づいてくる…ホラーのお決まりパターンではあるんだけど、キング節で語られると、不思議とリアルになるのよね。

下記『ニードフル・シングス』の全日談でもあるので、セットで読むことをお勧めします。



ニードフル・シングス

1991年発表。

さらばキャッスルロック?!

キングの小説に度々登場する架空の田舎町 《キャッスルロック》 を舞台にした物語です。

平穏…とは言えないところもあるけど、まあ、そこそこ平和なキャッスルロックに一件の骨董品屋が開店します。
その店主は怪しげなよそ者なんだけど、店を訪れたお客たちはたちまちこのお店の虜になります。

それもそのはず、これまでどうしても欲しかったお宝が手に入るんだ。ほんのちょっと店主のお願いを聞くことを条件に…。

この物語のキーワードは「バタフライ効果」です。

骨董品屋の店主がお願いするちょっとしたことが波紋となって、徐々に大きなトラブルへと発展していっちゃう。
そりゃあもうめちゃくちゃです。

この本は単独で読んでも面白いけど、他のキャッスルロックものを読んでいた方が断然楽しめます。

あの有名なお話のあの人が再登場!?とかいろいろあるんすよ。

映画化もしてて、私は見てないんだけど、他作品の有名な登場人物とかどう処理されてるのか気になる…。

<先に読んでおいた方がよいもの>

『スタンド・バイ・ミー』
『刑務所のリタ・ヘイワース(ショーシャンクの空に)』
『クージョ』
『デッド・ゾーン』
『ダーク・ハーフ』
『図書館警察』

<後に読むのがおススメ>

『ジェラルドのゲーム』
『骨の袋』



ジェラルドのゲーム

1992年発表。

季節外れの別荘で、夫 ジェラルドの変態プレイに付き合ってベッドに両手を手錠で繋がれているジェシー。
そんな状態で夫は心臓麻痺を起こして倒れてしまう…。

脱出不能。寒さと渇きに襲われ極限状態になっていくジェシー。やがて、妄想が始まる…。

何から何までド変態で悪趣味で不快な物語で、あまりおススメはできないんだけど、このお話には、姉妹作がある。
この下で紹介する『ドロレス・クレイボーン』だ。

そっちのお話がすごくよいので、そちらを充分に楽しむために、この不快極まりない本も読んでおいた方がいい…と、私はやっぱりこの本も読むことをおススメしてしまう…。

ああ、ちなみに、虐待とか痛みとかにトラウマのある人は読まない方がいいかもしれない。

この姉妹作には、1963年7月20日のアメリカで見られた皆既日食が関係しているんだ。

知らなかったけど、これ映画化してるんだね。。あんまし見たくないわ。。



ドロレス・クレイボーン

1993発表。

金持ちのヴェラ・ドノヴァンを殺した疑いで捕まった家政婦のドロレス。彼女の独り言のような告白で物語が綴られる。

彼女の話はズルズルとあっちこっちに行きながらやがて30年前の皆既日食の日へと遡る。

あまり幸せな人生を送っているとは思えない家政婦のおばちゃんの話を聞きながら、なぜか最後にハラハラと涙をこぼしてしまう。そんな物語だ。

1963年7月20日。アメリカで見られた皆既日食。
この日が物語の大きな鍵となっている。

そして、姉妹作である上記の『ジェラルドのゲーム』と、『ドロレス・クレイボーン』の世界が交差する。

『黙秘』というタイトルで映画化している。私は見てないのですが。。



不眠症

1994年発表。

IT』の舞台である 《デリー》 が再び災難に見舞われる物語です。
この物語の主人公は、『IT』の七人の主人公のひとりでもある マイク・ハンロン。老人となって登場します。

彼はあのころからずっとデリーで暮し、記憶を守って来た人なんだ。

もしもこの本だけ単独で読んだ人がいたのならば、なんのこっちゃ解らないところが多々あったと思う。

だけどもこの本の中にはその答えはない。
もちろん単独でも楽しめるようには作ってあるけども、これだけを読んでも真の目的はわからないし、物語の本質は永遠にわからないのだ。

この物語の裏には、巨大で壮大な世界が広がっている。

あえて断言しちゃおう。この本は、『ダーク・タワー』 を読み終わってから読んだほうがゼッタイによい!!

そしたら、このお話がどれほど重要なのかわかるはず。

泣いちゃうはず!!!

理由もわからずに動いてくれた マイク・ハンロン達に感謝の気持ちでいっぱいになるんだ。

あ、もちろん『IT』も読んでおいた方がよいです。



ローズ・マダー

1995年発表。

主人公のローズがDV夫から逃げるお話なんだけど、泥沼ドラマを期待している人にはおすすめできないです。。

なぜかというと、このお話は…

ものっすっごいファンタジーなのだ!!!

ハラハラドキドキのサスペンスな世界で、世にも奇妙なファンタジックな出来事が徐々に起こり、充分なアクションシーンとラブロマンスもあったりして、最終的には オゲレツ ホラー コメディ と化す。

現実的な展開からファンタジーへの導入部分が本当に見事で、鳥肌立ちまくりです。

ただ、このお話だけ読んでいると、不可解な部分がたくさんあるかなと思う。理由がわからないことがたくさん出て来るんだ。
それには、例によってキングの超長編『ダーク・タワー』が関係しているのです。

これはこれでいいってなるようには作ってあります。
だけど、もっと深く知りたい人は、ぜひ『ダーク・タワー』も読んでみてください。

他のお話とも繋がりの多い一冊でもあります。

<先に読んでおくとよいもの>

『ミザリー』
『不眠症』
『ダーク・タワー』

<後に読むとよいもの>

『デスペレーション』
『レギュレイターズ』



Nightmares & Dreamscapes

1993年発表。短編集。
日本では分冊になってます。

振り幅の広い様々なジャンルのホラーが詰め込まれた短編集です。
ゾンビとか超常現象とか魔女とか幽霊とか…。
インパクトのあるショートショートなど書きたい人にはめっちゃ参考になるんじゃないかしら。



以上です。

この中でのイチオシは『ローズ・マダー』かな。
キングっぽくない感じで始まるんだけど、やっぱりめっちゃキングだったwwwというところがよいです。

ドロレス・クレイボーン』も好きです。

不眠症』は『ダーク・タワー』を読み終えている人はぜひ読んでほしいお話です。


▽第一弾 70年代はこちら

▽第二段 80~85年はこちら

▽第三弾 86~89年はこちら

▽第四弾 90~95年はこちら

▽第五弾 96~99年はこちら

▽第六弾 2000年代はこちら


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