https://www.netflix.com/jp/title/81464005

Netflixシリーズ。

大奥の男女逆転している物語があるのは、ドラマとか映画の宣伝を見て知っていた。
で、これは、純粋に男女が逆転しているファンタジー的なお話なのかと思ってたんだけど違った。

半分くらい史実を取り入れて、ぬ？ これは実際にあってもおかしくないのでは？ と思わせるようなストーリーとなっているのだ。

私は江戸時代の歴史に詳しくないので、もっと事前に勉強してから見るべきであった…と少し後悔している。

物語の始まりは八代将軍 吉宗の時代。

世の中には若い男子の致死率が異常に高い赤面疱瘡あかづらほうそうと呼ばれる疫病が大流行し、男性の人口が女性の 1/4 とか 1/5 まで減少していた。
だもんで、若い男は完全に “種” 扱いの世になっている。

そんな中で将軍も女が継いでおり、大奥は女人禁制、種要員の美男を集めた場所となっていた。

こうして我々は、様々な立場の者の視点から、この男女が逆転した大奥の実態を見せつけらるわけなんだけど、それが、まあ、かなり胸糞わるい感じなんだ。

これは、極端に出生率が下がってしまった世界で、出産能力を持つ女性が子を産むための奴隷のように扱われる世界を描いた『侍女の物語』のおぞましさに近い感じがした。

権力者が複数の妻なり夫なりを持つのは人間の世界ではよくあることなんだけど、そこで極端に自由を奪われて子作りする以外のことを禁じられた人生って…と考えるだけでぞっとする。

好きでもない奴と、寝ろと命じられたら寝ないといけないのも地獄であるし、ましてやそれで子を作れなかったら立場もどんどん悪くなる。
例えばそこに愛が芽生えたとしても、主人は何人もの相手と寝屋を共にするわけで、それも地獄だ。

愛があってもなくても地獄とは、真の地獄ではないか。

いや、別に私も複数人と同時に関係を持ったり心を通わせたりするのが悪とか、そういうふうには思ってないんだけど、それが、とにかく子供を作るため…というところに恐ろしさを感じてしまうのだ。

これが、もしも、ただ性欲を満たすためのハーレム的なやつだったら、こんなにも嫌悪感を持たないかもしれない。

君主側だって…。

世継ぎを…世継ぎを…と言われ続ける恐怖。

そんな世界で生きる人たちは精神を病み、陰湿ないじめやレイプなんかも往行してしまう。
刑務所みたいじゃないか。

しかもだ、こんな中でのし上がることを人生の目標にしてる者などもいたりして心がギュッとなる。
狂っている。

…で、私は思った。

これは全て、血縁者のみが跡継ぎになれる…という発想だからいかんのだ。
その考え自体が狂っている。

これからの時代は、血筋というものがこれまでのように最重要とされる世の中になるとは思えないけれど、極端な独裁国家となったり、上記の『侍女の物語』のように、出生率が異常に下がったりしたらあり得ない世界ではないのだ…。ガクブル((((；ﾟДﾟ))))。

『大奥』の世界では、男女を逆転することで “殿様には当たり前に妻がたくさんいる…” という常識フィルターが外されて、よりこれが異常であることが強調されているような気がする。

物語の特性上、女の将軍含めてイケメンが目白押しなんだけど、全く誰も推せなかった…。
だって、みんな心が歪で狂っているんだもん。

唯一、最初に出てくる水野だけまともかな…というくらいで。。

これは私の勝手な好みの問題なんだけど、“愛せる狂気” と “愛せない狂気” ってあって、この物語に出て来る人たちの狂気は愛せない狂気だった…。
この絶妙な嫌悪感を漂わせる物語の構造が本当に素晴らしい。

こんな愛の形はわたしゃ嫌だよ…。

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